もう肝臓の無駄使いはしたくない夫婦の日本酒備忘録

 その吟醸、720mlが840円ナリ。
〜 日本酒の家呑みレポ&本日の1曲、安センベイ評、時々メガネ警察〜

◤若竹屋 - Debut 純米 無濾過生原酒 27BY ── d@@b「協会1号より古い日本初の清酒用分離酵母<サッカロマイセス・サケ>使用の珍品」#Umakuchi 



▼オレ自身が便利なので残します。それに、これがあっても別にたいした「手抜き」にならないし。
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 福岡の若竹屋 (わかたけや) です。初めて呑みます。とうとう「地酒屋こだまシリーズ」も最後の1本となりました。そして「店主お任せ3本」 (辰泉・永寶屋・若竹屋) のうちの1本でもあります。いつも言ってますが、こうして改めてこの8本を眺めると、壮観でゴダイマフ (ございます) 。く、櫛羅26BY・・・。神よ、どうかオレに同じモノの一升瓶をっ……!


 この「Debut」で使用されている酵母は、醸造学者・矢部規矩治 (やべきくじ) 博士によって1893年に日本で初めて清酒の醪から分離されたもので──というのも、それまでの清酒は「生酛造り」や「菩提酛 (水酛) 造り」がメインだったので、要は今で言う「協会酵母」はなく、どの蔵も自然界に浮遊する、いわゆる「蔵付き酵母」や「天然の乳酸菌」を取り入れて醪を造っていたわけだが──、この人為的に採取された酵母が、1895年に国際学会で「Saccharomyces Sake (サッカロマイセス・サケ) 」として発表されることになった、いわば「協会ZERO酵母」のような存在なわけだ。


wakatakeya_debut27by3.jpg ちなみに「協会1号酵母」の分離が1906年、「山廃酛」が1909年、「速醸酛」が1910年に始まったことを思えば、まさに「速醸の歴史」の1ページ目を飾るべきレジェンダリーな酵母なわけだが、ご存知の通り、今の清酒のほとんどは「速醸酛」であり、しかも「日本醸造協会」から配布されている「協会酵母」を皆でシェアしているということは、言ってしまえば、料理に欠かせない「秘伝の出汁」や「調味料」を料理人がシェアするようなもので、ハズレの酒が少なくなる長所もある代わりに、必然、どれも似たような味わいになる短所もあって──「速醸」が広まる以前は「腐造」で醪をダメにする蔵も多かった──アルコール添加はこうした背景から元々は「腐造防止」の役割を担うために「速醸」よりも遥か昔の江戸初期に誕生したものの、明治44年 (1911年) に始まった「全国新酒鑑評会」で造り手たちが技を競うようになると、香り成分が溶けやすい醸造用アルコールが「隠し味」のように添加されるようになったという意味合いの変化も一面にはある──逆に現在では嚥下や舌触りにおける「軽さ」や「滑らかさ」のアシストという前向きなレシピとして有効活用している酒もあるので、無闇に「純米酒」を崇拝する必要はないだろう──、それで一部の先鋭的な造り手たち (新政や仙禽) は、ここ数年、やたら「生酛、生酛」と言ってるわけだが、 「蔵付き酵母」というのは、まさに「その蔵だけに生息する酒の精霊のような存在」なわけで、他の蔵には出せない「味わい」や「香り」の発現に個性の突破口を見出したいなら、彼らが協会から配布された酵母を使って速醸で醪を造ることに燃えたぎる野心が灯らないことは、特別の想像力を働かせなくてもわかる、当然と言えば当然の心持ちだろう。

 あれ? なんかオレ、真面目に書いてるぞ。やめよう、こういうことはプロの酒ジャーナリストやライターにキチンとどこかで書いてもらおう。オレはすでにハラペコだし、元々こうしたトリビアやオタク的雑学にはあまり興味はないんだ。スペックは福岡産の「レイホウ」を全量使用した磨き70の無濾過生原酒です。なんかワインみたいに酸っぱいらしい。

