◤残心 - 特別純米 袋吊り 無濾過生原酒 27BY ── dಠಠb「むしろ苦くて渋くないと全く魅力のない酒になるという意味では稀有」#Unique 



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zanshin_tokujun_fukuro27by3.jpg 福岡の「残心 (ざんしん) 」です。初めて呑みます。中心銘柄は「九州菊 (くすぎく) 」で、この「残心」は蔵元の「こだわりの酒」という位置付けのようです。実際、いかにもスペシャルな「山田錦30」なんかは「残心」としてリリースされてます。

 こちらのお酒は『酔いどれオタクの日本酒感想記』のまるめち氏が薦めてくれました。というのも、お互い、実は奈良の「うのかわ酒店」をちょいちょい使っていて (たまたま) 、オレは26BYの「篠峯」の売れ残りを去年2本ほど (雄町50生、愛山45生) 漁ったんだけど、その話の流れでこの店で買えるオススメ銘柄として「残心」を紹介してくれたというわけ。通販組にとって同梱問題は死活問題なので (笑) 、こういう情報は非常に助かります。

 そうそう、地味にfacebookのフォロワーが20人を超えたので、遂に自前のアカウントを手に入れました。

 モウカン夫婦の日本酒備忘録
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 この「袋吊り無濾過生原酒シリーズ」は「新酒時期」限定らしいんだけど、まあ、こう言っては失礼だけど、マイナーな銘柄なので「蔵元完売」とはならず、去年の12月に最終出荷 (?) という形でバックオーダーされたものを拾えました──それまでずっと「うのかわ」では売り切れ状態が続いていた。ゆえに27BYです。見た目にもスペック的にも──「日本酒度:+4、酸度:1.9、アミノ酸度:1.9、ALC.:18.9」──非常に「強そうな酒」なので、生原酒であっても1年くらい屁でもないでしょう。みやこ町産「夢一献」の60磨き、袋吊り無濾過生原酒です。ハードな酒がつづくけど、ガス有りの繊細な酒は基本moukan1973♀と一緒じゃないと開けないので、明日 (土曜) 以降の劣化の少なそうなこの酒を「菊正宗 しぼりたて ギンパック」の口直しにチョイスしてみたというわけ。





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 bottle size:720ml




SAKE GRADE:☆☆☆☆

【318】残心 -ざんしん- 特別純米 袋吊り 無濾過生原酒 27BY <福岡>

林龍平酒造場:http://www.kusugiku.jp


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zanshin_tokujun_fukuro27by4.jpg 立ち香──ああ。コレ系かあ。熟したブラックなベリー系。プルーンとかレーズンとかのドライフルーツなタッチもあるけど、そこまでフルーティネスの彩度が高いわけじゃない。むしろコアにはミルキーな旨みの揺らぎがある。決して洗練されたタッチはないけれど、ドスンとした力強さはある。穀物由来の複雑味もあって、そのへんが地酒的な秘境感の発露としては好ましい。結構「酸っぱさ」の先読みはある。全体にこの香りのフォルムは嫌いじゃないですよ。

 期待できるか──おっ、ちょっと黄色い。


zanshin_tokujun_fukuro27by6.jpg ほうほう、勝手な予想に反して、別にドッカンファイヤー (甘み・香り・旨みの派手なインフレーション) な酒質じゃない。むしろ味幅はスリムというか──違うな、旨みが潰れて平らに伸びるイメージ──喩えるなら丸い団子を潰して板状のガムを作る感じだ。

「山廃的なプレス感」とはまた違って、余韻の中にある、舌をジリジリ締め上げるような濃度高めのジョリジョリした渋みが、前半のスリムな味わいに後から影を付けて立体感を与える感じだ。それはまるで、 子供の描いた平面的な絵に大人が後から陰影を付けて三次元的な実体性を再構築する、あのリライト感覚に似ているかもしれない。つまり、旨みの膨らみやファットな味幅によって液性が三次元化されるのではなく、余韻における〝渋みというペン入れ〟によって旨みがワンテンポ遅れて立体化するという流れだ。ゆえに含んだ瞬間はなぜかとても軽やかに感じるのに、一連の「嚥下物語」の最終回を見終えた後には「濃醇な酒」を飲み終えたという不思議な充実感があるわけだ。

