もう肝臓の無駄使いはしたくない夫婦の日本酒備忘録

 遂に今年2本目の☆6が降臨。←失礼、3本目 (笑) 。
〜 日本酒の家呑みレポ&本日の1曲、安センベイ評、時々メガネ警察〜

◤白瀑 - 山本 和韻 (わいん) 純米吟醸 生原酒 27BY ── dಠಠb「もしもコレを持参して友人宅の飲み会に参加したのであれば、最初の乾杯の掛け声の後も、この酒についての会話がしばらくつづくであろうことは間違いない」#Wine Oriented, Fresh, Women 




 秋田の若手結社「NEXT 5」に参加していることでも名高い、山本の企画モノです。升新商店のHPによれば、


 ▶︎升新商店 (池袋)

 こちらのお酒は「蔵元と一緒に酒を造ろう」の企画商品です。東京の地酒卸 小泉商店さんと山本合名様、10軒の酒販店が企画~仕込み~ラベル~販売~力を合わせて醸したお酒です。酒販店の仲間と一緒に、2月の下旬に山本さんの蔵へお邪魔して、洗米~蒸米~米麹などをお手伝いしてきました。キテレツなお酒も醸す山本さんですが、「ワイン酵母」は初めて使用することもあり、うきうき~ドキドキ~ワクワクしておりました(^^♪ワイン酵母単体では、酸が強く出過ぎてしまうため、秋田の新酵母「UT-2」を使用~爽やかでフレッシュな上立香~山本シリーズらしいジューシーな米の味わい~甘酸っぱく~やさしい酸とキレが良く飲みやすい仕上がりです。「和韻」は、ワインのテイストと日本酒の美味しさが見事にマッチした限定品です!!ひや、又は氷を一つ浮かべてお召し上がりください。企画に参加した酒販店のみの発売品です。



ということです、以上──もうこれで終わりにしていい? (笑)


 ここ最近の造り手たちの間で流行りの、いわゆるワイン酵母で仕込んだ低アルコールの日本酒 (一般的な日本酒の原酒がALC.16〜18度に対して、15度未満で醸すタイプの日本酒) をどう捉えるか──もちろん、こうした一連の動きに懐疑的な人や否定的な人も多いとは思うが──、オレとしては、別に旨けりゃ全く問題ないし、同価格帯の白ワインより明らかに旨ければ、いまだに日本酒を軽視している飲み手に対して「ワインざまあwww」と言えるので、むしろ頑張ってほしいとすら思う。

 ワイン自体を否定するつもりはないが──いや、そりゃできないだろう──、なんというか、まるで何かのプロパガンダのようにサブミリナルとして生活の隅々にまで盲目的かつ追従的に行き渡ってるという地球的規模の定着ぶりに、決して少なくないルサンチマンを感じてしまうわけだ。仕事帰りに最寄りの成城石井で頼りないスタッフのコメントとラベルの「辛口」表記だけを頼りに1,500 円くらいの白ワインをなんとなく買って、「マズくはない、飲める、酔える」という控えめで小さい賞賛だけを胸に秘めて文句一つ言わずに瓶を空にする、このユルい感じに激しく嫉妬するわけだ──まあ、かつての我々夫婦も似たようなものだったが (笑) 。



成城石井_ワイン売り場
 ▲成城石井のワイン売り場。日本酒の生酒はスズメの鼻クソ程度にしか扱っていない。



 そして思う──日本酒は一体いつになったらワイン並の盲目的カジュアルさを飲み手に対して発揮できるようになるのだろう、と。だからワイン酵母で醸したような、少しヤワで番外的な商品がそういうソフト・ユーザーの日本酒開眼のキッカケになるのであれば、その限りは応援したいと思うし、実際にこうして買って飲んでワイン派の連中に「やいやい、同じ値段の白ワインより全然旨いぜバカヤロウ!」と言ってやりたいのだ。オレがワイン酵母系の日本酒を買う主な理由はほとんどこれだけと言っていい。

 さて、荒ぶる心はそっと諌めて、気を取り直して呑むとしようか。





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 ▲チッ、オレの真似してティアドロップを掛けやがって。

 ▼愛に打ちのめされるミニオン。
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 bottle size:720ml




SAKE GRADE:☆☆☆☆☆

【128】白瀑 -しらたき- 山本 和韻 (わいん) 純米吟醸 生原酒 27BY <秋田>

白瀑・山本合名会社:http://www.shirataki.net


Moukan's tag:




 山本としては初めてワイン酵母を使用して醸された日本酒「和韻 (わいん) 」です。漢字の当て字がブランディングにとって有益かどうかはさておき (笑) 、これでもさ、蔵元は無い知恵を絞って頑張ってるんだよ・・・。

 ラベルには未記載だけど、使用米は「秋田産・酒こまち」、数値は「日本酒度:−3.0、酸度:2.0」みたいね。

 香りは比較的穏やか。青リンゴや白ブドウなど、少し酸の立つ香りを感じるものの、ツンとした強いものじゃない。奥で静かにバニラ、セメダイン香も。全体に清涼感のある爽やかな香りレベルね。何かのフルーツがドッカンドッカン香るとか、そういうのは全くない。

