もう肝臓の無駄使いはしたくない夫婦の日本酒備忘録

 おっと、楽天の某酒屋が一部スポット的に「篠峯」の扱いを始めてた。
〜 平日は日本酒、週末はシャン、毎日「本日の1曲♪」、合間にお菓子 (主に安煎餅) &女優評、超時々メガネ警察〜

◤黒澤 - 生酛 純米 穂積 蔵付酵母仕込 蔵熟生酒 30BY <長野> ── d++b「ザクロを買ってきたらメロンの味がした」 




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 ▲今のオレも心の中ではこんな表情。

 ▼一応「真面目」に闘う設定。なので、ちゃんと「カキーン☆」と刃物が触れ合う音がします。
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 bottle size:720ml





【787】黒澤 -くろさわ- 生酛 純米 穂積 蔵付酵母仕込 蔵熟生酒 30BY <長野>

黒澤酒造 株式会社:http://www.kurosawa.biz


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▪︎酒米/精米歩合:自社栽培ひとごこち/70%
▪︎酵母:蔵付き酵母
▪︎日本酒度/酸度/アミノ酸度:+4/1.9/─ (※29BY:+3/2.7、28BY:+8/1.9、27BY:−1/3.0)
▪︎ALC:16.5%
▪︎処理:生酒 (たぶん加水) 。「蔵熟生酒」を謳ってるので、おそらく寒い時期に上槽してタンクで貯蔵、出荷直前に瓶詰め、それで「4月印」だと思われます。
▪︎酒造年度/製造日/出荷日:H30BY/2019年4月/2019年6月
▪︎管理状況:2019/6/7に着、3℃で管理。
▪︎試飲日時:2019年6月12日 (水) /29BYの次に2本目として開栓。
▪︎JudgementOn My List / Not On My List
▪︎Grademarvelous/excellent/good/insufficient/faulty/indeterminable

※On My Listの酒に「faulty (失敗している) 」はない。Not On My Listの酒に「marvelous (驚くべき) 」はない。On My Listの「good」とNot On My Listの「good」は同じではない。On My Listされた時点で当ブログの嗜好を満たすものとする。「indeterminable (判定不能) 」の酒は各Listに振り分けせず。

※「Judgement」「Grade」内の単語は全てリンク済み




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 ▲いざ勝負──「待たせたなっ。」←いつの間にか武士調の言葉遣いになってます。



えーと、操作を誤って初日の下書き (口汚い語句の数々) が消失してしまったので、過去形 (回想) で書きます。日頃の文章作成はJazzのインプロビゼーション (即興) と同じなので、元の文章はあまり覚えてないし、そもそも再現不可能侍です──そこそこ面白い事を書いていた何となくの記憶はあるけれど


 いやあー、参りましたね。どこが「バランスがいい」だ。そもそも論点がズレてんだよ。えーと、どこから話そうかなー。



 ①カプロン酸エチルが湧き出てます。 (タイトル『はじめてのメロン』)
 ②軽いオフ・フレイヴァー (生ゴミとしてのブドウの皮) があります。
 ③甘みの出方が不自然 (ドーピング系=高グルコアミラーゼ系) です。
 ④オレの中での「栄光富士」ライクな穀物由来の香ばしいミネラル感があります。



 moukan1973♀なんか香りだけ嗅いで飲もうとすらしませんよ (笑) 。酒屋も酒屋だよな。いつも言ってるけど、連中の仕事は「酒を売ること」であって「酒を唎くこと」じゃねーから。そもそも酒屋が真実をシリアスに追求しちゃったら、売る酒なんかなくなっちゃうもん。だからオレなんか酒屋は絶対に無理大根。自分が旨いと思う酒しか売らなかったら、一年中冷蔵庫がスカスカになって商売にならねーよ (笑) 。



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 ▲いい目をしている。ヤル気、十分。



 もちろん、この酒を飲んで誰がどう言おうがどう思おうが、どのみちこの酒は自発的に買うので、別に「よくもこのオレ様にこんな酒を買わせてくれたな!」などとは微塵も思いませんよ──「人の味覚と政治家の公約ほどアテにならないモノはない」ことを常に肝に銘じて生きてますので。ただ、この酒を前向きに評価できる味覚の持ち主とは、日本酒の話はできません──そっちが勝手にするのは自由だけど、オレから話すことは特にヌワイ。

 つうかー、普通に華やかなんすけど、ナニコレ (笑) 。なので〝そーゆー酒〟としてはハイレベルなんじゃないの? それこそ「モウカンの糞野郎が推してる『黒澤』って苦手ぇ〜」と影で言ってる連中なら、おそらくは「あれ? 意外に飲めるな」と言うのかもしれない (笑) 。

