◤竹泉 - 山廃純米 ヨリタ米 五百万石 生原酒 26BY ── dಠಠb「なんか人見知りが本来の自分を発揮できずにシドロモドロしてるみたいな感じ」 




女子供はスっこんでろ!」でお馴染み、〝漢感 (ヲトコカン) 〟満開銘柄「竹泉 (ちくせん) 」です──というのはオレの勝手なコピーだけど。前回の「純米吟醸 雄町 槽口直詰 生」がまだまだ若くて硬かったので、その反省もあって、今回はあえて26BYを、奈良の「うのかわ酒店」から取り寄せてみた──しかも昼間に開栓だけ済ませておいた。「日本酒度:+12、酸度:2.4」という、数値的にも漢度チャカメ (高め) です。期待です。




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 商品名にある「ヨリタ米」とは品種のことではなく、竹泉の蔵人・依田圭司氏が営むヨリタ農園で栽培された米のことを言うみたい。ブログもやってます。


 兵庫県朝来市の自然栽培米 日本酒蔵人 ヨリタ農園
 http://yoritano-uen.jugem.jp


 というわけDE、今回はそのヨリタ農園で収穫された五百万石を70%まで磨いて、山廃仕込みで造られた生原酒の26BYをいただきます。1年半くらい寝てるけど、きっとこの銘柄ならビクともしないでしょう。今日は寒いから、お燗もいっときましょうかね。




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 bottle size:720ml




SAKE GRADE:☆☆☆½

【222】竹泉 -ちくせん- 山廃純米 ヨリタ米 五百万石 生原酒 26BY <兵庫>

田治米 (たじめ) 合名会社:http://www.chikusen-1702.com


Moukan's tag:




 香りは穏やかながら、キューンと張りつめた高密度な酸はまさにブドウ様。ただ、そこまでの吟醸的な香りの発散はなくて、ウォッカや薬品ライクなアルコール香も後から追いかけてくる。果実換算で言うと、昇龍蓬莱の山田錦77なんかと被るけど、これに感じた米感は今のところ、あまり前に出てこない。でも、徐々に少し焦げたような穀物感も出てきた。「おばあちゃん家の桐箪笥」というよりは「おじいちゃん家の屋根裏」です。


chikusen_yamahai_yorita26by5.jpg 含みます──。

 少し色が付いてるけど、眠っていた月日を思えば全然ソフトなレベル。一口飲んだ限りでは、わかりやすい熟感はないね。頭で感じた甘みはすぐにほどけて、少し暴力的に穀物由来の力強い苦みへと収斂していく流れ──ま、竹泉は繊細に味や香りを楽しむ酒じゃないんでね。

 DE、この苦みだけど、熟成由来というよりは、五百万石や銘柄的な属性によるものだと思う。山廃的な酸のプレス感も感じるけど、実はそこまで強烈じゃない。<速醸よりは少し雑味が削げてるかなあ>程度のレベル。酸のキャラも、立ち香ほどにはアトラクティヴではない。

 それでもやっぱ「山廃=濃醇=どっしり」は思考停止気味の曲解だと思うぞ。竹泉にしたって「濃醇&どっしり」は速醸の雄町でも同じこと──つまり、それは銘柄と酒の状態による属性でしょ。同じ「竹泉」の速醸雄町と比較すれば、酒それ自体のBodyは山廃の方が軽いと思う。たしかに酸による旨みのプレス感はあるけど、それは酸が重いというわけではなく、旨みや雑味が押しつぶされるという意味だから、「力強さ」はあっても、酒そのものが重いわけでは決してない。酸の密度に対して「濃醇&どっしり」という言い方はできるかもしれないけど、「旨みの膨らみ (厚み) 」に対して使われるべき表現ではないと思うな。


chikusen_yamahai_yorita26by6.jpg 徐々にこの酒も香りに「紅茶」が出てきた。おそらくこれは「気づきの問題」なんだな。つまり、これまでも「紅茶」と表現するべき立ち香はあったはずだし、今でもそれらの酒をなんとなくいくつかは思い出せるけど、ただ、そのときは「ドライフルーツ」とか「レーズン」とか言ってたし、書いてただけというか。でも、一度「紅茶」に気づくと、もうここからは逃れられない (笑) 。まあでも、篠峯の愛山よりは果実に近い甘茶けた香りだけどな。

