◤黒澤 - 生酛 純米 直汲み生原酒 仕込45 赤ラベル 28BY ── dಠಠb「オレが飲んだ他のどの黒澤とも違う」#Fresh, Fruity, Spicy 



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kurosawa_jikagumi_red28by3.jpg まーた飲んでる黒澤です。これもそのうち「得意銘柄」に昇格しそうだな (笑) 。「いろいろな銘柄の酒を飲みたい」──もちろん、この気持ちは強いし、常にそう思ってる。だけど、結果的に「その銘柄のことがもっと知りたい」という気持ちの方が勝つ、それだけ。そしてつい最近気づいたのは、そうして「得意銘柄」を増やした方が、他の銘柄の酒を飲んだときの集中力も高まるんじゃないかということ。それでもいろいろな酒は飲みたいけどね。

「知らない世界」を多く求めるか、それとも「詳しい世界」を少なく突き詰めるか。前者なら世界中を旅行した人間のように、どこに行っても何を見ても「はいはいはい、それはね」とは言えるだろう。後者なら「それはこれとはここが違うね」ということを細かく指摘できるだろう。これらには知見における質と量の違いはあれど、結局そこは「日本酒的知識の総量」においては相殺されるのか──「どっちが偉いかの決着」はつかない──「体験」は量の世界であり「経験」は質の世界である──「体験」を自分の中で再構築するという「次元シフト」こそが「経験」であるという仮定においては。それはまるで「現象」というネガ (データ) を美しい1枚の写真 (紙) として壁に飾るようなものだ。「体験」が「素材」なら「経験」とは「作品」のことではあるだろう。もちろん「取るに足らない経験」が「身を焦がす素敵な体験」に負けることがあることくらいは知っている。



 ▼顧問杜氏の中澤礎氏と現杜氏の黒澤洋平氏。

 photo: さくほ町民キッチン




 さて、話の脱線という一番大事な本題を済ませたところで、もう一つのどうでもいい本題に筆先を移そう──これくらいのことは今や頼めば中学生でも調べておいてくれる。3月生まれの直汲みトリオの赤です。共通するのは「直汲み生原酒」という瓶詰め処理方法と、「麹米:美山錦、掛米:ひとごこち、精米歩合:65」という点。違いは「使用酵母」だけど、これは表向き「非公開」ということになってます。一説によると「たかちよ方式」でラベルカラーをイメージした果実を表現しているらしいが、なるほど、確かにこの赤は「危うくイチゴ」ではあった──実はすでに昨日、軽く2〜3杯ほど呑んでます。

 すでに読者さんが720mlを2本ほど平らげて「旨い」と言っていたので、ここで互いの認識に大きな齟齬があると少し気まずいわけだが (笑) 、さて──。




 誰 (笑) ?
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 ▲マエケンって本当は眉毛が太いのな。あまり似てない似顔絵かと思ったよ (笑) 。


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 bottle size:1800ml




SAKE GRADE:☆☆☆☆½

【388】黒澤 -くろさわ- 生酛 純米 直汲み生原酒 仕込45 赤ラベル 28BY <長野>

黒澤酒造 株式会社:http://www.kurosawa.biz


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 さっきまで「長陽福娘 限定直汲み 純米 山田錦 無濾過生原酒 27BY」を飲んでいてそれなりに酔ってるので、さすがに今日は一杯か二杯の味見だけ。是非とも「黒澤☆4ブラザーズ」との違いを見せてほしいし、オレが望むのは含んだ瞬間の☆4.5以上。


kurosawa_jikagumi_red28by4.jpg 立ち香──おや??? 黒澤ライクな「酸っぱめの赤い果実」がないじゃんかよ。少しウッディーなミネラル感の先読み。あとは薫製 (燻した桜チップ) みたいなスモーキーな香り。グラスに注いで液面を動かします。ん??? チェリー&シナモン? それとも干したクランベリー? いずれにせよ、ちょっと未体験な黒澤フレイヴァー。やや「イチゴミルク」な香りのカラーにも出会うんだけど、これ大丈夫か? そして感じる、やや明利系な唾香 (つばか) も。「トゥワン」まではいってないけど「トゥン」はある (笑) 。まあ、いいや、とりあえず飲んでミマッシュ。

 グラスに気泡 (右下の写真をクリック) ──なぜか栓は「イエロー」より硬い。

 若干「華やかパート」あるね。これはオレがこれまで飲んだ「黒澤」の中では初めてのタッチ。そして「Type-7」も含めた他の「直汲み生原酒」の中では、最もガスは強め。もともとそういう属性の「純米80 うすにごり生」を除けばガスは最強レベル。ちょっと虚をつかれたけど、これは全く想像もしてなかった味わい。速醸的な艶やかさのあるモダン生酛です。







