もう肝臓の無駄使いはしたくない夫婦の日本酒備忘録

 ☆4.5オーバー続いてます。逆襲です。
〜 日本酒の家呑みレポ&本日の1曲、安センベイ評、時々メガネ警察〜

◤本日の1曲♪【UK SOUL/GROUND BEAT】Soul II Soul feat.Caron Wheeler - Keep On Movin' (Club Mix) 1989 

genre tag:UK SOUL
▪︎長くなっちゃったので、イタリック体を解除します (笑) 。今週は『ミニGROUND BEAT特集』で選曲してます。昨日の『REMIX講座』でもチラっと名前の出たSoul II Soulのエポックメイキングな傑作を御紹介。ま、日本酒で言ったら、ある意味、十四代の本丸を語るに等しいほどの曲ですが (笑) 、この手の音楽にまるで興味のないリスナーにとっては、もしかしたらこれがキッカケになるかもしれないので、そこは根気強く懇切丁寧にやったろかなーと。注目すべきは1989年というリリース時期。もうこれ、Club Musicにおける'90s大爆発前夜というより、これが来るべき'90s的モダニズムの起源と言ったら大袈裟か。とはいえ、確かにここには完全なる時代的な断絶感がある。つまり、Keep On Movin'以前、Keep On Movin'以後という時代説明が成り立つという意味での音楽的メルクマールというか。


 ▼SOUL II SOULの親玉JAZZIE B

▪︎ジャンルとしては、特に日本では「Ground Beat (グラウンドビート) 」の元祖ということになってるけど──同時期にアメリカで大流行したNew Jack Swingについては言及しません、ダサくて受け入れがたいから──、まあこの大ヒット以降、恥も外聞もなく、(特にUKやITALYのクリエイターたちは) みーんな 「Keep On Movin'」を真似したビートで曲を量産しました。なんらかの共通する音楽的属性をもったサウンドが徐々に方々で成熟していってそれがやがて何かのジャンルとして定着するのではなく、ほとんど一夜にして新しいジャンルが形成されたという意味で、これほどまでのインパクトを持った曲も他に類を見ないでしょう。

▪︎もちろん、このGround Beat的グルーヴも突然変異的に生まれたのではなく、元となる要素は'70年代のRare Grooveにそのルーツを求めることは可能だし、むしろそれが元ネタだったりするのだけれど、とにかく、そのエッセンスの取り出し方と見せ方 (聴かせ方) が新しかった。答えを見せられれば、ある程度は誰にでもわかる。「あ、なるほど。'70年代のRare Grooveをこうやって料理すれば新しい音楽の一丁上がりか」──でも、それを最初にやるのが一番難しいんだよ (笑) 。それにBeatの問題だけじゃない。7th&9thノートを多く含むモーダルなコード進行、特定の調性に回収されない洗練されたメロディーライン、一切の無駄を削ぎ落としたクリスタルで流麗な上モノ、機能性を追求したミニマルでシンコペーション豊かなベースライン、Caron Wheelerによる伝統的なソウルの枠からは少しハミ出たモダンな歌唱法、これらが渾然一体となってはじめて、それは〝新しい何か〟として人々の耳に鮮烈な印象を残すわけだからね。

▪︎DE、このドラム・プログラミングを担当したのが実は日本人の屋敷豪太というドラマーで、これは我が国が世界に誇れる数少ない音楽的成果の一つと言って差し支えないでしょう。「 Keep On Movin'」がここまでの名声を勝ち得たのは、なによりもこの曲のドラムパートが打ち込みだったから。だってこれ、打ち込みによってプログラミングされたことで'70年代のGrooveエッセンスが客観的に解析されたってことじゃん。そして解析されたからこそ、ある種の方程式として他のみんなが汎用できるようになったわけで、それゆえ一気に世界中にこのBeatが拡散したということだとオレは認識してる──そこらの間抜けな音楽ライターがここんとこをどう説明してるのかは読んだことも聞いたこともないけど。DE、もしもこれが生演奏だったとしたら、人々はまだ気づかないんだよ。だって、'70年代から存在するこの手のBaetの新しい応用性について、少なくともSoul II Soulの登場まで、ほとんどの人々は全く気づいていなかったんだし。

▪︎HIP HOPの連中がRare Grooveをサンプリングする行為とは少し意味が違うとオレは考えてるけど、今日のところはそれには詳しく触れません、時間ねえし、すでにこんなに長くなってるから (笑) 。ただ一言だけ付け加えておくなら、Soul II SoulはRare Grooveのサウンド・テクスチャー (音の肌触りや質感) をコード進行やメロディーも含めトータルでアップデートしたの対して、HIP HOPの連中はRare Grooveのサウンド・テクスチャーをそのまま流用することに美学を感じていたんだよね。この違いは言葉の違い以上に大きいよ。つまり、「 Keep On Movin'」全体にはもはや'70年代的なサウンド・テクスチャーは存在しないが、同時期のHIP HOPはむしろ温故知新的なサウンド・テクスチャーの再現というベクトルでその音楽性の幅を拡大させていたということ。別にHIP HOPを下に見てるわけじゃねーぞ? ただ、同じ時期のHIP HOPと「Keep On Movin'」がやらかしたことは全く別次元の成果だということ。

▪︎長くなっちゃったので、Club Musicなんてここで以外まったく聴かないという真面目な読者にオマケ。今では「Keep On Movin'」の子供や孫は世界中に無数に存在するのであって、それこそあれですよ、森川由綺のWhite Albumだって、Soul II Soulがいなければ、少なくともこのアレンジでは存在してないから (笑) 。これ、大袈裟な話じゃないよ。文化的遺伝子の波及速度と範囲、侮っちゃいけないよ。本人が気づいていなくなって、人は知らず知らずに見えない何かの影響を受けてしか物を考えたり生み出したりできないんだから。一応言っておくけど、オレ、決してエロゲープレイヤーじゃないから (笑) ──『White Album2』は信じられない傑作だと思うけど。ま、この程度、常識の範疇ですよ。別に日本の音楽に全く明るくないというわけでもないから。ただ、聴いた瞬間に何がどれくらいのパーセンテージで混ざってるとか、その細かなレシピがハッキリ見えすぎて純粋に曲に没入できないケースがほとんどだから、結果として好んで聴かないことが多いだけで・・・。












 ▶︎まさに革命的な一撃。
 

 ▶︎Keep On Movin'の姪の孫の従兄弟くらいには関係ある (笑) 。
 

 ▶︎ま、偉いのは屋敷豪太だけど。
music_soul_II_soul1.jpg


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