◤智則 - 純米吟醸 佐香錦 直汲み中取り 無濾過生原酒 27BY ── dಠಠb「この酒の魅力はなにより、口内の時間の流れがエレガント、これ尽きる」#Fresh, Fruity, Women 




 月山という銘柄が蔵のメイン・ブランドみたいだけど、これは杜氏である吉田智則氏の名前を前面に押し出した別ライン。月山を呑んだことがないので、どういう方向に振れた別ラインなのかは分からないけど、例えば而今が「唯克 (ただよし) 」、鍋島が「直喜 (なおき) 」という別ラインを立ち上げたとしたら、決して少なくない日本酒ファンが「オヨヨヨヨ」となるわけだから、それなりの覚悟と決意が込められている酒であることだけは容易に想像できる。




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 bottle size:1800ml




SAKE GRADE:☆☆☆☆

【098】智則 -とものり- 純米吟醸 佐香錦 直汲み中取り 無濾過生原酒 27BY <島根>

吉田酒造 株式会社:http://www.e-gassan.co.jp


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 立ち香は比較的穏やか。直汲みならではのガス感が香りの発散を閉じ込めている段階なのか、旨さが弾ける3秒前のウズウズした揺らぎや膨満感を孕んだ、危険だが静かな気配が漂う。あえて言えば、サラっとフルーティーな、リンゴの蜜様のソフトな甘やかさがソロリと。決して呑む前に何かの結論を導き出せるほどのケレン味はない。ま、智則の直前に華やか番長な「山形大吟醸・秀鳳」を呑んだという流れもあるが。

 含むと、シュワシュワ手前の心地良いガス感に導かれて、凝縮感のある甘旨がジュワっと口いっぱいに広がり、極めて自然な流れの渋酸の尾ヒレを伴って、広げた大風呂敷をササっと手際よく閉じる。これにはバカ舌で有名なマイワイフも、

♡☺♡「ガブガブ飲める、キケ〜〜〜ンっ!

と、思わず笑みがこぼれる。


tomonori3.jpg 確かにこれは、アルコール度数の割に、異常なまでにライトで疲れ知らずな味のサイズ感だ。この酒に対して「フルボディ」という説明もあちこちで見かけるが、我々にはそうは感じられない。フルボディというのは、あくまでも凝縮感の密度の高さに対して発せられた印象であって、酒質そのものの重さや濃醇さに対しての説明ではないと思うのだ。むしろアルコールを感じさせない造りの良さが、飲み手をガブガブの酒の沼へと危険にいざなう。

 個人的な好みとして、もっと酸度が高めの味設計でもいいような気もするが、逆にさほど酸を感じさせずにここまでスムースに味を切らせることができるアフターにこそ、智則ならではのスマートかつビューティフルな流れが宿っているとも言える。この味のエンベロープ (時間軸による味曲線) はオレの大好きな「篠峯/純大/雄町生」に近いものがあり、味とか香りとか、いろいろ語れる要素はあるのだけれど、この酒の魅力はなにより、この「時間の流れ」がエレガント、これ尽きる。要は口内の音楽として美しいのだ。

 しかしこれ、危険なジュースですわ。ガブガブ呑んで撃沈街道まっしぐらみたいな (笑) 。ふくよかなファーストタッチからガス感が引き継いで凝縮感のあるジューシーさ──からの、うっかりしてる間の瞬殺フィニッシュ。消えてしまった味を追いかけてオカワリ連発、酔う、潰れる、視界がボヤける←今のオレ。

 温度が上がってくるとトロっとしたポッチャリ感、濃醇な甘旨も膨らむが、味の手仕舞いが素早くてスムース。こりゃマジで飲み過ぎるタイプの酒だ。疲れたから続きは2日目と合わせて書くわ。