 冷酒だと、この苦みは少し強烈だけど、〝旨みという名の塗り絵〟に黒々と割り込む極太のクレヨンみたい苦みなので、ベチャっとした水っぽさはない。ま、激烈にミネラリーなテクスチャーなので、飲む人を選ぶ酒ではあるけどな。


chikusen_yamahai_yorita26by9.jpg もっとわかりやすく山廃を感じたいんだけど、冷酒ゾーンだとあんまわからんな。旨みのプレス感はあるけど、酸そのものの伸びはそれほどでもない。立ち香ほどには、オレの言うところの「キューン」とした高密度の酸は感じはない。まるで砂糖がほとんど入ってない味の薄いチョコみたいな酸。お燗前にチロックに (チロリに氷をポチャん) してみようか。

 チロリに鼻を近づけると、少し桃──すもも?──のような果実感も。昇龍蓬莱みたいな米感の膨らみはほとんどないんだよな。

 ま、多少はフルーティーなタッチにはなるかな。数値ほどに辛く感じないけど、そうかと言って甘みもしっかり出てるわけじゃない。やっぱまだ硬いんだよな。熟味はどこにあるんだろう。少なくとも篠峯の愛山26BYみたいにASフィールド (あまさんふぃーるど) では発揮されてはいない。やっぱ、この焦げたような苦みに対してなのかなあ。温度が上がってくると、ナッツのようなオイリーなエキス感も出てくるね──とはいえ、それが特別のチャームポイントにはなっていないんだけど。


chikusen_yamahai_yorita26by8.jpg 小さな氷を入れてお燗──。

「生酒燗」特有の、あのギザギザな甘酸が立ちこめる──はじめて使う表現だけど、意味わからんっしょ (笑) ?

 多少は山廃ライクな旨みのプレス感は伝わりやすくなるけど、いまひとつ、ドカっとした圧倒的な米の旨みに乏しいというか、なんか人見知りが本来の自分を発揮できずにシドロモドロしてるみたいな感じなんだよ。

 五味の発散に着目すると、軽甘に酸っぱ苦い──というストラクチャー。ミルキーな旨みもわずかに感じるけど、苦渋に押されてそこまで膨らむわけじゃないし、ま、26BYは竹泉の山廃1年目なので、今後の軌道修正に期待ってとこかね。光る部分もあるんだけどね。もうちょい酸との一騎討ちに打ち勝とうとする米感の膨らみがあると、味わいも立体的になると思うんだけど、肝心の酸も完全には弾けきってないから、なんか両者が塩っぱく睨み合ってるだけというかさ。


chikusen_yamahai_yorita26by9.jpg 原酒の冷酒返し──瓶はさっきから出しっ放し。

 竹泉らしい「女子供を寄せ付けない感」もあって、そこは特別感というか、地酒的秘境感があって大いに結構なんだけど、酸の発散がもう一つ弱いんだな。数値的には振り切ってるんだけど、今一つパキっとした見晴らしの良さを感じない。まるで度の合ってないメガネで曇り空をボーっと眺めているよう。

 燗冷ましと比べると、JOフィールド (じょうおんふぃーるど) に上がった冷酒の方が相対的にはマシかな。燗冷ましには、少し濁ったようなモゴモゴとした苦さが前に出ちゃって、甘酸のメリハリがさらに薄まってしまうというか。

 ちょっと常温で1ヶ月くらい放置してみようかね。




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 瓶を振る→栓を開けて数分放置──これを3回ほど繰り返して少しALC.成分を抜いてみた。むしろブチャっと甘デブなプロポーションに育ってくれると嬉しいんだけどな。忘れた頃に再登場するので、乞うご期待




── 21日目 (笑) 。 (初日の開栓は10月28日)



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 まずはJO (じょうおん) で──。

 立ち香は濃いめのダークカラーのベリー様なんだけどね。そこに燻されたような苦みが、まるで窓を曇らすように重なる。見晴らしの悪さが逆にミステリアスに魅惑という不思議な酒 (笑) 。

 含みます──。

 しかし、「要冷蔵ってナニ?」っていうくらい、全く味が崩れてない──というのも、オレとしては、もっとブチャっと崩れてほしかったんだよ (笑) 。だいぶアクというか、邪魔な要素が抜けて、複雑味ではなく、逆に透明度を手に入れた感じ。食中のアクセントには悪くない酒質。土着性の強いライスワインのようなタッチだ。オレの言う「秘境感」もあるしね。

 小さな氷を入れて、少しだけ温度を下げつつ加水──。




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 あ、フルーティネス倍増計画。甘みは出てないけど、すもも、カレンツ (レーズン) 様の酸がハイコントラストに。ああでも、余韻として少し甘みが延びるようになったかな。生っぽさは全くないけど (笑) 。

 グイ呑みに常温を注いで小さな氷をポチャん、いいね。これ、お燗よりこっちの方が良さげだなあ。一応はやるけど、お燗。


 お燗で──50℃を少し超えたあたりで。




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 あ、いいね!

