◤花巴 - 南遷 PREMIUM ORGANIC 純米 山廃仕込み生 27BY ── dಠಠb「この甘酸バトルの行方を、ただただ口の中のスタジアムで見守るだけ」#Sweet, Well-Cured, Unique 




 花巴 (はなともえ) の、地元有機栽培米を使用した別ライン「南遷 (なんせん) 」の27BYの生酒 (500ml) です。HPを見ると、梅酒なんかもあるので、特に日本酒限定というわけではない模様。日本酒に関しては山廃生という共通項はあるものの、磨きに関してはBYによってまちまち。今回のロットは、合鴨農法で育てた奈良県産「吟のさと」を80%まで磨いた四段仕込み (これ自体に明確な定義はないがこの酒においては) ──仕込みの最終段階に蒸米を投入することで、ぬわんと「日本酒度:−30以上」を実現しているそう。

 見た目がオサレだし、なんか面白そうなので、あまり深く考えずにイケセイ (池袋西武) で買ってきた。甘いのか酸っぱいのか軽いのか重いのか全く想像できないけど、まずは飲んでみるとしよう。色はクワナリ黄色いけど、古酒というわけではないみたい──5月出荷の生酒なので、イケセイ熟成が進んでる可能性はあるが (笑) 。500mlボトルが税抜で1,360円なので、ちょい割高かもしれないけど、旨けりゃいいの、旨けりゃ。

 しかし腹減ったな。




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 bottle size:500ml




SAKE GRADE:☆☆☆☆

【205】花巴 南遷 -はなともえ なんせん- PREMIUM ORGANIC 純米 山廃仕込み生 27BY <奈良>

美吉野醸造 株式会社:http://www.hanatomoe.com


Moukan's tag:




 立ち香──うわっ。なんかいろんな情報が一度に飛び込んできて、やや動揺 (笑) 。

 まるで古酒な、あの鄙びた (ひなびた=いなたい) 枯れたタッチがわかりやすく香るものの、実は最初に感じるインパクトは、この鼻をつん裂くような、鮮烈な酸。お世辞にも香りだけ嗅いで「うわ〜、美味しそう〜」という朗らかな声が、そこらの日本酒女子たちからキャッキャと上がることはないだろう。古酒フレイヴァーを軸としながらも、そこに割り込む稲妻のような酸が、全てのバランスを独特なモノに変奏している。


hanatomoe_nansen27by3.jpg フクミマチュ (含みます) ──うわっ、これは・・・。

 濃い。超甘い。酸っぱい。ほう、これはちょっと未体験ゾーンな味わい。古酒のような香りや味もあるんだけど、なんだろうなこれ、まるで何かの原液を飲んでるみたいな感じ。ま、これも原酒なんだろうからそもそも原液ではあるんだけど (笑) 、そうじゃなくて、たとえばカルピスとかあるじゃん? あれを水で薄めずに飲んだときのような飲み口というか──もちろん味も香りもカルピスとは全然違うけれど。

 そうだ、これ山廃なんだった──そこんとこ、どうなの?

 うん、基本的にはスゲえ甘いんだけど、外に広がろうとする極端な甘さと高密度の力強い酸が拮抗しつつ、激しく闘ってるよ。まさに甘酸のバトルだね。熟香もあるけど、もはや興味はそこになくて、この甘酸バトルの行方を、ただただ口の中のスタジアムで見守るだけ。

 液体としては、それなりのトロみ、ふくよかさもあるんだけど、このキューンとした酸による味わいのクランチが、そうした豊満なプロポーションをすべて二次元的な質感に変えてしまうんだな。言うなら、旨みや甘みが口の中でペタンコにプレスされる感じ──悪い意味ではなく、これもオルタナティヴな山廃的カロリーオフ感なのだろう。まあでも、全体には「甘い酒」としての属性が主役ではあると思うけど、酸による味わいのクランチが、そこらの平均的なテロテロに甘い古酒とはまるで別の表情を見せてくれるんだよな。最初は少し面食らうけど、徐々に慣れてきたし、ちょっとクセになる味わい。面白さという点においては、間違いなく面白い──もはや味や旨さを表面的に楽しむ酒ではないだろう。

 さて、この酒をどう捉えるかな。基本は古酒のような風合いに満ちてはいるが、この酸の出しゃばり具合がアメージングで、そこに複雑味というか、アクロバティックな味わいのチューニングがもたらされるところが楽しい。

 甘酸のバトルにおいては、やや甘の優勢かなあ。オレ的にはもっともっと酸が稲光を放ちながらビシバシと甘を攻撃してくれた方が好みだけどな──と思っていたが、食事が進むにつれて徐々に酸を感じるようにもなってきた──と言ってる間にも甘の逆襲が (笑) 。なんだこれ。飲むたびに表情をコロコロ変えるぞ。温度変化に対しては素直に冷たいと酸、上がると甘が優勢になる。

 ここらでロックにしてみようか──いろんな酒屋も勧めてることだし、オレもそう感じるし。



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 ▲愛ちゃんとカッスー、ちょっと化粧、濃くないか?



