◤蒼空 - 純米 ひやおろし 27BY ── dಠಠb「色のある旨み、透明なエキス感、そのどちらをより強く感じるかは飲み手のタインミングや嗜好にもよるだろう」#Fruity 




 ▼底抜けに明るい藤岡正章杜氏
マチダヤ試飲会2016蒼空 蒼空 (そうくう) を家での呑むのは今年の3月以来だけど、買うのは久々。というのも、前回の山田錦55は熟成に失敗してしまった。つまり、買うのは26BYの夏以来と、ちょい久々。

 以前、通年の純米 (美山錦60) をお燗にした時、少し甘ったるいタッチになってしまったので、それで試しに山田錦55を1年近く冷蔵庫で放置してみたんだけど──もちろん、なんとなくダラダラと開栓時期が遅れたという、非常につまらない理由もそこにはあった──、なんか熟成が上手くいかなかったんだ。

 というわけDE、今回は蔵で寝かせて出荷された「ひやおろし」です。ラベルがノスタルジックで風情豊か。先日のマチダヤ試飲会を通じて酒も杜氏も気に入ってしまったので、それで買ってきた (笑) 。




 今おれはマンガを超える!
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 ▼ただな、なぜか江川の140km台の方が速く見えるんだよなあ。
 




 さて、藤岡杜氏曰く、使用米 (美山錦) と磨き60は通年の純米と同じだけど、醸造レシピは異なるそうで、通年の純米は夏場のロット以外は「宮城酵母」を使うところを、ひやおろしも夏ヴァージョン同様、7号酵母を使用とのこと。実際、試飲した感じも、通年の純米とはだいぶ違ってた──蒼空に付きものの少しフローラルなセメダイン香が後退して、より酸の立った果実味が増してるというか。

 蒼空と言えば、大手酒造メーカーがウジャウジャ立ち並ぶ京都市伏見区で最も小さな酒蔵としても有名で──元々は最盛期に8,000石の生産量のあった中堅蔵だったけど、一度廃業してしまい、平成14年に復活──、そして「蒼空」が人気銘柄になった今でも藤岡杜氏が一人で造ってるみたい。だって本人が「一人で造ってるんで数が少なくてすみません、エヘヘヘ」と言ってたもん (笑) 。


 ▶︎参考記事
 ◎うまいっと声に出して飲みたい日本酒 (その11) ──7年ぶりに復活した伏見『蒼空』
 https://allabout.co.jp (All About)
 ◎京都府伏見・藤岡酒造 理想追い1人で手作り
 http://www.asahi.com (朝日新聞DEGITAL 関西)


 ちなみに「蒼空」は全量純米仕込みで、今のところ「生原酒」は「雄町60」と京都限定の「短稈渡船60」のみ。新酒時期に出回る生は、これら以外、すべて加水した「生酒」とのこと──これは意外に細かい情報だイエイ。




 これは異常なまでに似合い過ぎ (笑) !!!
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 ▼我が家では「麻呂顔 (まろがお=平安の公家顔) 」として認識済みではあったが・・・。
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 bottle size:1800ml




SAKE GRADE:☆☆☆☆

【213】蒼空 -そうくう- 純米 ひやおろし 27BY <京都>

藤岡酒造 株式会社:http://www.sookuu.net


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 昨日 (日曜) に開栓済なので、2日分、一気にイキます。整合性の欠如や日ごとのブレ感は御愛嬌で御容赦。



 ▶︎清書中のBGM♪ Joyce Cooling - It's You (1988)
 




 立ち香は穏やか。一定のフルーティネスの発散はあるものの、派手な吟醸酒というルックはない。もちろん、年齢的に決して若くはない我々世代が一部のドヤ酒で感じることの多い、あの「ウっ」となる濃醇さの先読みもない。ありていに言えば、いわゆる一つの〝トラッド吟醸な優しいバナナ香〟漂うフルーツ感の、奥ゆかしい身のこなしが秋の心と舌に沁みるわけだ。そのコアに少しビターでミルキーな旨みの膨らみもあって──それがいかにも「冷やおろし」属性の端的な発露なのだろうか。