 旨みが膨らむというよりは、五味のダイアグラムが全体に外側に拡張する感じ──つまり、味わいの一つ一つがハイコントラストになる。やっぱ山廃は軽いなー。アフターにおける雑味が速醸とは比べものにならないほど少ない。そのぶん、酸の暴力はあるから、そこをどう捕らえるかだよね。まあ、いつまでも固定観念で山廃を「飲みやすい」「飲みにくい」の二極で語ることは卒業した方がいいよ。飲みにくい (マズイ) 酒というのは、そもそも「山廃か速醸か」で決まるものじゃないし。それに「飲み方」の問題もあるわけで、3年熟成の火入れ純米を冷酒で飲んで飲みやすいとか、基本あんまないと思うし。

 燗冷ましは甘みがマシマシ。人見知りだった竹泉くんも随分と打ち解けてきたようだ。ま、実はオレも人見知りだから、気持ちは分かるけど──もちろん嘘です

 しかし、随分とデレて来たなあ (笑) 。いいわ。お燗は☆4はあるな。CUPで売ってたらタマに買うレベルだわ。獺祭好きのミクシィ女には薦めないけど、ミクシィ疲れの脱会女には薦めておくわ。

 お後がよろしいようで。


moukan1972♂






日本酒 竹泉 山廃 生酛

Comment

Name - moukan1972♂  

Title - To まったり日本酒道さん

まったり日本酒道さん

いつも僕を一段階上のフィールドに押し上げてくれてありがとうございます。

新政くんの解説は、他者に読ませる/理解させる記述というよりは自身の実験備忘録というか自己問答のようで僕には正しく理解できませんが (笑) 、

──技術力のある蔵元が山廃、生酛を造ることによって、本来の軽い山廃が飲めるようになったということも言えるのかもしれません。また、蔵元間で山廃、生酛の技術共有が進んで、レベルが上がっているのかもしれませんね。

確かにこれは多くのサンプル (イマドキの旨い山廃/生酛酒) から帰納され得るべき厳然たる事実かもしれないですね。そこは僕も同意です。

ただ、それでも僕は「速醸」と区別する意味でも、「昔の飲みにくい山廃」と「今の飲みやすい山廃」の共通項を探っていきたいのです──実際に飲んだ感覚でしか探れないけれど。よく言われるのは「力強い酸」や「乳酸フレイヴァー」ですが、それは「吟醸酒」を「香り華やか」だの「スッキリした飲み口」と言うのと同じで、必ずしも本質的な属性だとは思っていません。

そういう考えもあって、僕が山廃酒に感じている共通属性は「旨みの出方/潰れ方」にあるのではないか──という論になるのです。(生酛の酒は僕の言う「カロリーオフ」な感じはあまり受けません。)

九郎右衛門の山廃雄町生で特にそれを強く感じて、もしかしたら、これは「ポスト吟醸酒」としてのダークホースになるのかもしれないと思ったんです。「香りや味の先の何か」としての山廃の可能性というか。イマドキの日本酒を「香り」や「味わい」で語ることは一通り出尽くして、その先は何かという話になった時、それは「旨みの出方」なのかもしれない。酸と旨みの新しい力学なのかもしれない。その一翼を担うがモダン山廃なのかもしれない。そんな気がしています。

「克正」は一升瓶メインの展開なんですけど、山廃雄町生だけ4合瓶があることからも、高垣克正杜氏としても多くの人に飲んでもらいたい自信作のようです。生酛の雄町もあるので、28BYはそっちを買おうと思ってます。

偶然ですが、高垣氏は以前「芳水」の蔵にいたみたいですね。僕は1年半以上寝てるモノを近所のマチダヤで何となく買ったんですけど、おそらくリリース直後 (3月の季節商品らしい) は、かなりツンケンしてるでしょうね (笑) 。ちなみに「芳水」の特純火入れは神亀を少し大人しくしたようなお燗向け純米なので、もしもマチダヤに行くことがあれば、CUPをお土産にどうぞ。僕が飲んだ時は美味しかったですけど、単価が安いので、かりにハズレのロットをつかまされても切なくならないです (笑) 。

またいろいろ教えてください!
2016.11.21 Mon 12:04
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Name - まったり日本酒道  

Title - To moukan1972♂さん

返信ありがとうございます!