 ちなみに店主の一言メモによると「酸と甘みの面白さ」とのこと──期待です




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 40代になって心がけてること:バカには近づかない、嫌いなヤツとは交わらない、愛に生きる。ちなみに2017年に心がけたいこと:「鍋島」を買わない、「旨くない酒」のイイところを探しすぎない、善人的「徳の暴力」に屈しない。


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 bottle size:720ml




SAKE GRADE:☆☆☆☆½

【275】若竹屋 -わかたけや- Debut 純米 無濾過生原酒 27BY <福岡>

合資会社 若竹屋酒造場 (by 福岡県酒造組合) :http://www.fukuoka-sake.org


Moukan's tag:




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 ▲ほんのり黄色い。グラスに注ぐと、ややトロみ有り




 立ち香──香りは穏やか。なんか「昨日の臥龍梅」なんかとも少し被るな──あそこまで「和の感じ」はないけれど。ややケレン味に欠ける仙禽みたいなニュアンスもある──酸は仙禽ほど抜けては来ないけど。米由来の蜜っぽい丸みに包まれた少しムッチリした旨みの先読みがあるが、甘露や蜂蜜ほどには育ってない。フルーツはどうだろうな。この段階では「地酒屋こだま」のHPに書いてあった「ライチ」はあまり感じない。強いて言うなら、少しブチャけた (当たり気味) の巨峰 (ブドウの皮の裏側?) みたいな香り。ま、半年ほど寝てるので、そこは熟味の表れなのかもしれない。


wakatakeya_debut27by5.jpg 含みます──。

 うん、イイね。含むと、やっぱ「臥龍梅 五百万石」より、甘みや旨みの出方は「モダン仙禽 亀の尾」なんかに近いニュアンスだし、少しスモーキーな味カラーなんかは、26BYで終売になった「クラシック仙禽 山廃 亀の尾」なんかも思い出した。ただし、「若竹屋」の方が生原酒ということもあり、なにより酸の出方が穏やかなので、飲みごたえはある。


 まるでミネラルの林を、スリムな甘みの橇 (ソリ) でツーっと滑走するイメージ。正直、もう一声「何か」が欲しいけど、個人的には好きなタッチ。なんだろうな、ちゃんと苦いし渋いんだけど、やっぱストラクチャーの堅牢さの違いなのかな。「臥龍梅」よりも、これらのダークエレメントが自然と体の中を流れていく。ちょっと焦げたような、ウイスキーやブランデーようなスモーキーな苦み。木香や樽香を直接的に連想するほどじゃないけど、敏感な人はそれらと同列の何かを感じるかもしれない。


wakatakeya_debut27by6.jpg 旨みの広がりはタイトで硬質だけど、ジューシイな一体感はあるかな。甘酸の比重は「甘」に軍配だが、全体には決して「甘口の酒」というわけでもない。「旨み」に対するコーティングというか、輪郭をなぞるような甘みなので、本質的にドッカリ甘いわけじゃない。ま、このへんのバランスが仙禽を想起させるんだけど──つまり、甘みに固有の立体感はなく、あくまでも纏いレベルの質量──服で言ったら、ワンポイントで羽織る薄手のショール。

 ま、仙禽が苦手な人は素直にやめといた方がいいけど、好きな人は問題なく楽しめます。しかも26BYとかの、少しヤンチャ時代の仙禽に近いので、オレなんかは好きだね。27BYの仙禽はクリアで軽くて甘いヤツが多かったから。そうそう、土曜に「雪だるま」を開けるんだけど、この「若竹屋」が家庭の事情でちょうど半分ほど残るので、絶好のタイミングになった──ま、そこは選曲的センスの勝利ということだろう (笑) 。


wakatakeya_debut27by7.jpg あんま冷たすぎない方がいいかなー。リーデルだと熟味も静かに奥からフワっと湧き出てくるね。「貝のだし汁 (ⓒ 2016 kappa1970♂) 」までは育ってないけど、「ジャム」みたいな濃醇さは少しあるかな。福岡って硬水なんだっけ?──軽く調べたら水道水の硬度は全国平均より上だった。なぜか食中も全く味が潜らないんだよな。「臥龍梅」は和風だけど、これは完全に洋風。お酢みたいな酸もあるけど、果実味ライクな酸はそこまで出てない。どうしても「仙禽」なんかと比べてしまうんだけど、今、この酒が「仙禽」に勝てる要素を探してるんだ。