 それこそ似たような華やかさを持つ29BYの「而今 雄町 無濾過生」よりは旨いし軽いから、機会があればどうぞ。あれですよ、マトモな果実酒も飲んだことのない日本酒ラヴァーが思考停止気味に「ベリー系」と宣う、あの華やかですよ。「雪の茅舎」ライクな一面もないわけでもないので、あーゆークリアで瑞々しい華やか吟醸が好きな人なら楽しめると思うわ。



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 ▲序盤は互角の闘い。



 この酒のイイところ?──なんだろうなあ、そうねー、この酒としては今時期からそこそこ飲みやすいところ? でもまあ、いくら「飲みやすい」と言ったって、この香りと味じゃ意味ねえわな。なんか「福祝 純米大吟醸 山田錦50 直汲み 無濾過生原酒 29BY」を生酛にしたらこんな感じ?みたいなニュアンスもある。

 正直、ブラインドでこの酒が「穂積」であることを当てる自信なんか1%もヌワイし、そればかりか「黒澤」であることを当てる自信すら全くヌワイな。むしろ当てられる人間がいたら、そいつはエスパー確定です。

蔵付き酵母」がコンセプトの酒なので、毎年の数値が荒れるのは仕方ないけれど、これ、明らかに例年とは違う「麹菌 (もやし) 」を使ってるだろ。まあ、29BYもいつまでも蔵に売れ残ってたし、蔵元としては「売れる酒」を造りたい気持ちがあることは分かるけど、ある意味これは「禁断の果実」に手を出しちゃった危険性すらあるな。

 かつての「萩の鶴」もそうだけど、酸を穏やかにして「甘み」と「香り」のバランスを引き上げると、実際、売れるのよ。ああそうそう、三千櫻の糞酒のことも久々に話として想ひ出したわ。山田社長も言ってたよな──「でも、飛ぶように売れるんですよ、ああいうお酒は。わかりやすいですからね。 (飽きてしまって飲むのが) つづかないけど」って。[その時の山田社長との会話

 そう考えると「Type-9」にも「純吟 2018」 にも、今季は少し〝こーゆー感じ〟あるよなあ。

 あと、これだけは言えるのは、たぶん30BYの風の森は買わないです。





── 2日目。

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 ▲敵の必殺技で大根が真っ二つに。



 立ち香──微かに雑穀系のオフ・フレイヴァー (不快臭/異臭) がある。伝説の「竹雀 山廃 雄町50」ほどではないにせよ、まあ、それに通じる、なんだろうなあ、腐ったブドウと不味いアンコを混ぜたような香りに河原の濡れた枯れ草を少々。ある種の「香ばしさ」にもコネクトするので、この手の香りは他の酒でもタマに当たるけど、問題は、この酒が「穂積」であるということ。あと、ドッカン酒によくあるネリネリした甘みのベタつきがある。チューブの先からニュルニュル出て来る、あの感じ。そして本日もしっかりカプエチあります。



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 ▲大根姫、ピンチ!



 今日は昨日とは打って変わってズドンとドスンとゴワっとしたザラつきがあり、まあ、良い悪いは別にして、諸々の要素が、ようやく「黒澤」らしい重心に収斂されて来た感じではある。



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 ▲自らを奮い立たせるために「大好きな先輩にブリ大根を食べさせるまでは死ねない」と前向きな妄想。



 香りは含むと昨日ほどは気にならないけど、別に「旨い」と思う瞬間は今日に関しては一切ヌワイなあ。昨日の方が瑞々しい透明感があったので、余計に香るけど、酒としてはWell-Madeな点にもそれなりに出会えたわけだが、今日は、その肝心の〝バランスの良さ〟とやらは何もなく、単にゴリゴリ&ゴワゴワしたハードに華やかな謎生酛。

 今の極めて素直な気持ちを文章にすると、おそらく、こうなる。

 あああ、なんでオレ、こんな酒、飲んでるんだろ?」──。



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 ▲追い込まれて──からの、大根の先を噛む。なんのこっちゃ!?



 捨てるほど不味いわけじゃないんだけど、なんとか心が最終ラインで折れずに済んでいるのは、どういうわけかラベルのデザインが「黒澤 穂積」と瓜二つだから。こういう酒を美味しく頂ける人生を、心底、羨みます。「どうでもいい酒」について言葉を紡ぐことの、なんと虚しく空々しいことか。

 そしてたった今、不意に心神喪失気味になって、思わず叫びながらこの酒を捨てそうになったけど、どうにか踏みとどまった。



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 ▲からの、反撃。跳べ、大根姫!