 ALC.18度なんで──原酒なのか?──、さすがに全然味は崩れない。ロックだと冷たさをキープできるから酸が引っ込まず、こっちの方がフルーティーな表情が出てくる。いいね。旨みがあるのに滑らかでツルツル。古酒風情があるので、山廃かどうかなんか忘れてしまうけど、この酸の出方、これは速醸タイプでは表現不可能だろうね。乳酸フレイヴァーはそこまで強くはないけど、この甘酸の不思議な一体感、これはなかなかの得難さ。ま、ちょっとマニア向けの味わいであることは否定しないけどな。お燗はどうだろうな。たぶん甘ったるくなるかな。この鮮烈な酸が御隠れになりそうで、オレはやらなかった。

 食事に合うかは別問題として、食後のデザート酒にはそこそこ面白いのでは? 古酒ライクだけど、それだけに留まらない不思議な味わい。言うほどスッキリした味わいではないけれど、下手な古酒に手を出して「う〜ん、別に」となるのであれば、これで疑似古酒体験するのもアリだと思うよ。なんだかんだ、この甘酸バトルは一飲の価値アリじゃないかな。

 確かにロック、いいね。キュっと詰まったようなタイトネスを楽しむなら原酒の方がいいけど、甘みや旨みの膨らみ、ミルキーで愛くるしい味わいを楽しみたいなら、ロックがオススメ。

 まあでも、ちょっと甘いかなあ。甘口の日本酒には一定の理解はあるつもりだけど、この甘さを保持しつつ、もう少しだけ酸の横暴が欲しい気もする。☆4です。でも、好きな人は好きだと思うし、そうじゃない人も新しい経験を踏む意味でも、それなりには楽しめますヨ




── 2日目。



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 moukan1973♀は♡☺♡「お酢みたい!」だと (笑) 。ま、あながち間違ってもいないんだけど。

 残りも少ないけど、今日は予めチロリに氷を入れてマドラーで掻き混ぜて、割り水のようなアプローチでロックにしてみた。それをグイ呑みに注ぐという方法ね。

 おお。昨日よりツンケンしてない。今日は完全にチョコ。甘くて苦いのではなく、苦いモノに砂糖を入れたような味の出方。ところDE、酸はどこいった? 昨日みたいに分かりやすく酸っぱい感じはないぞ。昨日も指摘したけど、今日は完全に黒子として、味わいのプレス係に徹してる。甘みと旨みの広がり (ダレ) を力づくで押さえ込もうと頑張る裏方としての酸。

 食前酒として飲んでるけど、意外に旨いぞ、これ (笑) 。

 滑らかでツルツルしてるので、イヤな苦みとか辛みをほとんど感じないから、思いの外、スイスイ飲める。ちょっと変わり種だし、毎日飲みたいとは思わないけど、気が向いたらまた買っちゃうかも。食前 or 食後に嗜むのがいいでしょう。山廃属性を派手に感じることはないけど、それでもこのプレスされた平らな甘み、ここに速醸とは違うテイストがしっかり表現されていると思う。しかし今日はリアルにチョコだ (笑) 。


moukan1972♂





 ▶︎清書中のBGM
 

 ▶︎Louie Vega



日本酒 花巴 山廃 生酛

Comment

Name - moukan1972♂  

Title - To アイオライトさん



毎度です。


──いやー、これ知らなかったです。基本的にこの手の変態酒が大好きなのでものすごく興味ありますね。

そこそこ変態だと思います。10人に飲ませたら1人が「旨い」と言い、2人が「面白い」と言い、6人が顔をしかめ、1人が気持ち悪くなって泣き出すような酒です (笑) 。


──文章だけ見ると、昇竜蓬莱の古式一段仕込みとかソガペールエフィスのサケ・ナチュレル90とかに近いのかなあとか。

その2つは飲んだことないですが、まさに「甘 vs 酸」のプロレス酒ですよ (笑) 。最後は「酸」が「甘」をホールドしますが、2日目は「甘」がリベンジしたみたいな。「チョコ」は「イケセイ熟成」の可能性大です。


──こだまで扱いあったみたいだけど完売っぽいですね。イケセイには置いてなさそうだし。まあちょっと探してみます。

さすがにイケセイにはもう売ってないです。ここでまだ買えます。「日本酒度:−20」になってますね。たぶん僕が飲んだモノと同じだと思います。


◎登酒店
http://www.nobori-sake.com/shouhin/nara_nihonsyu/hanatomoe/yamahai.html#nansen

2017.03.07 Tue 16:16
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Name - アイオライト  

Title - 

転入生3/6にリンクがあったので、今さらですが古い記事にコメントしちゃいます。
いやー、これ知らなかったです。基本的にこの手の変態酒が大好きなのでものすごく興味ありますね。
文章だけ見ると、昇竜蓬莱の古式一段仕込みとかソガペールエフィスのサケ・ナチュレル90とかに近いのかなあとか。いずれも生酛で精米歩合が90%以上、めちゃめちゃ甘くて濃い酒です。あ、でも、熟感もあるんですよね。ますます好きな要素が増えて気になるなあ…
こだまで扱いあったみたいだけど完売っぽいですね。イケセイには置いてなさそうだし。まあちょっと探してみます。

2017.03.07 Tue 12:39
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