◤若竹 - 特別純米 鬼乙女 幸 ひやおろし 27BY ── dಠಠb「特に冒頭のRSゾーン (れいしゅぞーん) では☆4の瞬間も多々ありました」 




wakatake_oniotome_hiyaoroshi27by1.jpg 若竹の「鬼乙女」です。はじめて飲みます。少し前に読者さんに薦めていただいたお酒 (ひやおろし) で、イケセイ (池袋西武) で買ってきました。その節はありがとうございました。右の写真は試飲イベントに来ていた蔵元さんです。すごく丁寧でイイ人でした。阿櫻の蔵元は少し雑な対応だったけどな。こっちは常にシビアに見てるんだぜ。

 個人的に「静岡吟醸」に心を揺さぶられた経験がないので──そんなに多くは呑んでいない──、「旨さ」を共有できるか不安がないわけじゃないけれど、昨日の仙禽意識が拡張されているはずだし (笑) 、少しは繊細な味わいを探す旅に出かける準備はできているのかもしれない。実はmoukan1973♀は水曜まで家で飲めない。つまり、仙禽のお燗を水曜まで飲めない。なので、このまま仙禽をガブガブ呑んでると水曜までに空いてしまうので、間にサラっとキレイなお酒で一呼吸入れます。


「若竹」というと、辛口の「鬼ころし」や、吟醸酒ブーム黎明期に大ヒットした「おんな泣かせ」という銘柄が有名だけど、実はこの「鬼ころし」という酒は全国に数多く存在する。もっとも有名なのは、あの紙パック酒の「鬼ころし」でしょう。DE、若竹の蔵元さんに訊いたところ、「うちが元祖だと思ってます!」という回答。なんでも、古い文献に載っていた銘柄を昭和50年に復活させた時に商標登録をしなかったことから、次第に同じ名前の銘柄が増えてしまったという。


wakatake_oniotome_hiyaoroshi27by5.jpg 一般によく言われる「鬼を殺すほど悪酔いのする酒」──というのは俗説要素もあるようで、若竹の場合は、ラベルの裏に「江戸時代、幕府の命によって橋をかけることを許されなかった大井川には、連台渡しが繁盛して金谷と島田は宿場町として大いに栄えたという。古文書に残っている、大井川西岸金谷宿の新宿の酒屋で売っていた『鬼ころし』という酒は、鬼をも殺す強い酒という意味だったかどうか詳らかでないが、水を渡って体の冷え切った旅人たちが、岸に着くなり酒屋に駆け込んで『先ず一杯』とかたむけたこの『鬼ころし』に蘇生の思いをしたことは確かであろう」という説明を書いているそうで、実際にイケセイに来ていた蔵元さんもそう説明していたし、「鬼ころし」という言葉には「邪気を祓う」という意味もあるらしい。


wakatake_oniotome_hiyaoroshi27by3.jpg さて、鬼乙女。なんか「鬼ころし」と「おんな泣かせ」を足して二で割って少し年齢を若くしたようなブランド名だが (笑) 、季節限定商品にこの名前が付くことが多いようだ。

 というわけDE、今回の鬼乙女は秋の季節限定商品「ひやおろし」で、スペックは「誉富士」を60%まで磨いて静岡酵母 (New-5) で仕込み、3月に搾って少し加水して、一回火入れした酒を瓶で囲って蔵で冷蔵貯蔵したモノになる。冷酒でもキレイな酒質が楽しめるようだけど、やはり、お燗は外せないだろう。

 長くなりましたが、それではいたただきます。




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 bottle size:720ml




SAKE GRADE:☆☆☆½

【239】若竹 -わかたけ- 特別純米 鬼乙女 幸 ひやおろし 27BY <静岡>

株式会社 大村屋酒造場 (by 地酒 ワイン.com) :http://jizakewine.com


Moukan's tag:




 立ち香──かつて吟醸ブームの中心にいた静岡の老舗蔵だけあって、さすがに品の良いトラッド吟醸を思わせますねえ。瞬間的に思い出したのは、「萩の鶴 - 特別純米 山田錦 無加圧直汲み」や「黒松仙醸 こんな夜に - 山女」や「雨後の月 - 純米大吟醸 愛山」なんかにも共通の、奥ゆかしくも穏やかな吟醸香。パキっと見晴らしの明るいトーンではなく、少しくぐもったような──まろやかな甘苦いタッチもありつつ、やや柑橘系の爽やかな酸も残ってます。バナナ香もほんのり。酸とブツかるほどの強いバナナは苦手だけど、このレベルなら問題ないでしょう。ほんのりミルキーな柔らかさを感じるところもまた、「ひやおろし」的な香り風景を充分に発揮しています。