zanshin_tokujun_fukuro27by5.jpg そこまで派手に味ノリしてる感じはなく、むしろファースト・インプレッションは〝民族衣装柄のキレイな水〟というもの。少しブランデー様のスモーキーな甘茶けた苦みもあって、このへんが実に秘境的。「花泉 上げ桶直詰め」なんかとも被る要素もあるけど、「残心」の方が五味一つ一つの芯が強いし──つうか「アミノ酸度:1.9」は少し振り切れすぎ (笑) ──、甘・苦・渋のトライアングルが極めて男性的なフェロモンに満ちてるというか、変な話、ふんどし姿の益荒男が汗だくで三つ巴になってるみたいな胃もたれスレスレの猥雑さがある (笑) 。少し軋むような液性には水の硬さを感じるし、同じ洋酒ライクなニュアンスを感じさせる「花泉」よりもゴツゴツした嚥下のプロセスがある。あっちはツルツルだしね。香りの柄は似ていても生地の素材が真逆という感じ。化繊の「花泉」に対して「残心」は目の粗い麻 (キャンバス地) のよう。


zanshin_tokujun_fukuro27by7.jpg これはこれかな。☆4です。あんま冷たくない方がいいな。水の硬さと共に、とにかく舌にいろんなものが残るので、オレに関しては好んで原酒のままガブガブ呑む気はしない。それこそブランデーグラスでチビチビやるのがいいだろうね。渋みに力強さがあるので、温度が上がっても「花泉」みたいにダレることはなさそう。

 これもALC.が19度近くあるので、ロックにしてみようか。もうちょいわかりやすく日本酒的なフルーティネスが出てくるはず。

 ああ、これくらいの方がいいかな。今思い出したけど、たまたま同じ福岡だと、オレの中では「若竹屋 Debut 純米 無濾過生原酒 27BY」の方がwell-madeかつモダン。でもコレはコレだね。秘境感は「残心」の方があるけど、この二つの酒には、まるで病院で生き別れになった双子の兄弟のような、まるで違う人生を歩んでまるで違う大人に育ったけど、DNAレベルでは中身は同じみたいなパラレルを感じる。なので、オレからは「若竹屋 Debut」を逆オススメしておきます。ちょうど27BYが飲み頃なので、新酒を待つ必要は特にない。

zanshin_tokujun_fukuro27by8.jpg それにしても「残心」ってば、なんつうか、まるで「苦み」や「渋み」が全くマイナス要素にならない稀有な酒。むしろ苦くて渋くないと全く魅力のない酒になってしまうんじゃないかとさえ感じるほどだ。そして、温度が上がってきた方が断然いい。そこは「花泉」とは逆。甘さはプルーンとかの、ドライフルーツ系のそれなので、主役はあくまでも「渋み」と「苦み」。ちょっと草っぽいハーブアロマも出てきた。食中も負けない。「花泉」も熟成させればこういうニュアンスが出てきそうだけど、あっちは水が柔らかいから違ったニュアンスになるのかな。


zanshin_tokujun_fukuro27by9.jpg いいですね。ミルキーな旨みの膨らみもあるけど、「牛乳か!」の三歩手前で踏み止まって、この焦げた苦みが全部さらって行っちゃう──これがいい。あまり「苦いからいい!」と思った日本酒はないと思うんだけど、これは数少ない「苦くなきゃダメな日本酒」。夢中になることはないけど、こういう酒はあっていいと思うし、少しマニアックな選択肢の一つとして手元に置いておきたいカードではある。それでもオレは「若竹屋 Debut」の方が好きだけど (笑) 。

 ただしこれ、オレは原酒のままで呑む気はしない。「アミノ酸度:1.9」は少し異常 (やりすぎ) 。あれよ、原酒のままだと、まるで豚の肩ロースをさんざ「しゃぶしゃぶ」にして残った茹で汁 (灰汁まみれの煮汁) みたいなクドさ (エグみ) がある──旨み成分が多過ぎて喉越しがゴリゴリする、あの感じ。オレはこれを──それこそ「灰汁 (あく) の強さ」だとは思っても「個性の主張」だとは思わない。〝ある種の飲みにくさを乗り越えた先〟にマニア的な恍惚があるのは理解できるけど、必ずしもwel-madeの証左とはならない。よりこの酒の上質さを正確に味わいたいなら、少し氷で薄めて呑むことをオススメします。





