◤六十餘洲 - 純米 山田錦 生酒 28BY ── dಠಠb「まるで清楚な美人がワンポイントでストレンジな古着を身につけてるみたいな異化がある」#Umakuchi, Okan 



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 早くも今季2本目の六十餘洲 (ろくじゅうよしゅう) です。初呑み銘柄の素早いリピートはそれだけオレが実力を認めているということの証左なわけだが、今回はタイミングも良かった。前回の「純米吟醸 山田錦 生酒」同様、表参道ヒルズに入ってるメガネ屋 (LUNETTES du JURA) 帰りに無駄なく「はせがわ酒店」で拾えた──なんだかんだで通販は「同梱問題」あるから面倒臭い。

 ここの蔵は火入れの通年展開がメインなので、生酒ロットはこの時期のみの限定ヴァージョン。本州では比較的マイナーな銘柄だし、生酒は出回る数も少ない。都内で扱ってるのは、オレの守備範囲だと「はせがわ酒店」と「碇屋酒店」くらいかな──他にもあるかもしれないけど調べてない。


rokujuyoshu_junmai_nama28by3.jpg 創業は1772年で生産量は2013年の時点で約1600石とのこと。この「六十餘洲」という銘柄は法人化の際に昭和9年に立ち上げたみたいね。全部下のサイトに書いてありました。

 地酒専門店 佐野屋
 新進気鋭 酒蔵訪問の旅「六十餘洲」


 今回は山田錦の65磨き。あまりブランド米にはこだわらず、地元周辺で入手できる山田錦をてらわずに使ってるみたいね。だから純米吟醸も磨き50で720mlが1,728円 (税込) だし、この純米は1,350円 (税込) と、比較的リーズナブルな値段に抑えられてる。ま、旨ければ高くでも文句は言わないけどさ。

 オレの中では数少ない「サンタリーテ銘柄 (酸、足りてる銘柄) 」なので、今回もほんのり期待しとく。あ、わかってるとは思うけど、最近またアクセスが増えてきてるので一応確認しておくと、

「酸、足りてる」=「酸っぱい酒」

という意味じゃないからね。予告してる『酸コラム』を書いてる暇がなかなかないけど、ここで言う「」とは、簡単に言えば、甘みや旨みに対する「輪郭」や「縁取り線」のこと。果物換算で考えてみ? イチジクや柿は、酸、足りてない。リンゴやオレンジは足りてる。さらにオレンジ、味の薄い水っぽいハズレのヤツは足りてないと、そういう感じ。わかったからと言って得することはあまりないので──知らぬが仏──わからない人は一生そのままの方が幸せ。そうしないとオレみたいな☆3星人になっちゃうから。




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 ▲あまり知られてないけど、キューピーのマヨネーズは「瓶ヴァージョン」の方が遥かに旨い。


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 bottle size:720ml




SAKE GRADE:☆☆☆☆½

【321】六十餘洲 -ろくじゅうよしゅう- 純米 山田錦 生酒 28BY <長崎>

今里酒造 株式会社:http://www.64sake.com


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rokujuyoshu_junmai_nama28by4.jpg 立ち香──おっ、なんか熟れ茶なカラーあるよ。純吟とは別人。穀物由来のカツっとした香ばしいミネラルの輪郭がある。発散レベルは、たとえば派手な雄町酒なんかに比べれば穏やかだけどね。フルーツ換算だと熟し始めた赤いブドウだろうね。まあでも、誰もこれをフルーティーとは言わないだろうな。ビターに甘茶けた、新酒なのにいきなりこなれたタッチ。ある酒屋の商品説明にある「封開け、少し硬い感じがありますね、これは純米吟醸の生酒にもありました」という言説はひとまず嘘──もしくは気の迷い──もしくは味覚の迷走──もしくはオレへのカマってちゃん攻撃の一環。

 ひとまず呑んでみましょうか──。

 いいな。酸、足りてます。ファースト・インプレッションの限りにおいては「純吟」の方が好きだけど、これはこれ。すでに熟したようなカラーもあるけど、寝かせればもっとトロトロに甘くなりそうな気配。半年寝かせて秋に「お燗」も良さげな酒質。この状態だと少し甘渋いタッチもあるけど、而今の八反錦生よりは全然いいんじゃないの (笑) ?


