◤裏篠峯 ろくまる - 純米吟醸 雄山錦 直汲 無濾過生酒 26BY ── dಠಠb「酸のブラックホールがその全てを鮮やかに飲み込む!」#Well-Cured, Unique 



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 ろくまるです。ざっくり言うと「篠峯のキャッチー版」という感じの商品。もちろん、28BYの「雄山錦うすにごり」と「八反うすにごり」は☆2の劇画調スパルタ酒なので、人生の厳しさや苦悩する天才の足掻きに接したいという変わり者以外、呑む価値はZEROです。むしろ平気で売られてること自体が罪なクソ酒です。

rokumaru_oyama26by3.jpg 先日の『味クラーヴェ』で開ける予定でしたが、酔いのペースと折り合わず、泣く泣く断念したら、ちょうどいいタイミングが訪れた。そう、私事ですが、2/19が「結婚記念日」だったので、どう考えても「町田酒造 - 限定にごり 特別純米55 五百万石」程度じゃ我々の記念日を華やかに彩ることは不可能だと判断し、町田くんには乾杯酒として一定の役割を果たしてもらって、後半戦はこちらにシフトしたというわけ。

 肩ラベルには「直汲」と書いてあるけど、「全ろくまる」を通じて、これは初めて見たな。この「雄山錦」には瓶で囲って味を乗せてからリリースされる「夏色生酒 (夏色原酒) 」なるロットもあるんだけど、これは2015年の3月に出荷された26BYなので、もはや「夏色」どころか「枯れ木色」に育ってるでしょう。「ろくまる雄山錦」の26BYは薄にごりヴァージョンしか呑んだことないけど、もはやそことの比較は無意味だと思うので、完全に「大人の古酒」として堪能してみようと思う。

 期待です──というか、安心です。




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 ▲毎年「ろくまる雄山錦」は「うすにごりVer」が11月〜12月、「通常Ver」が3月、「夏色Ver」が5〜7月にリリースされる。ちなみに杜氏のfacebookによると、今季は「ろくまる山田錦」は出ないらしい。その代わり「生酛 純米大吟醸 山田錦50」が新発売される。オレとしては「山廃 雄町66」の方が気になるけど。


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 bottle size:720ml




SAKE GRADE:☆☆☆☆☆☆

【305】裏篠峯 -うらしのみね- ろくまる 純米吟醸 雄山錦 直汲 無濾過生酒 26BY <奈良>

千代酒造:http://www.chiyoshuzo.co.jp


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 ▲写真だと光の加減でコロコロと写り方が変わるけど、色はそれほど黄色くはない。うっすらレベル。別に新酒でこれより黄色い酒はいくらでもある。



 立ち香──ウホっ、いわゆる一つの「旨口臭」。甘ぁ〜いチョコもあるね。この段階では焦げた感じ (麦チョコ) じゃなくて、どちらかと言えばミルクチョコ (笑) 。酸によるフルーツ香の形成はない。ややパツンとした水飴っぽい甘やかさ。ぼんたん飴のようなムッチリ感の先読みもある。生で2年寝てるので、この程度の熟香で驚くことはないけれど、火入れ純米の3年熟成 (神亀) みたいなアンモニア・フレイヴァーはない。

 いきなりワイングラスでいっちゃおうか──まずはmoukan1973♀が毒味。

 ♡☺♡「ガスはない。2年も寝てるとは思えないくらい退けが素晴らしい。イヤな熟感は全くない」──MJK (マジか) !?

 確認します──。

rokumaru_oyama26by5.jpg まずガスだけど、口をすぼめるようにズゥ〜〜っと吸うと舌先で微かに感じる程度で、露骨には残ってない。キメが異常に細かいので、液性に対するアクセントくらい──信じる人だけが感じれる、まさにゴーストレベルのガス感 (笑) 。

 どれどれ。ああ、熟味はあるけど、旨みの膨らみは抑制されてるので、いわゆる「ブチャブチャ」したオデブ感は全くない。スゲえ無駄のない、静謐だが力強いストラクチャー。これ呑んじゃうと、やっぱ「Shuhari 2014」はガキに思えて仕方ない。もちろん、ガキであることが悪いとは言わないけど、同じ土俵で比較するのは少し違う話だろうね。逆に惨めになるよ、同じリングで比較すると。あっちはあっちで若々しさのフィールドで語られるべきだと思うし──つまり「新人賞」枠というか、「結果としてのエレガンス」と「狙って得られたエレガンス」との間には決して交わることのない中空があって、オレの中でそこには明確な線引きがある。ちょうどさっき見たら堺杜氏がfacebook上でサラっとこんなことを書いてたのが目に止まった。