 ALC.度数以外には、特にない──。


wakatakeya_debut27by8.jpg というのは冗談で (笑) 、強いて挙げるとすれば、ある種の〝ハイブリット感〟を獲得している部分かな。つまり、27BYの「仙禽」で感じた、蜜ような、甘露のようなテロっとしたヌメり (光沢感) のある甘みと、それ以前のヤンチャな風合いの両方があるというか。それでも、やっぱ似たような味わいの酒を飲むと、「仙禽」のユニークネスを改めて思い知るんだよなあ──薄井のヤロウはムカつくけど──決まり文句なので悪意はない──もはや「アントニオ猪木」における「アントニオ」くらいの意味しかない。

 でもこれ、酸のパワーは「仙禽」に負けるけど、独特の焦げたような苦みと甘みのコントラストはなかなか面白いし、メルティーキッス くちどけラム&レーズン」とのマリアージュの良さは異常

 まだ半分ほど残ってるので、つづきは今夜ね。ひとまず☆4を付けておきます。☆4.5がチラつく瞬間もあったけれど、再度振り向いた時にはすでにどこかに消えている幻影のようなレベルなので、そこは今夜、もう一度追いかけたい




── 2日目。



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 ▲西荻窪の高架下にある魚屋で久々に金目鯛のお造りが入荷。700円ナリ。



 ♡☺♡「なんか洋酒っぽいな。黙って出されたら〝日本酒〟って思わないんじゃないの? これちょっと美味しいね。臥龍梅より全然イイ! わたし自身は〝梅こんぶ茶〟は苦手だから (笑) 」←moukan1973♀は今日はじめて呑む。


wakatakeya_debut27by10.jpg雪だるま」の直後に呑んでるという影響もあるだろうが、香りは初日よりフローラル。米由来の甘露のような球体感のある甘みの隙間からスラっと流れてくる、花のような芳香。やはり、言われてるほどの酸の抜けは感じない。熟成によって角が取れて味わいが円くなったからだろうか。

 イイね。確かに退けにかけての苦み&渋みもあるけど、それらの出方がいちいちアダルトなんだよね。「雪だるま」の後ということもあって逆に良さが余計に引き立つし、そして「仙禽」との違いも、より明白になる。やっぱイイ意味で、露骨なまでの米感──それによる甘み、旨みがふくよかで──磨き70がイイ方向に振れていて、そこにスモーキーかつビターな独特の余韻が重なる流れ。初日よりも全然イイよ。

 ♡☺♡「また飲みたいと思う、わたしは



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 ▲さっそく教えてやったよ、この奇跡のマリアージュを。




 dಠಠb「どうよ?」
 ♡☺♡「ハッキリ言って超旨い。今、口の中がヤバイ」



 予期せず、ちょっと「雪だるま」がガキのパーティー酒になっちゃいましたね。あれはあれで楽しいから文句はないけど、この酒にとっては、極めてイイ流れで2日目に移行できました。

 ♡☺♡「デザート酒としてもいいし、食中もいいし、オールラウンダー。いつ飲んでも美味しい」←moukan1973♀大絶賛。

 いいすね。甘みと旨みにまとわりつくアダルトな苦み。酸はアフターのアクセントとして、しとやかに寄り添うレベル。まさに「大人の食中酒」といった感じ。☆4.5に格上げします。


moukan1972♂






日本酒 若竹屋

Comment

Name - moukan1972♂  

Title - To kappa1970♂さん

毎度です。

昨日は西荻でmoukan1973♀と合流する前に一人で阿佐ヶ谷の柳瀬屋にも行ってきました。篠峯のAzurとVertも入ってるので、僕が毒味して美味しかったらGo!です。わりと好きなんですよね、ここのセレクト。若旦那も嫌味なくノリがいいし、腰の曲がったお母さんが看板娘ですね (笑) 。「七田」も扱ってます。

