◤日高見 - 純米60 短稈渡船 27BY ── dಠಠb「家庭規模の晩酌使いでホイホイ買うような銘柄ではないような気もするけど、今日の我が家にとっては決して悪くないチョイスだった」#Wine Oriented 




 ▼社長の男前がオレの手ブレで台無し・・・。
マチダヤ試飲会2016日高見
 日本酒界の (オレ的) 蔵元男前ランキング「ミドル部門1位」の平井孝浩社長率いる日高見 (ひたかみ) です。

 本日は西荻の魚屋で刺身を仕入れてきたので、「本日までの転入生」での紹介を待たずに緊急ドロップです──結局「冩樂のなごしざけ」も一緒に買っちゃったよ。。

 勝手なイメージ (淡麗辛口) から敬遠気味の銘柄でしたが、マチダヤ試飲会の印象が良かったので、同時発売中の「山田穂 (山田錦の母) 」と「短稈渡船 (山田錦の父) 」のうち、第一印象がややフルーティーに感じた後者を買ってみました。磨き60の低温貯蔵の火入れ純米です。春以降に磨き50の「天竺」シリーズから、山田穂&短稈渡船の生酒と、愛山の瓶囲い (火入れ) がリリースされるので、気に入れば次は是非こちらも飲んでみたいところ。




 ტ本日までの転入生
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 ▲「旦」の山廃純吟生は、本日、刺身のついでに西荻の酒屋で購入。


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 ▲中トロ──1,000円。今日は割りに当たりの部位。すでに2〜3切れ食べてます。




 兵庫県産の山田錦をはじめ、今回の「短稈渡船」や「山田穂」を手に入れるために奮闘した平井社長の熱いドキュメントは、山道敦子著『日本酒ドラマチック 進化と熱狂の時代』の中で詳しく書かれているので、気が向いたら手にとってみてね──他にも、貴のゴリ (平井社長は「ターボ」と呼んでいる) や蒼空の藤岡杜氏から平井社長が「兄貴」と慕われていて、だから蒼空の純米は宮城酵母を使っているのかとか、いろんな細かい相関図も見えてきます。あとは「宮城の新聞」というサイトに掲載されている平井社長のインタビュー記事も胸の熱くなる内容でした。




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「短稈渡船」には、嘘か誠か都市伝説並みの逸話もあって、その前に、実は現在「短稈渡船」という名前での品種登録はなく──元々はあったが削除されたため、後年、兵庫県が復活させ、正式名称「渡船2号」として再登録したんだけど、そもそも「短稈渡船」って「雄町」と同じ品種である可能性が濃厚らしい。かつて滋賀県の農業試験場が福岡から取り寄せた種もみを琵琶湖の小舟の上で水洗いしてた時にラベルを落としてしまって、洗ってた種もみの名称がわからなくなってしまい、それで便宜的に「渡船」と命名して、それがあとから「雄町」だったことがわかったんだとか。 ( 出典<山道敦子著『日本酒ドラマチック 進化と熱狂の時代』> )

 ちょっと最近「前説」が長くなりがちだけど、個人的な興味で言えば、実はこうした「オタク情報」にはあまり興味はないんだ──オレが興味あるのは買った酒が旨いかどうかだけ。さほど負担にはなってはいないけど、さらなるエスカレートだけは意識して避けたいところ。




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 ▲どうしてもデカい眼鏡をあてがいたいスタイリスト連中。

 ▼「ALC.16度以上、17度未満」の表記を見るに、原酒なのかな?
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 bottle size:1800ml




SAKE GRADE:☆☆☆☆

【218】日高見 -ひたかみ- 純米60 短稈渡船 27BY <宮城>

平孝酒造 株式会社 (by 地酒専門店 鍵や) :http://www.sake-kagiya.com/


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hitakami_wataribune60_27by6.jpg 香りは穏やか。トラッド吟醸なバナナ感も漂わせつつ、ライチを思わせるような、少しトロピカルな薄化粧の酸もある。

 商品名では「純米」を名乗ってるけど、これは明らかに吟醸造りの、端正なキレイ系の香り。火入れらしく、全体にはとても落ち着いた質量の立ち香で、露骨なフルーツ感やケレン味に溢れる甘やかさはないので、ドッカン甘旨ライクな生酒的ボリューム感を旨さの基準に据えているような人には少し物足りない第一印象かもしれない。ま、今日の我々の狙いとしては想定内の香りレベルです。

 含みます──。

 はい、いわゆる一つの「キレイな食中酒」ってヤツですね。香りや果実感は控えめながら、「味気ない」とまでは言い切れないし、そこはかとない優しいフルーツ感がないわけでもない。言うならこれは、宮城流儀な「端麗フルーティー」の理想的な体現なのだろうか。試飲会の時の印象と「ほぼ同じ」ではあるが、あらためて我が家の酒の中で相対化されると、やはり「少し大人しい酒」という認識に達してしまうのは致し方ないところではあるだろう。

 グラスチェンジ──。


hitakami_wataribune60_27by7.jpg 冷たいと味も香りもわかりにくいけど、15℃近辺になると途端に良くなる。なんつうか、細身なライスワイン。リーデルとの相性はいいですよ。