「雪の茅舎」は、既にロックオン済みでしたか!また感想を楽しみにしてます。

> これは、そういう酒を作る杜氏が山廃を始めただけの話で、そもそもが化学的属性として軽い酒なんですよ──理屈はわかりませんけど。逆に言うと、昔はそうじゃない銘柄しか山廃を出してなかったとも言えるわけで。そこでしょうね、今の俗説が定着した原因は。

これ、誰かが理屈として解説してくれると嬉しいですね。

で、ちょっと思い出したのが、新政の佐藤さんのブログです。モウカンさんは、あんまり好きじゃないかもですが(笑)。このブログ、最近更新されてないですが、造りのことを詳細に書いてくれる蔵元はあまりないので、勉強になります。

http://ameblo.jp/yama-u-suke/entry-11900374195.html

> また、多くの生酛・山廃で、野生酵母や産膜酵母、あるいは乳酸菌なのか、
> ヨーグルト、酸臭、糠様などのオフフレーバーが、感じられることが、よくあります。
> これは、酒母で、性質の悪い雑菌の類いが淘汰されていない証であります。

山廃、生酛の「どっしり、重い」という通説は、この雑菌によるオフフレーバーも原因の1つかもしれません。先のブログによると、生酛をしっかり作ると、かなり雑菌淘汰力が強いそうなので、しっかり作れば、そのようなオフフレーバーのない酒が造れるはずです。

なので、技術力のある蔵元が山廃、生酛を造ることによって、本来の軽い山廃が飲めるようになったということも言えるのかもしれません。また、蔵元間で山廃、生酛の技術共有が進んで、レベルが上がっているのかもしれませんね。

「克正 雄町」「芳水」あたりは、全くのノーマークだったので、飲んでみたいと思います。この2つは居酒屋でも見かけないですね。
2016.11.21 Mon 02:42
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Name - moukan1972♂  

Title - 

こんちわー。

オススメありがとうございます!
すでにロックオンしてます──製造番号も!
うちの近所だと池袋の升新商店と西武で買えますね。

後発組の僕からすれば、そもそも「山廃は軽いもの」という認識で、「山廃=どっしり、重い」は、単なる銘柄属性や状態属性 (火入れ/熟成) を山廃属性とスリ変えたことによる俗説だと思ってます。だから同一銘柄の速醸と山廃を飲み比べれば、火入れだろうと生だろうと、山廃の方が軽いんですよ──少なくとも自分の体験内ではそう──田酒の特純山廃 (お燗) の軽さと言ったら!

雪の茅舎の山廃は2年くらい前に火入れ純米 (黒ラベルの定番) を小瓶で買ってお燗で呑んだんですけど、当時は神亀にヤラれていた時期なので、「軽くて味しねえー」という印象でした (笑) 。ま、それでも軽いことに変わりはないんですけど。

山廃生は「軽さ」そのものよりも、旨みの広がりが酸によって収縮 (プレス) される飲み心地 (カロリーオフなストラクチャー) を楽しんでますね。今年呑んだ「山廃生」の中では「辰泉 本醸造原酒25BY」「克正 雄町」「芳水」「九郎右衛門 雄町」が特に印象的でしたね。あとは「菊鷹 雄飛26BY」「日輪田 雄町」もよかったですね。27BYはハズれでしたけど、実は最初に山廃生で感動したのは「竹雀 雄町50」なんですよね。

「山廃は飲みやすくなった」「今の山廃は軽くてモダン」

これは、そういう酒を作る杜氏が山廃を始めただけの話で、そもそもが化学的属性として軽い酒なんですよ──理屈はわかりませんけど。逆に言うと、昔はそうじゃない銘柄しか山廃を出してなかったとも言えるわけで。そこでしょうね、今の俗説が定着した原因は。

2016.11.20 Sun 11:51
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Name - まったり日本酒道  

Title - 軽い山廃

こんばんはー。

> 軽い山廃

山廃で軽いというのを、一番最初に感じたのは、「雪の茅舎」の秘伝山廃です。初めて飲んだのは数年前ですが、あのお酒は印象的でした。雪の茅舎の中でも、僕は秘伝山廃が一番好みです(製造番号酒は除く 値段が値段なので 笑。美味しさだけだと、製造番号酒かも)。

調べてたら、日本酒感想日誌さんの記事も見つけました。
http://osakasj.blog.fc2.com/blog-entry-386.html

「雪の茅舎」の秘伝山廃も、軽く感じる山廃で美味しいよ〜というお話でした!「雪の茅舎」は、「うえも酒店」で取扱がありますよ。
2016.11.20 Sun 01:43
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