 含みます──。




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 まずはRS (冷酒) で──。

 こういう言い方は極めて失礼だけど、普通に旨いです。味わいの輪郭も先の「萩の鶴」なんかにクワナリ似てる。ややポチャっとした舌触りに優しい甘みと旨みが寄り添いつつ、それでも魅きつけられるのは、この、少しオレンジカラーな、苦みと拮抗する流れの中でコントラストを発揮する酸。すぐさま「冩樂 - 純米吟醸 羽州誉 なごしざけ」なんかも思い出すけど、さすがに冩樂の方が遙かにモダンで研ぎ澄まされた味わい。鬼乙女は三歩下がって旦那についてゆく控えめな奥方といったところ。

 ちょっとアフターの辛みが強いので、錫チロリ経由で──。

 あーら、不思議。角が丸くなって、旦那 (冩樂) と似た者夫婦になっちゃったよ。これ、意地悪して「冩樂」だと言って出したら、騙されるヤツ多いと思うぞ (笑) 。

 RSだと、決して甘い酒ではない。香り華やかな酒でもない。艶やかな酸で象られた小粒な旨みカプセルの中身がジュワっと溢れ出る瞬間に何かを感じさせる酒。磨き60かあ。同じ条件の山田錦50を飲んでみたいところだ。それなら磯自慢より旨いんじゃないの、もしかしたら。

 温度が上がってくると、少しマーマレードみたいな五味を形成する。甘苦のダイアグラムが一気に外に広がる感じだ。これは少し割水してお燗にした方が良さそうだな──まあ、ちょっと最後が前時代的に辛いわなあ。


wakatake_oniotome_hiyaoroshi27by7.jpg お燗!

 うーん、そこまで「燗上がりする酒」でもないかな。甘苦の綻びから、ちょっと静岡吟醸的なセメダインが出てくるというか、印象が凡庸になるというか。RSの方がオレはいいかなあ。言うなら、これは「お燗でもイケる」というだけで、神亀や長珍や田酒の特純のように、お世辞にも「絶対お燗がいい!」という酒でもない。

雨後の月」の記事でも書いたけど、この酒が輝くのは、必ずしも「我が家の台所」においてではない。たとえば静岡の温泉旅館なんかで風呂上がりに頂く部屋食においてこそ最も輝く酒だ。なので、オレからの返信として、「萩の鶴 - 特別純米 山田錦 無加圧直汲み」や「黒松仙醸 こんな夜に - 山女」あたりをオススメ返ししておきます。特に「こんな夜に」は大塚の「地酒屋こだま」で買えるので、機会があれば是非「飲み比べ」を。

 燗冷ましになると、酸がボヤけて少し甘苦さが前に出るかなあ。あのパキっとしたオレンジな酸は何処へ・・・。

 RS返し──。


wakatake_oniotome_hiyaoroshi27by8.jpg やっぱ細部でも全体でも冩樂には勝てないかなあ。ちょっと最後が苦くて辛いんだなあ。「そういう酒です」と言われちゃうとツライんだけど、当ブログではそういう酒に対しては常に厳しい評価を与えてきたので、ここは申し訳ない、☆3.5でフィニッシュです。

 特に冒頭のRSゾーン (れいしゅぞーん) では☆4の瞬間も多々ありました。それでも慣れてくると徐々に粗が見えてきちゃいましたね。いや、「粗」ではないのかもしれない。時間経過による「慣れ」によって、この酒固有の価値が薄れてしまったと言った方が正しいでしょうか。

 基本的には「いい酒」だと思うけど、オレがこの酒を誰かに薦めることはないし、来年に買うこともないでしょう。言うならそれは、「彼、いい人だけど・・・」と言ってなかなか決め手を得られない独身女性と同じ気持ちなのかもしれない。

 面白い酒、意識を拡張してくれる酒、昨日までの常識が転覆されるような酒、日本酒3年生のオレはそういうモノを求めているし、事実、そういう酒にこそに高い評価を与えているブログなのであります。