 はい、旨ぁーーーい

 これはちょっと予想を裏切る旨さ──あんま期待していなかっただけに (笑) 。


yamamoto_wain2.jpg いわゆるワイン酵母系日本酒に共通の、頑張って酸っぱい、ああいった味フェイスじゃないよ。むしろ立ち上がりには優しくシュガーな甘やかさもあって、言われなきゃワイン酵母うんぬんはわからないくらい、しっかりとモダンに旨い日本酒──今様の日本酒レベルを全く知らない飲み手は大いに驚くかもしれないけど。

 生酒特有のガス感もキメ細やかにジュワっと心地良い。炭酸の抜けた、甘さ控えめの酸っぱいラムネみたいな清涼感もあるね。香りや味わいというより、舌に絡む質感の心地良さでガブガブ飲ませるタイプの酒質かな。そういう意味では、特に驚きや発見があるわけじゃないけど、こういう酒が気軽にそこら中で買えるようになることが今の日本酒には必要ということを考えれば、これは十分に賞賛に値する完成度。いいんだよ、こういう旨すぎない、だけどしっかり丁寧に造られた酒があっても。

 これまでの味アーカイヴを持ち出すならば、26BY以前のミネラリーな仙禽を気持ちポッチャリさせて、少しのガス感でシャキっとドレスアップさせたという感じかね。温度が上がってくると、酸っぱいというよりは断然甘い酒質に。米のエキス感に溶け込んだコーティング感のある丸い甘みというのかな。変な話、仙禽の雄町なんかより遙かに旨いよ。

 つまりはこういうことだよ。

 成城石井で1,500円の白ワインなんかを適当買いして友人宅に持ち寄って飲み会を開いても、最初の「乾杯〜! イエ〜イ!!!」以上のテンションは酒そのものに対して決して与えられないし、以後、誰も酒について何かを熱く語り合ったりはしないであろう。

 だがしかし!

 もしも山本の和韻を持参して友人宅の飲み会に参加したのであれば、最初の乾杯の掛け声の後も、この酒についての会話がしばらくつづくであろうことは間違いない。何となく選んだ白ワインについて、その味や旨さについて誰も何かを語ろうとはしないが、厳選された同じ値段の日本酒を持ち込んだのなら、きっとそれを飲んだ人々はその旨さについて無口でいることはできないはずなのだ。

 うんうん、この酸っぱすぎない感じがちょうどいいわ。ワイン酵母を使った日本酒としては甘みがしっかり表現されてるのもいいし、なにより日本酒としてのルックを堅実に保持しているところに、造り手の矜持を感じるよ。重すぎず軽すぎずの旨みサイズもいい塩梅だし、それでいて心地良く軽やかなジューシー感もある。もうちょいわかりやすく何かのフルーツ感があっても楽しいけど、これはこれか。透明な甘み。口どけも素晴らしいよ。

 旨すぎない酒の最高峰!

という言い方もどうかとは思うけど (笑) 、オレはこのレベルの酒がいつでもどこでも気軽に買えるようになることが、日本酒がワインに勝つために避けては通れないハードルだと思うんだ──まだまだ無理か──無理というのは、「いつでもどこでも気軽に買える」という汎用性と、「そこまで旨くなくても何となく惰性で受け入れてくれる」という菩薩的な優しさ、この二つの獲得について無理と言ってるだけであって、すでに一部の日本酒は軽やかに同価格帯のワインなんかとっくに凌駕してるからな、そこは勘違いのないよう。

 ちなみに和韻は税込で1,800円です。ちょっと高いな、同じようなスペックの日本酒としては。それでも2,000円しないでこの旨さだよ。ワインにケチを付けられてムカっとしたなら、これより旨い白ワイン、黙ってどっかから連れて来いよ。トランプの戦争ゲームみたいに、順番に同価格帯の酒を出し合おうぜ。

 絶対に負けねえから




── 2日目。


 残りも1合弱と少ないので、ちゃんとした味が残ってるかは微妙だけど一応。

 ちょっと香りにアルコール的な浮きも出てきて、逆に昨日よりもミンティーな清涼感も。香りの輪郭そのものは全体には極めて穏やか。特に何かのフルーティーさが際立ってるということはない。

 昨日より酸っぱいけど、甘みもちゃんと出てる。微かにメロンのような含み香もある。一瞬、なにかのタイミングで残草蓬莱のQueeenみたいなニュアンスも感じるんだけど、この酒に乳酸ライクなフレイヴァーはないんだよな。

 普通に文句ナシに旨いっす

 Highly Recommendedにしてもいいくらいなんだけど、この酒はね、80点が満点、そういう酒。だけど、ポテンシャル的にはやりたいことをやりきってるんじゃないかな。100g/5000円の牛ステーキと800円の生姜焼きを比較する人はあまりいないだろうけど、その意味で、この酒は後者、食事で言ったら、気軽に入れる超大満足の定食屋、そういう酒。だから80点が満点──これは大いに褒めてますよ。

 味も香りも極めて穏やかなんだけど、食中に飲んでると爽やかで気持ちいい。甘酸っぱいというほどのメリハリはなく、アフターに締まりのある砂糖水というか (笑) 。やっぱ酸があるから締まるんだろうな。

 こういう酒がスーパーやコンビニで一年中買えるようになる時代が来たとき、それが真に日本酒が日本人の市民権を得たときだろうね。まだまだ時間がかかりそうだけど・・・。


moukan1972♂






日本酒 山本 白瀑

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