 風呂入る




── 2日目。


 昨日は途中で面倒臭くなって書くのやめちゃった。面倒というのは、「旨いんだから、もういいじゃん」という、ある種のモチベーション低下が引き起こす執筆欲の減退のこと。思いっ切りマズい方がある種のモチベーションが上昇するのは、なにより書き手の性格に起因する珍現象 (笑) 。

 さあ、2日目はどうかな。


アオハタ_りんごジャム 昨日より立ち香に甘さを感じる。あまり値段の高くない、薄黄色のリンゴジャムみたいな、ふんわりとした砂糖ライクな甘さ。ま、今日は空腹状態で最初に呑むから、いろんな意味で感覚が研ぎ澄まされているということか。昨日は既に酔ってる状態で開けたからなあ。

 含むと、昨日より酸を強く感じる。全体にメリハリが出てきた。ガスはほぼ抜けたかな。ん? ちょっと最後が苦辛いな。昨日とはまるで違う酒になってる。昨日の方が遙かに旨かったぞ。

 う〜ん、やっぱ辛い。

 味のエンベロープ (時間軸による味曲線) がガタガタになってしまった・・・。最初はリンゴの蜜様の柔らかい甘やかさがトゥルンと膨らむんだけど、旨みが萎んだ後にズーンと苦みと辛みが増大してくるバランス。これは「花陽浴/純大/山田錦生」の時に感じた流れと同じ。飲み込んだ後に味の音量が大きくなる感じだ。

 ここまで2日目に味が崩れる酒、これまでにあったかな。マズイわけじゃないんだけど、初日の旨さとの開きが少し大きすぎる。

 んんん、今日は酒と旨くキャッチボールできねえな。

 今日はオレ一人なので、チロリに1合ずつ入れておかわりするスタイルで、今2合目だけど、まあ、酔いの深度が高まるにつれ、アフターの苦辛はさっきよりは気にならなくはなってるかなあ。頭のテロっとした蜜様のフルーティーな甘さも捕まえやすくはなってきたけど、それでもちょい余韻としての苦みが重いかなあ。昨日の完璧なエンベロープ (時間軸による味曲線) はなんだったんだろう。

 まだ4合弱あるから、結論を出すには早急だけど、たとえば風の森とは異なり、智則は初日のガスが抜けて甘さよりも辛みやアタック感が増すタイプの酒質のようだ。ガスが溶けて苦み倍増みたいな。初日は「而今/にごり」の上澄みをソフトに仕上げたような、優しくてキュートなシードル (リンゴ酒) 感、あったんだけどなあ




── 3日目。


 瓶口からだと甘酸コアの中にバナナ系の香りもあるが、チロリに注ぐと甘やかなマスカット系が中心。今日はリンゴはないかな。最近呑んだ中だと、「町田酒造/直汲み/美山錦」とか「たかちよ/純大」とかの、甘めのフルーツ感に近いニュアンス。

 さあ、今日はどうだ?

 んんん、やっぱアフターが少し苦いかなー。昨日よりはポヨンとしたシロップ感もあるし、香りを鼻から抜くと米のエキス感もほんのりある。甘さはかなわないけど、やっぱたかちよ/純大に似てるかなあ。

 初日のジュワっとした凝縮感──からのスムースな退け、あれは何だったんだろう。初日は☆6あったけど、2日目以降は☆3.5かなあ。どうしよう。これ、4合瓶、あるんだっけか? あるなら一升瓶はあまりオススメしない。

 微かにオリが沈んでるので、ラストの1合は攪拌して。割に激しく、願いを込めて、ジャブジャブと攪拌──「旨くなあれ、旨くなあれ」。

 曇りガラスとまでは行かないけど、少し汚れてるコップ程度には透明度が落ちてる (笑) 。ちょい責めライクなジュリっとした酸由来のキシみが増して、うん、味にコーティング感が出てきて、こっちのがカッチリしてていいかな。初日とは別の酒だけど。

 でも、やっぱ最後が苦い。間を取って☆4に格下げしておきます。初日はバカ旨かったけどな。


moukan1972♂





智則 月山 日本酒

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