 酒単体として、決してエンタテイメント性の豊かな酒ではないけど、さすがに生魚には合う。三歩下がった控えめな食中酒というわけでもなく、魚の生臭さとの対比の中で、むしろその優しいフルーティネスが品良く輝くと言った塩梅だ。ワインで言うところの「フィネス (finesse) 」ってヤツですかね。


hitakami_wataribune60_27by9.jpg 飲み頃の温度帯は、常温より少し低いゾーンがいいだろうね。意外に酸に魅力のある酒なので、温度が上がりすぎてもその良さが出にくい──実は1杯だけレンジ燗もやってみたんだけど、五味が立ち過ぎて良さが消されてしまう。今は非常にいいですよ。おかわりするたびに立ち香が徐々にミルキーに膨らんできた。

 問題は一升瓶でしか展開してないこと。これね、実際は無理だろうけど、たとえば300mlサイズなんかで通年展開してくれると、「今日は刺身 (寿司) を食うから日高見にするかー」みたいな流れになるんだけど、ま、言っちゃえば、これは完全に業務用──飲食店が重宝するタイプの食中酒だよね。


hitakami_wataribune60_27by11.jpg なかなか家庭規模の晩酌使いでホイホイ買うような銘柄ではないような気もするけど、今日の我が家にとっては決して悪くないチョイスだった。磨き50の生酒、買ってみてもいいかなと思っていたり、するよ。

 全体のバランスは申し分のない完成度。「渋み」「苦み」「辛み」と言った、ノイズになりやすい要素での引っ掛かりはほとんどない。生酒原理主義の飲み手が両手を挙げて満足することはないだろうけど、食卓とのコンビネーション次第では、ワンランク上のエレガンスをもたらしてくれることは間違いないだろう。

 デカンタージュして温度の上昇プロセスを感じながら、ゆっくりチビチビやるのがいいでしょう




── 2日目。



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 香りは本日もトラッド吟醸なバナナ。そこに被さる苦みのアクセントは、ややアダルトなライチ様の酸。米由来の柔らかな甘みの中からはミルキーなニュアンスも立ち現れる。


hitakami_wataribune60_27by12.jpg 冷たすぎると味も香りも出にくいので、昨日の反省点を活かして、今日は飲む30分くらい前には冷蔵庫から出しておいた。こうした細かいコンディションメイクを好き勝手に遠慮なくできるところも家呑みの醍醐味。

 なんつうか、社長同様、日高見って、思っていた以上にオサレな酒なんだよな (笑) 。火入れだけあって、そこまで味の変化や崩れはないけど、初日よりも渋みや苦みの出方はストロング。事前に温度を上げておいたので、液体としてのポヨんとした粘土も僅かに感じられる。

 そこまで自身の好みにバシっとハマるわけではないものの──もうちょい艶のある甘みを感じたい──、酒としての立ち姿に凛とした力強さや品格を感じることは確か。飲食店や世間一般ではこういう酒を「合わせる食事を選ばない」と言うだろうけど、逆に我々にとっては「飲むシチュエーションを選ぶ」という少し変な話になってしまうが──酒が名脇役になるという状況をポジティヴに受け入れられるような状況が逆に少ないという意味で──、それでも素直にイイ酒だとは思う。

 王道なトラッド吟醸感もありつつ、酸の出方なんかはモダンで洗練されてるし、海外仕様 (英字ラベル) の720mlサイズを輸出すれば、ロンドンやパリやNYのレストランで金持ちたちが喜んでボトルを入れると思うな。

 ちなみに、↓NYで最も日本酒を多く扱っている店↓でもこの程度。日本人で良かったと思える瞬間をここまで強く感じることもそう多くはない (笑)


 ტ酒蔵 (http://sakagura.com)
 DRINK MENU (蒼空の純米60の500mlが66$=約6,800円!)




── 3日目。



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 なんか今日が一番フルーティー。とはいえ、それは甘みにおいてではなく、酸の力強さにおいての話だけど。

 まあ、細かいことを気にせずにスイスイ飲めつつ、ふと立ち止まると「この酒、案外フルーティーじゃね?」みたいな瞬間にも出会える楽しさもあるし、「これ、生酒だとどうなるの?」という興味は持てるかな。28BYは短稈渡船50の生酒、行っとくか。

 トラッド吟醸 (オレの造語) な酒って、どれも細かい違いが出にくかったりするんだけど、たぶん、この短稈渡船60なら、トラッド吟醸10本の中から、これをズバリ利き酒で言い当てることができる程度には、それなりに個性があるとは思う。ただし、個人的な好みで言えば、酸度はそのままに日本酒度を少し下げて一回火入れの生詰で、もうちょい甘さが出てると、非常にイイ感じだとは思うけど、そうなると日高見じゃなくなるのか。


moukan1972♂




💻 参照サイト

 ტ宮城の新聞
 日本酒は自分を育ててくれた師匠 (平井社長のインタビュー記事)

 ტマイ日本酒探し
 日高見の平井社長が寿司王子といわれるのはなぜか?


日本酒 日高見 メガネと酒

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