西荻の魚屋は是非。日・祝休ですが、土曜はやってます。金目鯛は滅多に出ませんが、昨日は更にレアな「メバル」の刺身もありましたね──買いました。鉄板は「中とろ 1,000円」で、運がイイと「ほとんど大トロ」の部位も同じ値段で出ます。「中落ち」は色が薄ピンクなら当たりです。線路の下を荻窪方面に進んでいくとあります。

「こだまシリーズ」は「好み」というより、単に「出来のイイ酒」が多かったですね。「辰泉25BY」なんかは、kappaさんが呑んだら確実に一度死にますよ──そして次の瞬間には新たな自分に生まれ変わります (笑) 。「北安大國」なんかも好きだと思います。全部「☆4.5」以上なのでどれも美味しいですが、今回の「Debut」なんかも我々オッサン世代には程よい洗練さと愛嬌の両方を持ち合わせた酒だと思います。今も飲み頃ですが、あと3ヶ月〜半年くらい寝かせた方がkappaさん好みに育つでしょうね。タイミングが合えば是非。

「雪だるま」は少し元気がなかったんですよ。活性ニゴリ系は個体差あるので、ガスの量も瓶単位で誤差が出るんですが、やや「2日目の甘口生酒」のようなフラつきがありました。滑らかな仕上がりは流石ですけどね。五味のバランスは問題ないですが、やはり、この手の酒であれば、もう少しガスは欲しいですね。ただ、この上澄みの感じは、「元から」というより、なんか「後から」抜けたタッチでしたね。4合瓶でも「作」や「風の森」くらいの厳重なキャップに変更した方がいいかもしれないです。今夜は「お燗」にしてみます。


──記事を拝読していて、一番のマリアージュは金目鯛でもなく、メルティーキスでもなく、実は仙禽雪だるまだったのではないかと思った次第です。(笑)

──僕にとっては、七本槍が赤トンボの最高のマリアージュになりましたよ。(笑)



上手いこと書きますね (笑) 。

「雪だるま」は単体で飲めばポップでキュートでカラフルですが、「Debut」を飲むと、これらの2つは、さっきまで子供に付き合って滞在していた「オモチャ売り場」と、そこから解放された父親がホっと一息つきながら飲む「喫茶店のブラックコーヒー」といった感じです。確かに「雪だるま」はダシに使われてしまいました。
2017.01.15 Sun 09:51
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Name - kappa1970♂  

Title - 一番のマリアージュは?

moukanさん

こんばんは。

中央線とあったので、阿佐ヶ谷の酒屋に行かれたのかと思っていましたが、西荻だったのですね。
それにしても、金目鯛の刺身、超うまそう。身の厚みまでは写真ではわかりませんがらモチモチしていたらかなりお得感ありますねぇ。今日はとても冷え込むので、極軽く火に炙っても美味そうですね!

こだまシリーズは終焉ですが、moukanさん好みの酒が多かった感じですね。

記事を拝読していて、一番のマリアージュは金目鯛でもなく、メルティーキスでもなく、実は仙禽雪だるまだったのではないかと思った次第です。(笑)

僕は今夜は、雪だるまを開けていませんが、昨夜開けた七本槍を再び飲みながら、甘辛苦の出方と引きの野暮ったさに杯が進まず、仙禽赤トンボの残り一合の薄濁り部分を飲んでお口直し。惜しくも季節外れのおっさん赤トンボ狩りは終了となりました。

僕にとっては、七本槍が赤トンボの最高のマリアージュになりましたよ。(笑)
2017.01.15 Sun 02:30
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