◤Domaine Jacques Selosse / ジャック・セロス ブリュット ブラン・ド・ブラン「INITIAL / イニシャル」NV (Dégorgement:2016/7/21)  




2018_9_2Jacques_Selosse7700.jpg




 毎度アクセスありがとうございます。


 クリュッグサロンルイ・ロデレールボランジェなどの老舗のゴージャス蔵を除けば、間違いなく一番高くて人気品薄のシャンパーニュ──それがジャック・セロスだ。かつて諏訪のワイン王が「日本酒で言えば『十四代』のようなスター蔵」と形容したけど、これはある意味で正しく、ある意味で正しくない。

 まず、それまでの既存の価値を転換 (転覆) させた革命児という意味では正しい。「十四代」との最も大きな違いは、当主アンセルム・セロス (Anselme Selosse) の、その圧倒的なカリスマ性と影響力が現代シャンパーニュ界すべてに──特に自家醸造家 (RM=レコルタン・マニピュラン) たちの隅々にまで浸透していて、実際、彼のもとには多くの弟子たちが常に集まり、一緒に畑仕事をし、何か知りたいことがあれば、彼自身が自分の持てる知識や技術を惜しみなく若い世代たちに分け与えていることにある。







ジャック・セロス」のワインはまるで一冊の聖書や経典のように無限の汎用性を創出するが、果たして「十四代」や「而今」にそれと同等の何かを日本酒界の中で担えるのかという問題は少なからずある──そもそも彼らはその技術や知識を気軽には他人に明かしたりしないわけだから、最初から担うことすら眼中にないとも言える。

 実際、悲しいかな、「十四代」や「而今」を1本飲んだくらいでは「今、日本酒界で何が起きているのか」なんてことは全く窺い知れないわけだが──そればかりかハズレ瓶を引いたら別の意味で何かを勘違いしてしまうが──、少なくともこの「INITIAL」を飲めば、それ──今、シャンパーニュ界で何が起きているのか──が分かる。




Cote_des_Blancs_Avize.jpg



 デビューした頃は6,000円前後で買えた「INITIAL」も今や20,000円じゃ買えないし──うちは楽天ポイントで買ったけど──、問題は「いつ買って飲むか」ということになるわけだが、正直、初心者には薦めない。いつ誰が飲んでも旨いけど、値段の高さを考えれば、その意味や価値を細かく感じたいところではある。そのためには、やはり100本くらいはアレコレ飲んでからトライした方が様々な点と点がドマラティックに繋がるという視界の広がりを体感できるだろう。ただし、ブルゴーニュの高級白ワインを数多く飲んで来た人なら今すぐに飲んだ方がいい──そういう人で「ジャック・セロス」を未飲のケースは稀だとは思うが。

 そんな暇も経済的余裕もない人は、せめてセロシアン (セロスの弟子が造ったワイン) を数本飲んでからにした方が賢明──というか、高い金を支払った意義を感じやすくなることだけは事実だ。直接の弟子でなくとも、ピエール・ジェルベドント・グルレベレッシュセレックデュフールピエール・パイヤールヴァルニエ・ファニエールパスカル・ドケくらいは舐めておきたい。特に「ピエール・ジェルベ」と「ドント・グルレ」は只今人気加速中なので値上がる前に拾っておいた方がいい。

 こうした地道な下準備を経ることで、軽々とそれらのワインの価値をジャック・セロスが飛び越えて行くという、そのマジックの美しい手捌きを存分に堪能することができるのだ。





2018_9_2Jacques_Selosse7713.jpg





◤Domaine Jacques Selosse / ジャック・セロス ブリュット ブラン・ド・ブラン「INITIAL / イニシャル」NV22,960 円




2018_9_2Jacques_Seloss7558.jpg



 飲んだのは先週の日曜だけど、今でも舌にその味と香りを想ひ出すことができ、とても幸せな気持ちになれる。香りはまさにブルゴーニュの白ワイン。人が頭に描くシャンパーニュのアロマなんか微塵もないし、実際飲むまでこれが発泡酒であることに気づく人が一体どれだけいるのだろう。

 含んだ瞬間の第一印象は、濃醇だけど統一感があって、芳醇だけど澄み渡っていて、複雑だけど清冽で、気負いや気取りが一切ないピュアなワインだということ。さすがに弟子や薫陶を受けた若手のワインには尖った感性が光っており、それはそれで溌剌としているが、この余裕、なんの気負いなく、あらゆる点であらゆるものを包み混んでしまう無限性は流石としか言いようがない──つまり、ここには全てがあり、それでいて、たった一つの世界だけが静かに優しく佇んでいる



2018_9_2Jacques_Seloss7569.jpg



 moukan1973♀は一口飲んで、♡☺♡「たしかに旨いけど、過去にもこういう感じのシャン、あったよ」と、その余りに幸福なバカ舌を惜しみなく披露したが、そんなもん、最初の一口で全て吹き飛ぶわ。

 実際、これに一番近いのは弟子のミニエールだ。その他にも、ここには過去に飲んで来た様々なRMシャンパーニュの様々なニュアンスやアイディアや技術が含まれているが、違う、連中のワインは所詮はジャック・セロスの〝部分〟に過ぎまい。

 アタック皆無の、あまりに美味の果実を液状にして嚥下しているかのような、不思議なパースペクティブ。生々しい果実の球体は実際に手に取れるようでいて、ところがいつのまにかスルリと抜け落ちてしまうという幻影。エントリークラスのNVでこれかい。もしもこのキュヴェが名も無き蔵の名も無きワインで6,000円であったとしても、余裕でその稀有な価値はオレによって暴かれるし、即行でケース買いしたいくらい。



2018_9_2Jacques_Seloss7580.jpg



 さて、困ったな。確かにこれは他のワインでは代替不能だ。もはやミニエール程度じゃ代役は務まらないが、大本命のブラン・ド・ブラン (再入荷中) はそこそこやってくれるのだろうか。無理だよ。先生が手塩にかけて育てたグラン・クリュのシャルドネにヴァレ・ド・ラ・ヴェルのそれが勝てるワキャない。。

 さすがにバカ舌クイーンのマイハニーも飲み進むにつれてこのワインの虜になっていったみたいだけど、もう1週間以上も前の夢の時間。完全に忘れてるだろうな (笑) 。

 誰がいつどこで飲んでも旨いワインであることは間違いないが、前説でも書いた通り、値段がバカ高いので、もしも買う決心の付いた人でも、少しは諸々の予習をしておいた方が無難だと思います。

 あと、本丸の1800mlも似たようなプレ値だけど、そっちは笑っちゃうくらい無価値ですね。そう考えると、ジャック・セロスも不当には高くヌワイ。つうか「極上諸白」の720mlのプレ値の方がこれより高いとか、何かのコントの台本ですか?


moukan1972♂






Comment

Add your comment