もう肝臓の無駄使いはしたくない夫婦の日本酒備忘録

「太陽目線法」を伝授します。
〜 日本酒の家呑みレポート&本日の1曲、時々メガネ警察〜

◤鷹長 - 純米 露葉風70 山乃かみ酵母仕込み 無濾過生原酒 27BY ── dಠಠb「酸っぱさという一点においては、蔵随一のレベル」#Wine Oriented 





 風の森でおなじみ、油長酒造のもう一つの銘柄、鷹長 (たかちょう) の山乃かみ酵母仕込みです。山乃かみ酵母は、2012年春に奈良県桜井市三輪の大神神社境内のササユリから分離され、2014年11月に清酒用酵母としての利用が県酒造組合と県産業振興総合センターから発表された、まだまだ造りとしては2年目の新しい酵母。なんでもリンゴ酸などの有機酸が多く、すっきりした酒質になるとかならないとか。

 26BYに引き続き、今年も奈良県内の特約店限定流通みたいなので、ちょっと同梱ついでに買ってみた。26BYは「風の森」銘柄として雄町80で造ってたけど、今年は「鷹長」銘柄として露葉風 (つゆばかぜ) 70というスペックになってます。これ、チャレンジタンクというか、毎年いろいろ試してる感じなのだろうか。ま、新しい酵母なので、まだまだポテンシャルやクセを完全には掴みきれてはいないか。

 酒屋の店主の話では、本当は風の森として仕込んだらしいけど、出来上がった味わいが風の森とは少し違ったキャラクターになってしまったらしく、それで鷹長名義でリリースすることになったんだって。ま、さしずめ「裏・風の森」と言ったところか。

 実は風の森の露葉風70はまだ呑んだことがないゆえ、残念ながら、そことの比較はできまへん。御容赦を。




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 bottle size:720ml


 
 2016/7/5/千葉マリンスタジアム





【137】鷹長 -たかちょう- 純米 露葉風70 山乃かみ酵母仕込み 無濾過生原酒 27BY <奈良>

油長酒造 株式会社:http://www.yucho-sake.jp


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 まずは開けたての瓶口から立ち香を確認。

 ウホ、ビュダャウ (ブドウ) ──。

 風の森の愛山なんかに近いかな。たしかにリンゴ酸もあるけど、とにかく結構酸っぱいニュアンス。甘さ控えめの、ややセメダイン寄りのバニラもある。セメダイン臭は決して得意な方ではないけれど、風の森のそれにはウットリしちゃうんだよな──なんでだろ。

 それではいただきます──うわっ、スッパっ (笑)!

 味は割りとしっかり出てる方だけど、飲み口は意外に軽い。もっと寝かせてもよかったかも。ベリー系ミックスジュースみたいな甘酸っぱバラエティーなニュアンスもありつつ、しっかり風の森を感じることのできる仕上がり。ガスは活きのいい風の森なんかと比べると少し大人しめではあるが、まあ、ガスを楽しめる程度には溶存してるか。


takacho_yamanokami3.jpg あのね、愛山をさらに酸っぱくした感じよ。口の中のどこをどう探しても、「甘口」という表情は見つからない──とはいえ、温度が冷酒ゾーンを抜けてくると、さすがに甘さも感じやすくはなる。ただ、トロみやふくよかな甘旨の伴ったそれではなく、あくまでも酸っぱさの隙間から果実的な甘さが一瞬顔を出す程度の、表面的で軽い甘さ。

 う〜ん、好みの問題もあるとは思うが、これは基本、買って即開け禁止の酒かな。まだまだ全然硬いよ。だけどこの硬い、ギザギザ&ギラギラの鋭い酸──だからこそ、敢えてこれを青山とか広尾とかの浮ついたエリアのフレンチやイタリアンで黙って食前酒として出してほしい気もするんだよな。まあ、原価2,000円以下の白ワインが相手なら、もはや無双の旨さであることは確かだけど、風の森ブランドとしては、必ずしも完全無欠というわけじゃない。

 まあ、風の森が異常に好きな人、白ワインというだけでメルシャンでも陽気に安ぅ〜く酔えちゃう人、そういう温和な人なら、間違いなく超美味しく飲めますよ。でも実際には、風の森の愛山の方が酒質は上だし──つまり、キヌヒカリ45、雄町60の方が更にもっと上の酒質であることは否定できない事実ではある。

 ただし、酸っぱさという一点においては、蔵随一のレベルだとは思う




── 2日目。


 軽く撹拌したからなのか、なんか複雑な和の香りというか、変な例えで申し訳ないんだけど、おばあちゃんの家の古い桐箪笥を開けたときのような、もしくは樹液のような、なんとも言えない繊維質なタッチの香りが、昨日のものにプラスされてる。プラスというより、昨日は気づかなかっただけかもしれないけど、扇子に付いてる白檀と着物と防腐剤の香りが箪笥の中で合体&時間経過&酸化したみたいな──なんだよそれ!

 ウホっ、今日も酸っぱいなー


 ギリシアのレッツィーナワイン (松ヤニ入りワイン) ほどの強烈なクセじゃないけど、ある意味、これと姉妹酒関係になれる程度には、方向性においてうっすら似通った何かを感じる。たしかに風の森とは少し違ったキャラクターだけど、間に愛山80を挟めば、別に普通にはつながるとは思う。ただ、これと雄町60を並べたら、さすがに少し縁遠い相関性になってはしまうかも。

 バカ舌のmoukan1973♀が生意気にも「久々にあんま磨いてない酒飲んだ」とかホザいてるけど (笑) 、低精白ならではの旨みの広がりとか、雑味とか、それに関しては、あまりに鮮烈な酸によってすべて隅に追いやられてるから、オレとしては、そこまで低精白うんぬんは感じないんだけどな。もともと風の森とか、あまり磨いてない酒多いし。

 結論──

 まだまだ完成度という点では、これで終わりという酒じゃない──というより、改良が必要とか、そういう段階ではなく、おそらく杜氏としては「ハイ、次っ!」という感じで、ここからの地続きとしてのつづきはないと思うけどな。

 しかし、まあヤンチャに酸っぱい酒。ある意味、ワイン酵母モノとか白麹モノ並みか、それ以上に酸っぱい。味わいに洋風でモダンなフェイスはないな。その意味じゃ、外国人観光客なんかに「It's brand new Japanese SAKE!」と煽って飲ませたら、アトラクションとして喜んでくれたりして。

 評価は初日より一段階下げて、Untitledで。面白いっちゃ面白いけど、これ買うなら普通の風の森を買った方が、変態紳士以外は絶対に楽しめるという意味での、Untitled。



moukan1972♂




📖 参考記事

酔いどれオタクの日本酒感想記 (2015/7/8)
風の森 雄町 純米しぼり華 山乃かみ酵母仕込み

酒と出会いとお寺とお宮 (2015/4/5)
「山乃かみ(やまのかみ)」酵母醸造酒ふるまい奉仕 前編


日本酒 風の森 鷹長

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