rokujuyoshu_junmai_nama28by5.jpg やっぱ「酸の使い方」が上手い蔵だなあ。そして、ちゃんと「純米65」的な属性を「純吟50」とわかりやすく差別化してるあたりも実に好ましい。この「純米」には、洗練さとは少し距離を置く「地酒的な秘境感」があって、それでも実はキレイなプロポーションなんだけど、まるで清楚な美人がワンポイントでストレンジな古着を身につけてるみたいな異化がある──つまり、キレイなのに汚れてるというアンビバレントな魅力がある。甘みも苦みの中からジュワっと滲み出てくる流れで、実にイイ感じ。大人サイズの小さな旨口感というか、これは好きだね。是非、同じ精米歩合で「雄町」の酒を造って下さい──そんな感じ。

 退けに掛けてのピリっとしたアルコール感もあるけど、全体の味曲線は非常に美しいバランス。逆に「純吟」よりアラが目立たないかもしれない。甘さ控えめのスリムなカルアミルク感もありつつ、赤い果実味の小さなジューシネスは可憐。

rokujuyoshu_junmai_nama28by6.jpg ワイングラスで──。

 旨みの切面に、少し熟れた生酒に特有のギザギザなテクスチャーがある。 ちょっとオイリーな香りの潤い感は、まるで液性に対しての、酸による〝つや出しワックス〟のよう。そして香りだけなら「完全なる美酒」です。

 いいな2。なんというか「純吟」より隙がない。わかりやすいフルーティネスやキャッチーさは目減りしてるので、オコチャマ舌は「純吟」を好むだろうけど、酒としてのwell-made感は純米の方が上。ひとまず☆4.5を付けておこうか。


 そしてワイングラスだと出てきましたよ──「ぼんたん飴」ライクな柑橘系の酸とモッチリ感が (笑) 。それでも過度に人懐こいモッチリ感はないので、すごくエレガント。山田錦65でここまでエレガントな生酒って他にあったかな。「鶴齢」なんかはセメダイン大盛りだしね (笑) 。これ、完全にワイングラス向きだわ。つうか、☆5に向かって走り出してるんだけど。これ一升瓶で1年くらい寝かせたら面白そうだねえ。☆4.5は揺るぎないし、スペック的な麗しさ (「美しい水」属性への有り難み) を除外するなら「純吟」よりも完成度は遙かに上。この完成度で山田錦40とかあったらマジ泣くで。

rokujuyoshu_junmai_nama28by13.jpg いいな3。しっかり苦いし辛みもあるけど、甘さを手仕舞う役割としては極めてシックかつアダルト──酸が効いてる。最近だと「残心」なんかでもこういう流れはあったけれど、「六十餘洲」の方が明らかにwell-madeです。ま、あっちは「益荒男ふんどし酒」なので、同じ目線で語ることに意味はないが (笑) 。

 これは熟成によって☆5にリーチする酒だろうな。東京在住の田舎者やガキがネットでウキョウキョ騒ぐような酒じゃないけど、そういう連中を常に遠巻きに小馬鹿にしてる我々のような大人にはドンピシャの酒です。甘みの出方、酸によるそれの手仕舞い方は「ろくまる雄山錦 26BY」を思わせるほど。もちろん、天下の「篠峯26BY」に比べたら、これでも酸は足りてないけど、平均以上には足りてます。温度がJOに近づくと甘さを全て回収しきれなくなるけど、そこは御愛嬌──「ろくまる雄山錦 26BY」は全部回収する。

 まだ1合強残ってるので、2日目が初日よりも旨くなってたら、迷わず☆5を付けます





── 2日目。



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 ▲背後のヘロキは日本で一番豪華な料理酒。



rokujuyoshu_junmai_nama28by8.jpg 立ち香──やっぱ香りは穏やかなレベルだと思う。むしろ昨日より「赤」のニュアンスが抜けて落ち着いたトーンになっちゃった。秋のある晴れた日に、夏の暑かったあの日の思い出に浸る感じよ (笑) 。