 まず甘いね。ちょっとフランボワーズ系のスイーツさもありつつ、全体には黒澤式のドライ主義、チョークなミネラル感ある。酸のコアは探せるけど、そこから甘みがこぼれ落ちるので、酸っぱさとは無縁のレベル。誤解を恐れずに言えば、すげえ旨い「鍋島 Blossoms Moon 28BY」みたいな感じ。

kurosawa_jikagumi_red28by5.jpg ああ、ちょっと「百春 五百万石 #15」っぽい草感もあるね。これは・・・ヤバイ、一度そこに気づくと「百春」にしか感じられなくなる (笑) 。うん、華やかパートは筋肉質な液性に寄り添うので無駄に泳がないし、スゲえ削げたサイボーグな「百春」という感じ。生酛でコレですかあ。ちょっと新しいのか?

 これは☆4では済まないだろう☆4.5スタートです。しかしこれ、まるで違うな、他の「黒澤」とは。正直、ブラインドでコレ飲んだら、オレは「シャープな百春」と言うか、もしくは「挑発的な宝剣」と言うだろうね──どのみち「黒澤」であることは当てられない (笑) 。

 ワイングラスはやめとくけど、あと一杯だけグイ呑みでオカワリ──。


kurosawa_jikagumi_red28by6.jpg うん、もうちょい果実的な酸が甘みをフォールドすれば☆5ですね。でも凝縮感は素晴らしい。ちょいクセあるけど、無名の銘柄が打って出るにはこれくらいの醸造ダンスは欲しい。やっぱ彼は「できる子」だな。

 立ち香には若干のミルキーな膨らみもあるけど、含むとソリッドなストラクチャーにおける渋みのコアに向かってビッグクランチするように吸い込まれて行くから全く気にならない。ギンギンな漲り (みなぎり) のあるモダン生酛ですね。大いに見所あると思います。

 たぶんこの酒を飲んで「バランスがいい」と感じる人は少ないと思うけど、オレの中では水とのバランス的にここが臨界点ギリギリ。これ以上ミネラル感が強くなると軟水では支えきれない。この凝縮感はイイ時 (よかった時代) の「篠峯」なんかも思い出す。ジュース・パートに煌めく果実的な酸が弾けて「チェリー」などの「赤い果実」が明確に浮かび上がれば☆5だけど、2日目にここが伸びてくる感じはないかな





── 2日目。

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 立ち香──イチゴもあるし生酛由来の乳 (ニュウ) もあるけど、それこそ桜チップ的な焦げ感 (タイヤ香) なんかも少々。いつもの黒澤チョークよりは草っぽさを感じる。キュートな甘やかさと独特のスモーキーさのアンバランス感がいつもの「黒澤」との違いを最も感じさせてくれる部分ではあるかな。ソリッドさの隙間から香る一定量の「華やかさ」に「鍋島 Blossoms Moon 28BY」の幻影を見たのかなあ。



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 ▲そもそも真のセレブは自分で車の運転なんかしない。どうして芸能人や一流スポーツ選手は金があるのに自分で車を運転するのかオレにはわからん。ま、唯一独りになれる完全なるプライヴェート空間こそが車の中なのか。



kurosawa_jikagumi_red28by8.jpg 実は夕食前にも軽く味見したんだけど、そのときよりも「黒澤チョーク」を感じる。ただし、白ではなく黒い木炭系チョーク (笑) 。でも飲み進めて行くと甘みもちゃんと出てくる。基本的にはシャキっとドライなモダン辛口という佇まい。もうちょい果実的な酸のパワーがあれば完璧にチェリーやクランベリーになるんだけど、この酒、このままの方向性を維持して磨き50で造ってほしいぞ。

 昨日より華やかパートは気にならん。ガスも残ってます。☆4組よりは明らかに頭一つ抜けてるけど、Type-7には及ばない。まさにシャープで甘さ控えめの「百春 五百万石#15」という感じ。これまたある読者さんが言ってたけど、まさにシュガーレスな甘味だね。そういう意味では「百春」のカロリーオフ版とは言えるかもしれない。「消える魔球」はないけど、少なくとも酒の芯は軽い。そういや「長陽福娘 限定直汲み 山廃純米 27BY」の思い出にも浸れるね──甘みの質量に関しては。なるほど、これが読者からのフィードバックというヤツか。日頃熱心に教育した甲斐があったというものだ (笑) 。