 蒼空的なフローラルなセメダイン香は控えめながら、ほんのりマスカット様の酸も清々しい。少しだけ酸の見晴らしが他の蒼空に比べてパっと明るいような気もするわけだが──あらめてマチダヤ試飲会の資料を見ると「日本酒度:±0、酸度:1.8」と書いてあるではないか──蒼空にあって、酸度1.8のもたらすパキっと感は、それなりには際立ったキャラ立ちではあるだろう。


sookuu_hiyaoroshi27by3.jpg 含みます──。

 うわっ、ちょうどいいサイズ感。最近飲んだ中だと、萩の鶴の直汲みをスリムにハンナリさせた感じ。味の出方は蒼空の方が清楚で控えめ。あるいは、冩樂から果実味を少々、セメダイン成分を多めに抜き取るとこんな感じになるかもしれない。ただし、旨みはそこそこあるので、それなりに口の中は賑やかで楽しい。

 なにより味の手仕舞いがすこぶるキレイ。滑らかな優しい甘みから立ち上がって、果実味のサイズは小粒で、甘より酸で果実感を引き出すプロポーション。米由来のエキス感も十分に楽しませつつ、飲み口はあくまでも軽く、それでいて斜に構えたような、スカした淡麗至上主義を強要するわけでもない。言うならこれは、朗らかで陽気だが、淡くて清楚な吟醸フィールドとは一定の距離を取る、それでいて、とてもたおやかなフルーティー酒だ。


dagasore.jpg 退けにかけての苦みや渋みや辛みをほとんど感じない。正直なところ、ブログ映えする、大仰な賛辞を導くような、派手に旨すぎる酒ではないが──だが、それがいい

 というより、蒼空に求める要素のほとんどが、ここにはある。毎回毎回「無濾過生原酒」ばっかを飲んでられないし、生と生の合間に飲むと、とてもホっとする自分がいる。

 moukan1973♀も♡☺♡「スッと消えてなくなるのがいい」とか生意気言ってるけど、食中酒こそ至高と言うほどには地味な風貌ではないし、もちろん華やかな香りや鮮やかなフルーティネスを楽しむ酒でもない。それでも一定の楽しさ、陽気さを感じるのは、オレが実際に藤岡杜氏の人柄に触れたからなのだろうか。

 温度が上がってくると、優しくビターな、サラサラとホロ苦いニュアンスも顔を出して来る。ここに熟成の妙が効いているのだろうか。いずれにせよ、冷たすぎるのは良くない。むしろ常温くらいでも全然OKだと思う──よりフルーティネスを感じやすいのは15℃近辺だと思うけど。

 お燗で──。

 うお。かなり別物。味わいの輪郭線が太くなるね。五味の数値が外に向かって大きく広がる感じだ。正直、通念の純米をお燗にした時と同じ問題が生じるかな。少し甘さがダレて、最後、アルコール的な辛みが浮きやすいというか。液体としてのBody感も、サラサラなそれから、酸が立ちすぎて、少しザラザラしたそれへとシフト。お世辞にも「はんなりホっとするお燗」とは言えない。

 ま、瓶から別の容器に2合とかデカンタージュして、温度上昇を感じながらチビチビ飲むのがいいだろうね。




── 2日目。


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 立ち香──今日も基本は優しいバナナ。酸化の進みから、昨日よりは強く前に出るブドウ様の酸、そこに重なる熟れたリンゴとしての洋梨も少しあるかな。香りの立体感は今日の方がある。それでも決して派手に香る吟醸酒としての顔はないけれど。

 昨日、言い忘れたけど、色は少し付いてます。明白に黄色ではないけれど、透明だと言い張ることができないほどには、それなりに色は付いてる。

 含みます──昨日より味が出てる気もする。口の中の陽気さ、楽しさが初日よりワイワイ。控えめな果実感があって、色のある味としての旨みと、色を感じさせない味としてのエキス感、この両者が優しく抱き合うプロポーションの中で浮き上がる、瑞々しいストラクチャー。

