◤万齢 - 純米吟醸 希 27BY ── dಠಠb「特純言いながら純吟のような酒であるのとは真逆の意味で、純吟言いながら枯れた純米酒のような米感全開の甘口酒」#Sweet, Clear 




 佐賀の万齢 (まんれい) です。ちゃんと呑むのは初めて。先日のマチダヤ試飲会にも参加してました。ツルツルした甘口が面白かったので、イベント後、すぐに買ってきた。

 平成7年春、廃業寸前の酒蔵の実家に、上京していた跡取り息子が脱サラして帰郷したという、ちょっとメディア受けしそうなエピソードを持つ小松杜氏。彼のTwitterの自己紹介には廃業寸前の家業を引き継ぎ、ないないづくしのお酒造りとど田舎零細企業の生き残りに奮闘中。証券マン時代にお金の醜さを知り、酒問屋時代に集金の大変さを知る。昔、川崎市のとある飲み屋で言われた『男の人生40才から花道』をいまだ信じつつ…。」──と書いてある。




マチダヤ試飲会2016万齢
▲飄々としたユーモラスなキャラクターでお客さんウケも抜群だった小松杜氏。複数のお客さんが一斉に質問するもんだから、「みなさん! 一度にいろんなこと言わないでください!」って、またそれがウケるっていう (笑) 。




 実際の彼に会うと、それでもユーモアを忘れない彼の人生哲学の根幹を先の自己紹介に見たような気がして、ここで笑ってしまうのは失礼と知りつつも──いや、むしろシリアスに同情することこそ、きっと彼の嫌がることなんじゃないかと思えるのだ。「ようやくマチダヤさんでも扱ってもらえるようになったんで!」──やはり、なんでか、彼からは、終始〝可笑しみ〟がこぼれてしまう。

 使用米は「山田錦」と「佐賀びより」で、磨きは50、佐賀9号酵母を使用して、「日本酒度:−14、酸度:1.4」という、少し振り切れた甘口酒を実現している彼の自信作は、その名も「純米吟醸 希 (のぞみ) 」。彼曰く「お刺身にガチンコに合います! 魚の生臭さを洗い流してくれるんです!」──とのこと。あいにく今日は刺身とは合わせられなかったけど、彼のユーモアと努力の結晶である、この飛び切りの甘口酒を心していただくとしよう。





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 ▲近頃、大谷くんはアゴを出す。


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 bottle size:720ml




SAKE GRADE:☆☆☆½

【210】万齢 -まんれい- 純米吟醸 希 27BY <佐賀>

小松酒造 株式会社:http://www.manrei.jp


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manrei_nozomi27by4.jpg 香りは穏やか──というより、吟醸香らしき姿はすぐには探せない。少し「おばあちゃん家の桐箪笥」もある? ん? 甘いとか、フルーツとか、そーゆーのは全然ない。

 今のオレの (やや困惑気味の) 状況──いつもは栓を開けて、まずは香りから入って、それから口に含んで、香りと味わいとの相関性を確認する流れなんだけど、今回は試飲会で先に口にしているので、味に関する知識は事前にあって、その味の由来を立ち香に結びつけるという真逆の思考回路を進んでいるわけだが、これがなかなかオレの中で整合性を得られないという、やや困惑気味の状況が、今ある。

 様々な問題を抱えつつ、とりあえず含みます──。

 あれ? ちょっと渋いなあ。これ、老ねか? ファーストコンタクトにおいては、甘さより、むしろ渋みの方が気になる。少しウッディーな渋み。ALC.15度なので、たぶん加水してると思うんだけど、その割にはしっかり舌に残る、ちょっと脇にどけたい質量の渋み。

 まあ、いいや。とりあえず豆腐食うわ。

 正直、試飲会で飲んだときの印象よりも、細かい様々な癖が随所にバラまかれた味わい。オレが会場で飲んだ部分、一升瓶の後半のところだったのかなあ──確認したら最初の3合以内じゃないか。なんつうか、いい意味でもっと水っぽかったんだよな。クリアというか、軽いというか、滑らかというか──滑らかだったのは舞い上がり気味のオレの味覚の方だったということなのか。


manrei_nozomi27by5.jpg 突然ですが、ここで瓶をフリフリ。フタをしないで冷蔵庫外で放置します。ついでにグラスも変えてみようか。あとはチロリ経由にシフトチェンジ──最近はいつもこのパターン。最初の一杯二杯は「家庭内直汲み」で、徐々にチロリタージュに切り替えて様々なグラスや温度で楽しむ。