 いいんじゃないでしょうか。「スモーキーでグレイなモダン・フルーティー酒」という称号を与えようじゃないか。この軽さ、酸の出方を「リトマス陽子」を召還して確かめてみよう。






 紹介します、我が家の「二代目リトマス酒」──「リトマス陽子」です!
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 ▲1800mlサイズのブカブカなラベルのデカさに萌える。



kurosawa_jikagumi_red28by9.jpg まずは「黒澤」を一口──五味のメリハリはあるけど、液体の質量は削げた軽やかさがある。退けにかけての跳ね返りは程良いアクセント。

 そして「陽子」──スゲえよく見えるメガネ (笑) 。MJK (マジか) 。まるで「山廃」みたいなクリアネスすら感じる。

「黒澤」──ストラクチャーのコアが見えにくい。ガスもまだあるし、なんかモコモコとツリーの枝に諸々が〝やや過剰に〟引っ付いてる感じ。比べると意外に「情報量の多い酒」ということがわかる。オーナメントが風に揺れてます。

kurosawa_jikagumi_red28by11.jpg 「陽子」──スゲえクリスタル。MJK Part II (『マジか』第二期) 。どっちがジューシイかと言えば明白に陽子。それこそ「消える魔球」だよ──ただし、TV番組の企画で往年の名投手が大して落ちない〝なんちゃってフォーク〟を投げさせられてるレベルではある。それでも「陽子」のスパっと感は尋常じゃない。これは纏いの熟味に騙されてる場合じゃないな。ジュース至上主義を否定はしないが──それはそれでイマドキの日本酒を飲む際の最大の楽しみであることは確かだろう──、まあ、それでも所詮は一面的な理解に過ぎないだろうね。この2つを飲み比べれば誰でもわかることだよ──熟味や熟香は来てる服で、裸の女体そのものではないということが。

 そうね、ヤスリの目の粗さが違う感じ。「黒澤」はザラザラしてます。「陽子」は仕上げ用の目の細かいヤスリ。もはや液性そのものは淡麗だよ (笑) 。面白いねえ。とはいえ、ジュース・パートは「黒澤」の方が上ですよ。そりゃそうだ。「陽子」のジュース・パートが27歳の若々しさだったら☆6だもの。でも、こうして比べると、ストラクチャーとしての美しさは桁違いだよね。残念ながら「今の陽子」はもう抱けないけど。

 最後にワイングラスでも──。


kurosawa_jikagumi_red28by12.jpg 文句なしの☆4.5ですね。ワイングラスとの相性もイイです。なにより見所がある。ウカウカしてると「百春」も「山間」も「黒澤」に追い抜かれます。「風の森」はもう後方の彼方なので無視していいでしょう。

 ちょっと「美味しい歯磨き粉」みたいなニュアンスがないわけじゃないけど (笑) 、いいと思います。決して万人ウケはしないだろうけど、オレは魅せられる。ただこれは虚を突かれる生酛というか、ちょっとフューチャー系ですね。サイボーグ化された「百春」や「山間」というコンテクスト (文脈) で飲むのがオツではあるだろうね。

kurosawa_jikagumi_red28by13.jpg まるで瓦煎餅ジュース (笑) 。でも、これがいいんだな。「鍋島」の飯盛杜氏に飲ませたら「Blossoms Moon 28BY」の出来を恥じて白髪が増えるだろうね。まさかここにそんな人はいないだろうけど、もしも「鍋島 Blossoms Moon 28BY」を旨いと思ってる人がいたなら、これ飲んで出直した方がいいとは思うよ。ま、これは個人消費者ではなく全国の「鍋島特約店」の酒屋に対して言ってるんだけど。

「陽子」はエクストリームな天才酒だから、ストラクチャー勝負じゃ全く適わないけど、これはこれとしてイイと思います。これがあれば「山間」はもう要らないかな。「百春」も28BY程度の出来なら別にもう要らないかな。あとは「酸」だけだ。もっと7号系を使った方が活きる銘柄だと思うけどなあ。ま、29BYの仕込み前には蔵元に熱いメールを送っておきます。

 あと、moukan1973♀が意外な反応を──♡☺♡「甘いなあ」だと (笑) 。これを「甘い酒」として認識したらもう日本酒は飲めないぜよ。家に帰ってからちゃんと飲ませたら♡☺♡「旨い」とか言ってるし、そこまで気にする読者もいないとは思うが、少なくともオレは「甘口」の酒だとは思わないな。もちろん、原料が米なんだから甘みはあるし、たしかに「黒澤」の中ではキュートな表情あるけど、ビシバシな苦みと渋みは健在だしね。