「味を造ろうとはしてないものですから」──。


rokumaru_oyama26by6.jpg 温度が上がってくると赤く濃く熟した黒ずんだベリー感、その奥からジュワジュワと蜜のような甘みが溢れ出てくる。そしてそれを全て吸い込むブラックホールのような酸。ヤバイな、これ。

 ♡☺♡「超旨いんだけど、ハッキリ言って。最近呑んだ中で一番旨い。ブランデーみたい。食後のデザート酒だよ」──確かに途中から「日本酒を呑んでること」を忘れる瞬間に度々出会う。

 先日の「長陽福娘 山口9E酵母」の中で軽く触れた論を持ち出すなら、これはまさにオーナメント無しでも全然イケるクリスマスツリーということになるだろう。

 まるで「ぼんたん飴」ライクな香りもあるけど (笑) 、含むと酸のコアがスゴい。全てがその一点に収斂されていく──静かに、力強く、エレガントに。熟味としての甘みは「羽衣」ではなく「糖衣」のようなコーティング感だが、そのほどけは柔らく、しなやか。ダメな日本酒にありがちな「苦み」「渋み」などのノイズは一切なく、古酒風情を携えながらも、異次元にジューシイ。

 ♡☺♡「格が違う。ステージが違う。町田酒造は町田酒造で旨いけど (※初日の感想) 、もう一杯飲みたいのは篠ちゃん

 凝縮感パネえ。酸はパーフェクトな力加減で足りてる。味わいの支配下において「酸っぱさを請け負うタイプの酸」ではないので、いわゆる味曲線の着地点で待ち構える「捕手のような酸=ワインで言うタンニン」ではない。なんだろうな。甘みや旨みを球体化させる「輪郭としての酸 (面の酸) 」でもないし。一つ思ったのは、やはりこれは「八反50 無濾過生原酒 26BY」でも感じた「点の酸」で、たとえば、風呂の栓、あるじゃん? お湯を抜くとき、あの穴に向かってお湯がぐんぐん吸い込まれていくじゃん。あの穴を極限まで小さくした感じ。五味の全てと熟味がその極小ホールに向かってキレイに素早く流れ落ちて行く感じ。

 2年熟成という特殊な条件があるにせよ、やはり、ここ最近の☆5の酒がこれと肩を並べることは不可能だろう。何より、呑んでる最中の心のトキメキが尋常じゃない☆6です。熟成酒が苦手な人が呑んだ場合、どう感じるだろう。ま、「香り」や「味」で日本酒を楽しんでるうちは下手に手出ししないことです。




── 2日目。



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rokumaru_oyama26by7.jpg 立ち香──瓶口からはしっかりした熟香。今日はより穀物由来の酸を感じる──GA!──ワイングラスからはフレグランスなアロマ。

 含みます──。

 う、旨い・・・。なんだろうな。熟味はちゃんとあるんだけど、旨みのふくらみに現れる野暮ったいそれじゃなくて、全部「酸のコア」に回収される透き通った田園風景として熟味。やはり、狙ってる酒とは、エレガンスそのものから滲み出る存在の香しさの質がまるで違う。

 これ、まさに「オサレな雰囲気を演出にするためにフリーソウルや音数の少ないラテンハウスを店内で流す南青山の美容院」が結果的にとてつもなく野暮ったく田舎モン根性丸出しに映るのとは真逆のロジック。だったら新橋の汚ねえ焼き鳥屋で「The Bar-Kays - Holy Ghost」が流れてることの方が遥かにイケてるという話──そんな店はないけど (笑) 。



 We──llっ♪
 




rokumaru_oyama26by8.jpg 初日同様、温度が上がってくるとぐんぐん甘みが伸びてくる。そして、「酸、超絶に足りてる」から、全くストラクチャーが揺るがない。

 ヤバイな。昨日より旨いぞ。もうこれ、「同じ日本酒」として、ここで他の酒と同じ方法でグレーディングしていいんだろうか。今日も疑いようもなく☆6ですね。「雄山錦」なので、「山田錦」や「雄町」や「愛山」のようなケレン味や艶やかさはないものの、逆に米そのもののカラーに焦点が当たりやすいし、ボーっと見惚れるような誤魔化し気味の演出に心奪われることがない分、逆にシックです。