 ☆5を目指します──。

 ああ、なんか全体に大人しくなっちゃったかな。もっと甘みが膨らんで来ると思ったんだけど、これは意外。720mlの残り250mlくらいなので、劣化のスピードは速いんだけど。ちょっとまだ冷たすぎるかな。瓶は冷蔵庫から出しておこうか。うん、逆に「甘」が引っ込んで「酸」が暴れてきちゃったね。やや「軋み」も出てきた。これは想定外。☆5にはリーチできず

 ワイングラスで──。


rokujuyoshu_junmai_nama28by9.jpg ああ。ちょっとモッチリ感がマシマシになっちゃったねえ。これがあるから720mlというアマチュア・サイズは困るんだけど、1800mlだったなら、もっと違う2日目と出会えたはずだと思う。二人だと1200〜1500mlくらいが丁度いいんだよなあ。

 果実味と甘みが行方不明中──。

 なんか急に削げちゃった。なんだろうなあ。ちょっと温度が上がってからの方がいいかな。なんか今日はやたらビターかつモノクロなトーン。赤の色素が抜けて、まさに想い出セピアな2日目です (笑) 。

 それでもキレイな液性だけどね。ちょっとホロ苦さが強めに出ちゃってるけど、食中でも味や香りが潜らないのはポイント高い。正直、初日を超えてくる感じはない。甘さも赤い果実味が抜けて水飴みたいな甘さのみになっちゃった。うーん、☆5を付ける気まんまんだっただけに残念。酸の出方は今日もそこそこいいけど、やや「渋み」寄りの関わり合い方にシフトチェンジ。ワイングラスでチビチビ温度変化を楽しみながら呑む分にはシックでいいけどな。

rokujuyoshu_junmai_nama28by10.jpg レンジ燗──。

 甘ぁ〜い。いいかも。最後はピリっと辛いけど、旨みも広がりすぎず──この旨みのBodyに適度な輪郭 (縁取り感) を与えているのが「」ということだ──、なかなかにイイ塩梅。ただし、お燗の飲み頃はまだ先だな。お燗を楽しむなら秋まで生熟がいいだろうね。そしてわかることは、やはり、この銘柄はいちいち酸が足りてるということだ。何度も言うけど、別に「酸っぱい酒」じゃないぞ。「甘み」「旨み」の浮き上がり方がクッキリしてると言えば伝わるか。まあいいさ、バカ舌はバカ舌を一生貫け、それが身の為だ。




 moukan1973♀が合流。
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 ♡☺♡「酸、足りてるわ〜」──ただし、どんなバカ舌でも、厳しい訓練を日々受けつづければ、これくらいはわかるようになる。言っちゃえばmoukan1973♀はオレと同じ酒をオレの解説を聴き (読み) ながら年間250種類以上も呑むわけだから、そりゃあ、そこらのバカ舌の中にあっては、まさに「バカ舌界の女王」だろうよ (笑) 。

 さて、評価だ。☆4.5ステイで。本来であれば1日で呑み切っていた720mlサイズなので、初日のインプレッションを優先させよう。

 取り立てて際立つ酒ではないが、とにかく我々のような大人が落ち着いて安心して美味しく呑めることが何よりのチャームポイント。新酒なのにすでにこなれた程よい旨口感があって、五味に対する酸の縁取りもエレガント。甘さは熟成でグングン育つと思うし、そうなればお燗もバッチリだろう──この状態でも十分にイケるが。ワイングラスで15〜20℃付近の温度帯でチビチビやってもイケる。そうかと言って、脇役と言うほど地味じゃない。

 そうそう、雄町50の生がもうすぐ出るみたいね。読者さんからタレコミがありました。買おっ。


moukan1972♂





 空き瓶調査隊
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 ややクセのある穀物由来の複雑味。カラーは完全にラベル同様にダークブラウン。酸はしっかり出てる。なんか大豆というか、醤油の醪のような酸 (笑) 。甘みはそれほど感じないが、奥にミルキーな旨みの蕾がある。全体には珍味系です。少し「磯臭い感じの老ね香」の先読みがあるが、管理さえ間違えなければ大丈夫だろうとは思う。