── 2日目の昼下がり。



 moukan1973♀はこの日が初めて。
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 ♡☺♡「なるほど (笑) 。まあまあか?」──少し薄まり過ぎたようなので、グラスに原酒を足す──♡☺♡「いい! おお、これは大人の酒だ。日本酒を呑んでる感じは全くしないけど、食後にチビチビ呑むにはいいかもしれない

 そこは好みの問題も大いにあるだろうが、我々はこれを原酒のままRS (れいしゅ) でグビグビ呑むことは絶対にしない。むしろ一升瓶をJO (じょうおん) で足元に放置し、少し飲み足りない時や食後や寝酒にロックでチビチビやるのが吉な酒だと思うわけだ。それでも「アミノ酸度:1.9」はヤリスギ。次は「山田錦30」あたり、呑んでみようかね。どこに売ってるんだろう (笑) 。


moukan1972♂






日本酒 残心

Comment

Name - moukan1972♂  

Title - To まるめちさん



毎度です。


──いやあやっぱり個性的というか、なかなか無いタイプのお酒ですよね。 少なくとも「面白さ」を共有できて良かったです、ある意味こういうお酒なら、マニアなら好みに左右されず楽しめるのかもしれませんね。

正直、「造りとしてはどうなの?」というくらい粗暴というか無頼な荒々しさもあったけど、結果として魅力的なんだから認めざるを得ないという (笑) 。実はまだ1合強ほど常温で残してあるので、少し間をあけてロックで飲んでみます。オレの中ではもはや「日本酒」として扱う気はないというか、ほんとブランデーみたいなノリ。


──最近、東京で全く売られていない地方蔵にも、昨今の有名銘柄の水準に達しているところがやはり結構あるんじゃないかという気が強まってきました。

まあ、貴方の、見たことない銘柄の純米60無濾過生原酒なら問答無用で買うという偏執ぶりは、もはや「一芸」の領域だからね (笑) 。


──むしろ、残心みたいに東京の流行に流されない個性を保っており、かつ一定水準を満たしたお酒が地方にはまだまだ残っていて、「地元の面々がそれを独り占めしているのでないか…許せぬ」という妄執に最近取り憑かれております(笑)

十字旭 雄町70 三年熟成 生原酒」あたりも好きだと思うよ。これはオレの中の「濃醇MAX」の指針。未だにこれ以上の濃い酒には出会ったことないです。ま、「十字旭」は東京でもちょいちょい買えるけどね。


──例によって長々と自分語りすみません… どうもこちらのブログにはそういうことを書きたくなる引力があるようで(笑)

なぜか、みんな、長いし暑苦しい。ま、オレの記事そのものが一番冗漫だから仕方ないんだけど (笑) 。

「桃の里」も岡山かあ。岡山は日本酒的には若干マイナーだけど、「和心」とか「克正」とか、個人的には一目置いてる銘柄のある県なんだよなあ。

2017.03.14 Tue 01:09
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Name - まるめち  

Title - 

毎度紹介リンクありがとうございます!

いやあやっぱり個性的というか、なかなか無いタイプのお酒ですよね。
少なくとも「面白さ」を共有できて良かったです、ある意味こういうお酒なら、マニアなら好みに左右されず楽しめるのかもしれませんね。
もちろん、一定水準を満たしているのが大前提ですが…、残心なら大丈夫だろうとも思っていました。


最近、東京で全く売られていない地方蔵にも、昨今の有名銘柄の水準に達しているところがやはり結構あるんじゃないかという気が強まってきました。
少し前までは、東京の地酒屋さんなら相当広く吸い上げているだろうし、東京で売らない(売れない)蔵は結局古臭い地元銘柄にこだわっていて、自分好みのお酒は無いだろうと勝手に思っていたのですが、どうやらそうじゃないっぽいです。(何だかんだで東京に集まるお酒は似通いがちですし)
むしろ、残心みたいに東京の流行に流されない個性を保っており、かつ一定水準を満たしたお酒が地方にはまだまだ残っていて、「地元の面々がそれを独り占めしているのでないか…許せぬ」という妄執に最近取り憑かれております(笑)

まあそれは「桃の里」という銘柄に出会ったことが大きな要因なのですが…、詳しくは自分のブログに書く予定です。
本当、頑固な地方の無名(失礼!)銘柄と自分の好みが合ったときの喜びは凄いものがありますよ…剣菱好きな人ってこんな感じなのかも。

例によって長々と自分語りすみません…
どうもこちらのブログにはそういうことを書きたくなる引力があるようで(笑)
2017.03.13 Mon 22:44
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