 あ、「お燗」という条件で言うなら、「あたごのまつ - マチダヤ限定CUP」とも是非飲み比べてみて下さい。

 また何かあれば、是非オススメを教えて下さい。今後とも宜しくお願い致します。ありがとうございました




── 2日目。



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 もう120mlくらいしか残ってないけど。

 香りは今日も麗しくエレガント。ここまでは全く問題ない。むしろ美酒の風貌をしっかり兼ね備えてます。2日目は酸化により、少しブドウ様の酸が伸びて来たけど、本日も王道トラッド吟醸なフレイヴァーがイイ感じに漂ってます。

 RS (れいしゅ) で──


 初日より少しデレっとした人懐こい甘みがあって、酒としての〝well-made〟も感じるんだけど、悲しいかな、どうしても出来の悪い「冩樂 羽州誉50」としか思えない。「萩の鶴 山田錦60」しかり、たまたま同じ季節に似たような味わいのハイレベル版を飲んでしまったので、残念ながら相対的に見劣りしますね──それでなくてもオレは厳しい評価で有名ですから──なにせ「而今 山田錦火入れ」に☆3.5を付けるような人間ですから (笑) ──だって而今ってば、退屈で攻めっ気がまるでないんだもの──まるで若くして老化してしまった酒だよ──成熟するには、アンタはまだまだ若い。

 とはいえ、スペック的に、さすがに「冩樂 羽州誉50」と比べるのはかわいそうだけど、「萩の鶴 山田錦60」となら許されるでしょ? 全く同じ路線の味や香りの酒ということであれば、やっぱオレは萩の鶴の方が遙かに〝well-made〟だと思います。


 最初の一口はそこそこ旨いんだけど、徐々にその甘みにも慣れてくると、最後のボワ〜ンとした苦みばかりに意識がいっちゃう。旨みの輪郭をなぞる酸の出方はいいんだけど、五味の手仕舞いが良くないので、ジューシイさを感じるには、少しストラクチャーが平面的で、この「酸」も「甘」との一体感が薄れてしまい、つまりは、旨みのBodyが少しベタっとした甘みの中で潰れてしまう。

 せっかくオススメしてもらったのに心苦しいのだけれど、オレの読者の中にはオレのSake Gradeを参考に酒屋にGo!する人もいると思うので、手心は加えられません。ごめんなさい。☆3.5でフィニッシュです。美味しく飲めた瞬間もあったけど、また飲みたいとは思いませんね。それほど好きでもない飛露喜の特別純米 (生詰) にも敵わないかな。やっぱ、この手のトラッド吟醸の正しい飲み手ではないのかもしれません、オレは。「雨後の月 - 純米大吟醸 愛山」ですら、個人的にはどーでもいい酒ですから。


moukan1972♂






日本酒 若竹

Comment

Name - moukan1972♂  

Title - To ぐらふさん

ぐらふさん、コメントありがとうございます!

こちらこそ、なんだか少し気まずい流れになってはしまったんですが、どんな酒でも真面目に向き合えば必ず何かの発見はありますので、「買って損した!」などとは思っていません!──やはり僕は静岡吟醸には少し不向きな味覚の持ち主であることが改めて知れたり。。。

とはいえ、初日の最初の一杯〜二杯の冷酒は凄くイイ感じだったので、「おっ!」と思った瞬間もあったんですけどね。ただ、割りと鋭くキレ上がるので、これはブログ向き (家呑み) というよりは、和食屋さんや旅館でコース料理なんかを食べながら飲むのが一番良さが出るお酒だと思いました。また何かあればいろいろ教えてください。

弥右衛門の別品!
これ、僕は踏みとどまりました (笑) ──新酒のおりがらみ生を待つことにしました。これからの時期、新酒だの、各蔵の上位スペックだの、欲しい酒がリリースされまくるので困ってしまいますね。

今後とも宜しくお願い致します。ありがとうございました。
2016.11.28 Mon 11:59
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Name - ぐらふ  

Title - 

記事お疲れ様です。
紹介した時から、moukan♂さんの求めてるのとはベクトルの違うお酒であることは、わかっていたので 忌憚ない評価が 良かったです。今回買ったものは、まだ開けてないので、自分の感じたものと記事を比べながら飲むのが楽しみです。 地酒屋こだま には、行きますので 紹介頂いたお酒 手に入れたいと思います。 ただ 最近日本酒を買い過ぎてしまい 年内は、控える予定です。(雪の坊舎の古酒とか 弥右衛門の別品とか諸々 30本ぐらいが在庫に。) 今後ともよろしくお願いします。
2016.11.28 Mon 11:44
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