日本酒 六十餘洲

Comment

Name - moukan1972♂  

Title - To ムーミンさん



こんばんわー。


──上喜元の渾身、初日はかなりオススメできますが、2日目以降は普通以下になりましたので、720がオススメです。

貴重なアドバイスありがとうございます。うちは夫婦二馬力なので、旨ければ720mlは一晩でなくなります。まだ売ってるみたいなので、タイミングが合えば買ってみます。週明けに9本の酒が届くのと、明日も近場で2〜3本買うかもしれないので、どのみち少し先になります。

また何かあればタレコミ宜しくお願い致します。


2017.03.19 Sun 23:33
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Name - ムーミン  

Title - 720がオススメ

こちらこそよろしくお願いします。

上喜元の渾身
初日はかなりオススメできますが、2日目以降は普通以下になりましたので、720がオススメです。
2017.03.19 Sun 20:43
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Name - moukan1972♂  

Title - To ムーミンさん



ムーミンさん


はじめまして、moukan1972♂です。
コメントありがとうごさいます。


──六十餘洲美味しいですよね。 毎年、2升くらいは飲んでいます。

いいですねえ。山田錦50と65は全く違う酒質なので、それぞれ楽しめました。大人が落ち着いて飲めるwell-madeなお酒です。28BYで初めて飲みましたが、これからリリースされる雄町50の生も非常に楽しみですね。


──さて、上喜元の渾身(今年は仕込61号)飲みましたか? 個人的に好みのベクトルは同じだと思うので(??)、是非ブログで取り上げていただき、コメントを聞かせていただければと思っています。

飲んだことないです。近所の酒屋で「上喜元」の扱いはあるんですが、これがあるかどうか、ちょっと見てみます。

「六十餘洲」は「酸、足りてる銘柄」というアプローチで飲んでますので、僕が「上喜元」で同じベクトルを感じれるかどうかは分かりませんが、ちょうど手を伸ばしてみたい銘柄だったので、買う可能性は高いです。僕が☆6を付けた「米鶴 山廃 純米大吟醸」も是非飲んでみて下さい。

今後とも宜しくお願い致します。

2017.03.17 Fri 00:18
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Name - ムーミン  

Title - No title

六十餘洲美味しいですよね。
毎年、2升くらいは飲んでいます。

さて、上喜元の渾身(今年は仕込61号)飲みましたか?

今年もなかなかの出来栄えだと思いますよ。

個人的に好みのベクトルは同じだと思うので(??)、是非ブログで取り上げていただき、コメントを聞かせていただければと思っています。
2017.03.16 Thu 22:53
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Name - moukan1972♂  

Title - To 酒バカさん



毎度です。

「純米」の2日目は甘みが潜っちゃいましたね。温度が上がってくると巻き返しもありましたが。。

「純吟」の生はぼちぼち完売ですかね。それぞれ違う味わいですが、キレイで酸足りてる感じは共通してます。イイ時の「冩樂」のような艶やかな果実味はないですが、派手に旨すぎずに落ち着いて呑める感じがいいですね。wel-madeを楽しむ酒というか。僕は両方とも気に入りました。

生酒は確かこの2種類で終わりだった気がしますが、米違いとかでもっと出して欲しいですね。「純吟」あたりは火入れも買ってみようかと思ってます。

2017.03.16 Thu 10:34
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Name - 六十餘洲  

Title - 

全くのノーマークの銘柄です
なんとなく銘柄名に引かれずスルー
してました。

買ってみます!

2017.03.16 Thu 04:40
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Name - moukan1972♂  

Title - To めいさん



こんばんわー。

こちらのコメントは、せっかくなのでBBSの方に転載しておきました。

http://moukan1972.blog.fc2.com/blog-entry-657.html#comment1369
2017.03.16 Thu 00:06
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Name - めい  

Title - 残草蓬莱 Queeen

こんばんは。

本日残草蓬莱のQueeen(29/2)を開けました。

去年同様、甘味と青リンゴっぽい酸をかすかなガスでまとめる超危険な旨酒です。

低アルなのでこのまま四合瓶が今晩空いてしまいそうです…
2017.03.15 Wed 19:43
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