 色のある旨み、透明なエキス感、そのどちらをより強く感じるかは飲み手のタインミングや嗜好にもよるだろうけど、オレ自身も、含むタイミングよってその判断はコロコロと変わる。優しい果実味からこぼれるミルキーな旨みに味覚を寄せる一口もあれば、滑らかで喉の通りが心地よい透明なエキス感に口の中が明るくなる瞬間もある。

 とはいえ、この冷やおろしに関しては、味の広がりを感じさせる旨みより、透明なエキス感の中から無色の旨みを感じる方が、よりオレ好みのShow Timeには、なる。やっぱ冷たすぎるより、少し温度が上がった方がいいかな。

 ブっちゃけ、そこまで「旨ぁ──いっ!」という酒でもないんだけど、やっぱ嫌いになれないし、どこまでも苦しゅうない酒なんだよな。人がなんとなく「京都」というキーワードから導き出すイメージや属性を、とても素直にわかりやすく味として体言しているところも、蒼空の魅力の一つだと思う──杜氏のルックスからは想像できないけどな (笑) !




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 最後はリーデルで締めようかな──。

 やや高めの酸度から放たれるフルーティネスが、相対的に濃醇なルックへと変貌。真っ先に思い出したのは「菊鷹 - 山廃 純米吟醸 雄飛 静岡系酵母 無濾過生」。冷たいとミネラルを感じやすくなるというか、やや硬質な凝縮感もあるね。蒼空にしてはやや尖ってるものの、これはこれでなかなかいい。意外な発見だ。

 いいな。

 もちろん、菊鷹よりは飲み口は淡く、それでいて速醸らしい旨みの膨らみもあるんだけど、グイ飲みとはエライ違いだなあ。透明なエキス感よりも、旨みや液体としての質感あるテクスチャーを楽しむなら、ワイングラスで飲むのがいいでしょう。少し張りのある酸──空気の入った風船のような酸の力強さがより強調されて、甘酸の輪郭がパキっとする。通年の純米とはまるで異なる酒質で、生っぽい揺らめきのある、ポヨっとしたBody感は、まるで水面に広がる波紋の高みのようだ。

 何かの役が足りてない☆4ではなく、酒として、完全に調和の取れた☆4です




── 3日目。



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 ▲引退は既定路線だけに、日本シリーズに行けて本当によかったよ。



 最後の一杯──写真の通りなので、半合もない?

 さすがに少し渋いけど、最初からこういう酒だと思えば、別に受け入れることは可能。つまり、文句を言うほど、味が崩れたとは言えない。

 飲み口が少しニゴリっぽいというか、いい意味での雑味感があって、酸に帯びはじめた初日にはないザラつきは必ずしも「はんなり」してはいないが、これはこれで力強い着地感があり、もう残り少ないけど、味の濃い料理にも負けない3日目です。

 とはいえ、初日の後半〜2日目の前半くらい──部分で言うと3合目〜5合目くらいのあたりが一番よかったかな。今日は透明なエキス感は全くない。今さらこんなことを書いても意味ないけど、初日の夜中に寝酒で飲んだ一杯がエキス感MAXで一番旨かった (笑) 。


 ▼ひやおろし500ml=1,700円 (税抜)!

 試飲会で口にした印象と完全に合致したわけじゃないけど、飲み疲れしない──それでいて程良くフルーティーで小粒なジューシイ感もあって、たとえば300mlが全国のコンビニなんかで気軽に買えるとしたら──そんなことは絶対にありえないが──、外出先で気軽に外呑み (道端呑み) してしまうかもしれない程度には十分に旨かったし、これはこれで満足。

 蒼空について少し現実的な話を補足しておくと、この銘柄に4合瓶は存在しなくて、一升瓶の下のサイズだと、なぜかベネチアングラスの500mlしか展開してないんだけど、これが値段的にクワナリ (かなり) 割高でさ。実際、家で一人で飲む人には優しくない銘柄ではあるけど、たまに飲むとホっとするよね。28BYは山田穂の生酒あたり、買ってみようかね。



moukan1972♂






日本酒 蒼空

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