◤あべ - SPICA 27BY ── dಠಠb「青山のオサレなイタリアンとかで『ブルガリア産のワインです』とか適当な嘘吐いて出したら、アロマな占い好きの一般女子たちが『美味スィ〜っ!』とか言うであろうことは想像に難くない」#Wine Oriented, Fruity, Unique 




 昨今の日本酒業界では極めて王道な流れの中で誕生した新規銘柄「あべ」です。

 息子、故郷へ帰る──。



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 photo: 蔵直酒屋 方舟



 まだまだ生産量が30石 (一升瓶換算で3,000本) という少なさですが、ぼちぼち日本酒フリークスの間でも認知され始めてるのかな。都内の酒屋での扱いってあるんだっけ? 今のところ地元のカネセ商店が、お得意のアッパー&ハッピーなテンションで猛プッシュしてるのだけが目立ってる状況ですが (笑) 。

 こちらの新ブランドSPICA、原酒でALC.14度と、昨今流行りの「ワインなんかに負けてたまるか」的なコンセプトの、いわゆる〝低アルコール〟というジャンルに属するタイプの酒だと思うけど、同時発売されたVEGAはネット販売されておらず、新作ブランドに込められた真の意味を理解するにはサンプルが50%ほど不足してますが、ひとまず、あべ流のワイン的アプローチの一端を見せてもらいましょうか。配合比率は不明ながら、磨きは五百万石55、越淡麗47 というスペックになってます。普通に考えると五百万石は掛米として使用されるケースが多いし、普通はより磨いてる方が麹米というケースも多いような気がするけど、細かいレシピは謎です。

 ちょうど昨日──かな?──毎度お馴染み日誌係氏が「純米大吟醸直汲み生原酒 First Class」を取り上げてたので、必ずしもそれに乗っかったわけでもないけど、どのみち我が家でも今日か明日か明後日には開ける予定だったので、「だったら今日じゃね?」ということで、遠慮なく便乗させて頂きます (笑) 。そうそう、こちらのSPICAは既に日誌係氏もブログで紹介済みなので、そちらも併せてどうぞ。

 日本酒感想日誌
 【569】あべ SPICA 27BY




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 ▲ただ一言、「人気タレントなら、誰々みたいと思われるようなメガネは掛けるな!」──メガネ警察

 ▼帽子も全く似合ってない──つうかサイズが合ってない。
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 bottle size:720ml





【176】あべ SPICA 27BY <新潟>

阿部酒造 株式会社:http://www.abeshuzo.com


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 開けたては、やや柑橘系の酸が漂う。少しザラついたパウダリーな質感もあるが、甘やかさはないな。グラスに注ぐと、あべ流のバナナも出てくるけど、純吟の直汲み生みたいな露骨なバナナ・リキュール感は今のところさほど前には出てこないかな。

 含むと──カクテルか (笑) !

 やっぱ出てきたバナナ・リキュールな軽やかボディに、キュっとレモンをひと搾り。少し硬めの桃みたいな繊維質もあるな。うん、これはこれで、なかなかいいんでない? ブっちゃけ、飛び上がるほど旨いわけじゃないけど、純吟の直汲み生よりは好きだな。こっちの方が酸が高密度。ALC.14度でライト&クリアな飲み口なんだけど、まるで味の濃いオレンジやレモンみたいなジューシイさがある。噛んで溢れ出るジュワリンコな果実感というか。

 やっぱ越淡麗が効いてるのかな。謙信の越淡麗なんかにも通じる酸だ。まあでも、決して面白さやユニークさでは負けてないけど、造りのレベルという点では、まだまだ謙信の方が上。奇をてらってるわけじゃないだろうけど、決して造りの良さで感心させるタイプの酒じゃあーない。荒削りで力業な押しの強さを感じるし、完成形の片鱗すら見えてない──そういう欠点を全て消し去る勢いや魅力があることもまた確かだが。

 苦みはね、そこまでじゃないよ。むしろ徹頭徹尾「酸っぱさ」についての味表現に力点を置いてるというか。基本的に、薄いんだよ、味そのものは。そういう意味じゃ淡麗。だけど、水っぽいわけじゃないんだな。たとえば、果肉を搾っただけじゃジュースになりにくい果物ってあるじゃん。レモンもそうだし、バナナもそうだし、洋梨もそうだし、スウィーティーもそうだし。そういう果物でジュースを作って「なんか今一つ味わいが掴みにくいんだけど」という中で、「こちとら醸造酒なんで、旨みもあるし、香りもあるぜよ」っていう強みがあるというかさ。つまり、そういうジュースになりにくい果物で作ったジュースのわりに水っぽくないよっていうアドヴァンテージがあるっていうかさ。