── 3日目。

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 ▲最後は視聴率良かったみたいじゃん。有島くん (劇団EXILE) が奥さん (仲里依紗) に刺される展開を期待してたんだけど、あのクズ、普通に円満な家庭を取り戻してるし (笑) 。リョウちゃん (東出昌大) もサイコ・フィールド全開というわけでもなく、幼少期のトラウマの原因がイマイチ見えにくかった。ま、全体には糞ドラマだったけど、後半は有島くんのリアル過ぎるアーパー演技が冴え渡ってたし──今、軽薄なバカを演じさせたら彼の右に出る役者はいない──、ミツ (波留) の葛藤なき空虚な内面も彼女の三白眼フェイスに徐々にしっくりしてたし、キャスティングは回を追うごとにそれぞれが役にハマってた。ショコタンの猫人間タッチも本人そのもので良かったし。ただ、最終回における主題歌のハマってなさすぎは少し問題だろ (笑) 。



 立ち香──たった一度でも出会ってしまうと、もうそこからは簡単には離れられない「桜チップ」や「タイヤ」の香り (笑) 。

 ちょっと放置したいので、今日は軽く一杯だけ──。

 おや? まだ少しだけガスあるね。これを完全に抜いてシロップにしたいんだよな。これだけギシギシしてりゃ、そう簡単に「水」にはならんと思うし。やっぱもうちょい甘酸っぱいタッチの味の輪郭がほしいかなあ。これだと果実的な甘酸コントラストには達してない。

 酸は甘みに対して面で寄り添うものの、旨みの切面がそれなりにギザギザしてるので、完全な球体にはならない。ま、今日も「カロリーオフでシャープな百春」というニュアンスはある。香りにはイチゴミルクな感じもあるにはあるけど、含むとワイルドなテクスチャーで、退けにかけての「黒澤チョーク」もあるので、28BY的な「牛乳@お花畑」は特に感じないかな。 桜チップ様の焦げた渋みのコアには力強い酸の凝縮感もあるので、ド頭の甘みはこれがすべて引き受けてくれる。このバランスならミルキーな旨みが広がって「カルアミルク」っぽいホロ苦甘いタッチが出てきてもいいような気がするが、やっぱ速醸のような旨みの広がりは「黒澤」にはないんだろうな。

 まだまだオーナメントが風に揺られてワサワサしてるけど、これが1年経つと互いにまとまって──液性のテンションが高まって、逆にスリムで軽やかなストラクチャーが浮き彫りになるのかな。速醸は熟成させるとジュース・パートがブチャけるが、非速醸は逆に削げてストラクチャーとジュース・パートとの乖離が進むということを現時点での最新の仮説にしておきます。いいの、いいの、今はオレだけがわかってれば。



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 ☆4.5でフィニッシュしておきます。まだ残りもあるけど、これより先はリトマス的に使うので、レギュラー飲みはこれにて終了。


moukan1972♂






日本酒 生酛 山廃 黒澤 on_list_excellent

Comment

Name - moukan1972♂  

Title - To 酒バカさん



毎度です。

少しご無沙汰でしたが、変りなく酒を楽しんでるようで安心しました。

「黒澤」は「純吟」「特純」「直汲みイエロー」に☆4を付けてますが、その中では僕も「特純」が一番バランスいいというか、名刺代わりになる「黒澤らしさ」があると思ってます。「純吟」は更に艶やかで香りも出てるので、もしかしたら好きかもしれませんね。


──個人的嗜好としてはちょっとカロリーオフ過ぎて物足りないかな

そうですか! 人によって感じ方が違って面白いですね。甘さの質量は少ないですが、僕にとっては十分に味が出てますね。旨みの膨らみ方、消え方が速醸とは少し流れが違うので、やや肩透かしを食らうというか、フェイントでかわされる不思議なニュアンスありますが、僕はこの独特の立体感に「山廃」や「生酛」の可能性を感じるんですね。今は一面的には「香り全盛」とも言えますが──フルーティーで甘くて日本酒っぽくない日本酒が人気──、この「ポスト香り酒」としての「新しい旨みの立体構造」に注目してるわけです。



2017.06.25 Sun 10:47
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Name - 酒バカ  

Title - 

いやぁ、これ、軽いですね
カロリーオフでシャープな百春
まさにこれ、ズバリの表現!

個人的嗜好としてはちょっと
カロリーオフ過ぎて
物足りないかな、同時に開けた
黒いラベルのひとごこち米の
特別純米のほうが酒としての
完成度は低いものの味わいが多彩で
好みでした。
2017.06.24 Sat 20:12
Edit | Reply |  

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