 ここで瓶フリフリVersionの立ち香を確認──ああ、これこれ、この香り、試飲会で感じたの。甘ぁ〜い米由来のエキス感。あらためて確認すると、ちょっと寝てる、お燗向けの火入れ純米のように鄙 (ひな) びた枯れた香りもある。つうかこれ、少しキャラ変フィールド (酒質が変化する領域) にまで酒が寝てないか? まあでも、RSフィールド全開 (れいしゅふぃーるどぜんかい) がダメな酒ではあるだろう。冷たすぎると渋みが立ちすぎて、噂の「超甘口」を全く堪能できない。

 うん、少し温度が上がると、さすがに甘いは甘いけど、そこまで「うわ、甘あっ!」と叫ぶほどには、その甘さに決定的な特徴のある酒でもない。モダンな日本酒界にあっては、もはやこの程度の甘さで驚く人も少ないだろうし、これで「超甘口」言うには少し役が足りない。じゃあ、この酒のチャームポイントは一体どこにあるだろう。

manrei_nozomi27by8.jpg それは「淡麗甘口」という、枯れた火入れ純米ライクな味わいでありながらも、この水のような飲み口であるところ。もちろん、味の骨格や全体のバランスは、神亀なんかとはまるで違うよ。ただ、一つの喩えとして、神亀みたいな米感豊かな、少し鄙びた、いなたい純米酒を、50まで磨いてツルツル&クリアにして、それで甘口にするとこうなるんじゃないかという話ね。その意味では「ありそうでなかった」味わいとも言えるのだが。。

 ああ、これ、冷酒以上常温未満の温度帯がいいね。15℃〜20℃。うん、いい、いい。徐々に試飲会の印象に近づいてきた──それでもこのロットは少し渋いと思うけど。「特別純米」を名乗っていながら味わいそのものは完全に「純米吟醸」な酒とは真逆の意味で、この酒は「純米吟醸」を名乗ってはいるけど、中身は完全に服を脱がせて裸にしてワセリン塗ったテカテカ・ヌードな純米酒ね (笑) 。フルーツじゃなくて、完全に「お米のお酒」。すごーくクリアで線の細い、お燗じゃなくても美味しい超甘い神亀みたい。

 頭は甘くて軽い立ち上がり。あえてフルーツを探すなら、少しイチゴっぽい香りもあるかな。村祐仙禽ナチュール3のような蜜ほどの粘度はないけど、砂糖ほどにはベタついてはいない。和菓子のような優しい甘さ。旨みはさほど広がらず、ツルツルの甘い液体の中から時間差で、少しウッディーな渋みが立ち現れて、特に辛みもなく、ややウォータリーな飲み口を維持しつつ、見送りの列車の窓から手を振るキミの姿がどんどん小さくなって消えていくように、やや長めの余韻を伴ってサヨウナラ。

 これ、絶対冷たすぎるとダメ。渋いもん。


 ▼相手ピッチャーを静かに睨みつける中田 (笑) 。
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 6回裏1アウト2塁で3番DH大谷を敬遠して生来のヤンキー気質中田を焚きつけるという愚行に走った工藤監督が、やはりオレの予想通り決勝打をアシストしたところでリーデルにチェンジ──しかしこのあと、9回にまさかの展開が待っていようとは、当然この時のオレは知らない。

 ああ、どんどん良くなるね。この酒、ちょっと古酒っぽい表情もあるんだよね。つうか、我が家の秘蔵酒──平均精米歩合50以下の超高級常温放置ブレンド酒──なんかに似た味わいも探せるんだよ。完全な常温になると、かなーり甘い (笑) 。この温度帯でわかる属性としては、結構サラサラしたパウダー感、あるね。そして渋みに艶っぽさが出てくる。

 でもまあ、ちょっと掴み所が今ひとつハッキリしない酒だよなあ。そもそも商品として、蔵である程度寝かせてから出荷しているタイプの酒なのか、それとも、たまたまオレの買ったロットが瓶詰めしてから時間が経っていたのか── ラベルの表記は詰め日ではなく出荷日というのが通例──、この酒の持つ、「純吟」言いながら「熟成純米」みたいな米感というキャラクターを、どう捉えていいのか、それに少し困る。あとは、現実問題として、うちの秘蔵酒の方が格上な味わいなんだよ (笑) 。

 ツルツル&クリアな飲み口で米全開の甘い酒というユニークさもないわけではないので、面白いっちゃ面白いけど、それは造りの工程やアイディアに対しての話であって、出てきた味わいそのものがユニークというわけではない。☆3.5でフィニッシュです。少し野暮ったい「ちえびじん」も感じたかな。


moukan1972♂






日本酒 万齢

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