 温度が徐々に上昇。白ワイン的な飲み頃温度になってきた。ちょい袋香ライクな布っぽい渋みへと収斂する力強いミネラル感。おいっ、ギャグみたいに酸っぱいぞ (笑) 。


abe_spica_27by3.jpg おかわりはリーデルで。

 グラスのせいか、時間経過による味の開きのせいか、ドスンと力強いミネラル感へと滑走していく流れの中で、ビビットなフルーツ感のスパークが発生。ああ、これ、ワイングラスで飲んだ方がいいかも。純吟の直汲み生で感じた不完全性はかなり払拭されてると思う。基本的な味わいの方向性は同じだけど、バランスというか、こっちは一歩下がった距離から「こんなオレ、どうすか?」と判断を飲み手に委ねる余裕があるというかさ。オレは断然こっちの方が好き。

 ただな、これ、今後そこまで大ブレイクするか (笑) ? 結構飲み手を選ぶ酒だと思うんだけど。決して難しい酒じゃないし、青山のオサレなイタリアンとかで「ブルガリア産のワインです」とか適当な嘘吐いて出したら、アロマな占い好きの一般女子たちが「美味スィ〜っ!」とか言うであろうことは想像に難くないけど、ここまで酸っぱい酒が而今や花陽浴なんかの甘旨な酒と同じように入手困難レベルの銘柄にまで成長することは、少なくとも今のオレには想像できないんだけど・・・。

 どうだろうね。あべが大ブレイクするストーリーは見えては来ないけど、他で代替の利かない銘柄である以上、この味に惚れた人間はこれを買うしかなくなるわけで、その意味じゃ、いわゆる「あべ中毒者」をどこまで増やせるかにかかってるとは言える。オレ? 正直、今の段階で中毒と言い切れるほどこの銘柄にぞっこんというわけではないけれど、ただまあ、成城石井なんかでよくわからん1,780円の白ワインとか買うんだったら、もしもこれが店の棚にあれば、「これ旨いよ」と言えるほどには価値のある酒だとは思う。なかなか日本酒として他の銘柄と同じ土俵で比較するのが難しい酒ではあるけど、その唯一無二性がこの銘柄最大の強みなんだから、もっと甘くするとか、キャッチーなジューシイさを追求するとか、そういうのは必要ないのかもな。

 わかった。だったら山廃がいいんでない? その流れでこの酸を追求するのもいいかも。五百万石は不要じゃね? 亀の尾なんかで山廃やれば面白いんじゃない? まだ少し重いんだよな、酸が。山廃ならイイ感じにカロリーオフな透明感を獲得できると思うのはオレだけか。

 前回同様、Recommendedに振ってはいるが、ある意味、これは「面白いよ〜、試しに飲んでみなよ〜」というイタズラ心によるところが半分です (笑)




── 補足。


 もう一杯しか残ってないので補足程度だけど。

 その前に! 昨日書いた記事、夜中に少し直しました。

 配合比率は不明ながら、磨きは五百万石55、越淡麗47 というスペックになってます。普通に考えると五百万石は掛米として使用されるケースが多いし、普通はより磨いてる方が麹米というケースも多いような気がするけど、細かいレシピは謎です。

 当初、「磨きは謎」みたいに書いてましたが、ラベルをよく見たら、ちゃんと「精米歩合:」と書いてありました。すんません。

 それでは最後の一杯。

 ウホっ、今日の方がエレガントに香るじゃないか。最初ブドウ様の酸がサァーっと延びて、フェードアウトと共にバナナがカットイン (笑) 。タイトで高密度ながら、ややフローラルなタッチもあって、単純に白ブドウとも言い切れない複雑味も。

 含むと、昨日より苦い──というより、タンニン的な収斂性がビシっとストロングになってる。少し樽みたいな渋みと香りも。こういう酸っぱい酒なら、これがノイズにはならず、程良いアクセントになるから不思議だ。やっぱ酒ってバランスなんだなあ。ちえびじんとか廣戸川でこれがあるとイヤなんだけど。

 ところで、ラベルの説明で言ってるほどドライかなあという印象。普通の白ワインなんかに比べれば全然フルーティーだし、十分に甘みも感じるけどな。ドライつうか、ストロングと書いた方が正しい (笑) 。


moukan1972♂





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