 実際「愛山45」の方がセクシーでキュートで紅茶だし、「雄町50」の方が圧倒的な存在感があるし、「櫛羅50」の方が胸のトキメキは止まらないけど──2016年に唯一「呑んでる最中に涙ぐんだ酒」──、「雄山錦60」の日本酒でここまでのエレガンスを体得できる銘柄って他に存在するのだろうか。「秀才」と「天才」の間には目視できないほどの高低差があるし──同じ視界に入らないからよく見ないと比べることすらできない──もしくは勝手に競っていると勘違いしていたのは、実は「天才」が後方から「秀才」に周回差を付けようとしていただけ──、そして「努力」と「閃き」の間にも同様の高い壁が存在する。

 これ、たぶん「熟成酒好き」が呑んだら泣くで。酸のコアは力強いけど、嚥下は恐ろしくスムース。唯一あるアタック感は〝オレの心の高ぶりというノイズ〟だけ。マジでこれ1ダース欲しいわ (笑) 。


rokumaru_oyama26by9.jpg チロリ経由で──。

 信じてくれなくていいけど、逆に「まろやかさ」ではなく「豊かなテクスチャー」を獲得。奥からネリっと溢れ出るジューシイで濃醇な甘みの纏いが旨みの芯に抱きつきながら舌の上でサルサダンス (笑) 。エロイなー。

 酸のキャラクターは今日も歴然と「点の酸」だ。ところが、最終的には五味の全てと熟味が「点」へと回収されるものの、入りのテクスチャーの中には「面の酸」もある。「甘み」「熟味」「旨み」を「酸」がエレガントにコーティングしつつ、嚥下のプロセスの中で力強い凝縮装置が発動。纏いレベルの酸は一瞬で「面」から「点」へと、そのドレスを着替える。恐ろしいまでに全く無駄のない美しいストラクチャー。「而今 千本錦28BY」が子供のお遊戯会に思えるほどの圧倒的なWell-Made感。この26BYを買うチャンスは幾らでもあった。ただ、アナタがそれをスルーしただけ。

 確かにこれ、酒だけでゆっくり楽しみたい完成度ですね。含んだ数だけ、飲み込んだ数だけ違ったドラマを届けてくれる酒。

 最後の一杯──。

 旨いなー。甘さ控えめのチョコレートのようなタッチもありつつ、そこらの同系統の熟成酒とは一線を違えるエレガンスがあるんだよな。もうこれ売ってないんだよな。なんで1800mlで買わなかったんだろう。オレが愚か者だからか。


moukan1972♂





 空き瓶調査隊
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 麦チョコ&ぼんたん飴。ここからあの美酒が創生されるとは、まさか誰も思わないであろう (笑) 。


日本酒 篠峯

Comment

Name - moukan1972♂  

Title - To サンジュリアンさん



毎度です。


──書いた本人が忘れてるのに、よく覚えていられますね。

サンジュリアンさんの場合、毎日のようにコメントをくれるので、「連続ドラマ小説」のようなストーリー感があって、ロジカルに覚えやすいんですよ (笑) 。「あれ買いました→それ飲みました→イマイチでした」──これで3つの出来事が関連付けられて記憶されるわけです。


──それより想像以上に上出来だったのがQueeenです。

それは良かったです。ここが崩れるとヤバイですから。主力というか、「残草蓬莱」と言えばコレしかないくらいの傑作ですので、28BYもイイ感じに仕上がってるようで安心しました。通年ではないですが、去年は年間を通じていつでも買えた記憶があります。蔵元も「量を増やしました」と言っていたので自信作なんだと思います。

Vert亀ノ尾55、サンジュリアンさん的には普通に楽しめると思います。スリムですが、甘みの出方はチャーミングなので、日本酒を飲んでる感じがちゃんとあります。「篠峯」らしさ全開ではないですが、最近飲んだ「風の森 露葉風70」よりはエレガントだし、造り手のレベルは明らかに上です。