 明日は少し氷で薄めて飲んでみようかな。しかしまあ、どうしてこうなった!?──という言葉が、飲んでる最中に何度も何度も頭に出てくる、極めてジャンル外の、とっても残念な黒澤ホヅミ30歳です





── 3日目。

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 ▲劣勢を覆して大根侍に勝利する大根姫。



 まずは薄めずにそのままで。香りは日に日に抜けて来たけど、今はもう、なんだかよく分からない苦い液体。



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 ▲するとLINEの着信。

 ▼手作りの特製ドリンクが大根ジュースだった件。

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 ▲大好きな先輩からの〝お褒めの言葉〟に大喜びする大根姫。



 チロリに小さな氷を落として薄めても、依然、よく分からない苦い液体。だったら初日の華やかベリーなドーピング生酛の方がまだマシ。



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 ▲「Love, Love, Very, Very, ブリ大根〜」──「これで先輩は私の物っ!」←そうなの?



【ひとまずの総括】

 ザクロを買ってきたらメロンの味がした──これに尽きる。もしくは、ハンバーガー (ボロネーゼ) を頼んだらテリヤキバーガー (魚介のクリームパスタ) が出て来た──みたいな。この酒にとって「所謂ザ・日本酒レベルでのバランス」なんか要らないし、そこはこの酒を語る (味わう) 上での論点にはなり得ない。少なくとも27BYと29BYを最高の状態で飲んでいれば、そんな言葉は出て来ない。〝日本酒としてのアンバランスさ〟こそがこの酒の魅力であることは、もはや自明。まずは、この酒がカプロン酸エチル香を放つことへの違和感こそが最初に取り上げられるべき問題となる。



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 ▲大根侍の次は鰤ガンマンが言い掛かりを付けて来た。ナニコレ (笑) 。このガンマンが「憧れの先輩」だったら尚シュールで面白かったのに。

 ▼威嚇射撃!

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 少なくとも表向きの正規商品としては、黒澤酒造にとって唯一の「蔵付き酵母」を使った酒であり、当然、各年の客観的な数値は荒れる。(30BY:+4/1.9/、29BY:+3/2.7、28BY:+8/1.9、27BY:−1/3.0

 更に言えば、あくまでも長野県産の酒米にこだわり、自社栽培も積極的に行う黒澤酒造が、日本酒という醸造酒ジャンルにとっては必ずしもそれが重大な意味を持つわけでもない「テロワール (terroir) 」──シャンパーニュ評論家のマイケル・エドワーズは農業地域の、ある小地区の気候的、地理的、地質的特徴を包括的に表す神秘的なフランス語と表現した──という概念を頑なに大切にして来たことを思えば、何より「所謂ザ・日本酒レベルでのバランス」を体得してしまったこの30BYが皮肉にも彼らの深い野心と矜持を著しく傷付ける仕上がりになってしまったことを、まずは指摘する必要があるだろう。つまり、この酒の栓を抜いた瞬間に胸に去来する感情は「驚き」よりも「切なさ」である。

 もはやオレにとって「黒澤」という名の日本酒が特別の銘柄であることは明白であり、その中でも「穂積」は更に特別な酒である。他のどの黒澤組とも異なるこの味わいこそが、黒澤酒造が世界に問う唯一無二の「穂積テロワール」だと思うからだ。だからこそ、この酒が他の酒と横並びで相対化されることをオレは断固として拒否する。



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 ▲大根侍去ってまた鰤ガンマン。最後までよくわからない話ではあったが、ある意味「大根侍」と「鰤ガンマン」を「恋愛成就に対する障壁への幻想的メタファー」として捉えれば、一応は辻褄が合うのか。



 最後に、不幸にもこの酒を複数本ストックしてしまった人にささやかながら今後の対策を指南すると、まず、この30BYは熟成定数が例年より大きいので、変化のスピードは速いです。どちらかと言うと氷温管理向きで、じっくりキレイに熟成すれば、甘く透き通った、華やかだが軽やかな酒に仕上がる可能性もあります。イメージとしては、明利系酵母や18号酵母を使用した大吟醸クラスの酒を氷温長期熟成させたようなニュアンスです。細部のニュアンスから〝麦チョコ化〟する危険性を確認できるので、高めの温度帯での熟成は推奨しません。それと、既に僅かなオフ・フレイヴァーが出てるので、ここが悪い方向で膨らむと、もはや飲める代物ではなくなるでしょう。

 醸造過程で発生してしまったカプロン酸エチルを今更どうこうできるものではないので、あくまでも華やかな酒として向き合うための最善策を考えた方がいいでしょう。もしも最終的に「いつもの穂積」に変化したのなら、それこそ神秘的な現象と言えるでしょう。


moukan1972♂



※2019年4月22日より、コメントは「承認制」になりました。[詳細&ガイドライン


日本酒 山廃 黒澤 生酛 浜辺美波 not_on_list_good

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