ただし、26BYに迫る感じは残念ながらないですね。調子の悪い天才が頑張ってる秀才を知らず知らずのうちに倒してるに過ぎません。僕は秀才を倒す天才ではなく、天才そのものに触れたいんですよ。その意味では「目下リハビリ中」ですね。でも、いいと思います。うちのバカ舌は「旨い旨い」とテンション上がってました (笑) 。


2017.02.22 Wed 22:59
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Name - サンジュリアン  

Title - 凄い記憶力ですね〜

書いた本人が忘れてるのに、よく覚えていられますね。
記録を見直しましたら、一週間掛けて飲んだのは2004の方でしたね〜 熟成酒は一遍には飲めないですよ。一方雄山錦の方がスイスイ飲めたので足掛け3日(48H)で二人で空けました。
亀尾55も一本持ってるので次に開けてみます。

それより想像以上に上出来だったのがQueeenです。
pm7時にby28の残草のQueeen開封した時は余り味乗りしてませんでしたが、8:30になったらモーカンさんのby27レポに書いてある通りの味香りで、微かなセメダインとフローラル香で甘酸っぱいヨーグルト/カルピスソーダ感が有り、酸充分足りてますよ。コレ良いですは!
by26篠峯八反50生を軽くした様な印象 勿論篠峯より香り強いですが、同じ残草のしぼりたて生原酒は、自分にはセメダイン香、アルコールも強すぎてダメでしたので心配してましたが、同じ低アルのNO6なんかよりこちらの方がワイン感覚に近いし、香るし、何より胃に優しいのが気に入りました。佐野屋で買った日本酒で初めてアタリ引いたみたいです。
2017.02.22 Wed 21:08
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Name - moukan1972♂  

Title - To サンジュリアンさん

毎度です。
確定申告ご苦労様です。


──役人は毎年フォーマット変える事で仕事してると思ってるんでしょうが、納税者からすると去年と同じにしとけ!わざわざ新しくするとはふざけるなと叫びたいところです。

他にやることがあれば彼らもいちいち面倒なマイナーチェンジなんかしません。どうでもいいマイナーチェンジがあるということは暇な証拠です (笑) 。


──私は大瓶の夏色原酒を一週間で飲みましたが、最後までへたる事なく楽しめました。

いや、僕の記憶が正しければ、義理の息子さんと正月に2日で空けたはずです (笑) 。

http://moukan1972.blog.fc2.com/blog-entry-623.html#comment664


田圃ラベルの亀ノ尾55はようやく「呑める」レベルの出来栄えです。これ、好きな人、いるかもです。最高潮の出来栄えを知る身としては全然ですが、そこらの子供向け人気銘柄に比べれば遥かにエレガントです。

サンジュリアンさんの仰る通り、28BYはスリムでストラクチャーの力強さがもう一つなので、熟成向けではないような気もしますが、木香もだいぶ抜けて、ワイングラスで気軽にオシャレに楽しめるクリスタルなテーブル酒としてはアリです。これから記事にします。

1年後に売れ残ってれば熟成の変化を確認してもいいかなという感じですが、やや「甘み」が強く出てるので、この程度の酸でその甘みをすべて手仕舞えるかは疑問です。つまり、甘み&旨みは熟成で肥大化するものの、それらを手際良く手仕舞えるだけの酸は足りてないように感じます。

櫛羅2004は「ここぞ」のタイミングで開けます。


2017.02.22 Wed 20:24
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Name - サンジュリアン  

Title - 

モーカンさん毎度です。

今日は確定申告書の作成で半日潰れましたので、このレポ今読んでるところです。お酒に関係ない話ですが、国税庁のホームページから申告書作成してるんですが、何故か毎年ページや入力する方法など構成を変えて来るんで作成するのが凄く迷うんですよ。役人は毎年フォーマット変える事で仕事してると思ってるんでしょうが、納税者からすると去年と同じにしとけ!わざわざ新しくするとはふざけるなと叫びたいところです。

さて愚痴はそんなところでヤメて本題の篠峯雄山錦ですが、私は大瓶の夏色原酒を一週間で飲みましたが、最後までへたる事なく楽しめました。
例の2004の櫛羅はまで飲んでないですよね。日本酒よりも酸が多い白ワインでも2004年モノで今まとも飲めるのはグランヴァンクラスですが、上記の櫛羅は熟成してますが普通に美味かったので、篠峯の杜氏さんは天才醸造家かもしれませんね。
by28の復活を期待してます。
2017.02.22 Wed 17:52
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