もう肝臓の無駄使いはしたくない夫婦の日本酒備忘録

「太陽目線法」を伝授します。
〜 日本酒の家呑みレポート&本日の1曲、時々メガネ警察〜

◤此君 - 純米大吟醸 玉栄45 無濾過生原酒 ── dಠಠb「なかなかに玄人肌なバランス感覚だが、若手らしいモダニティ溢れる味わいもしっかりある甘酸っぱい美酒」#Fruity, Wine Oriented 




 此君です。外呑み/家呑み共にはじめていただきます。つうか1年を通じて、そもそも外では〝ほぼ〟呑まないのだけれど──最後に夫婦揃って外で日本酒を呑んだのはいつだっけ──出先の道端で (マトモな日本酒を買えない状況下で仕方なく) コンビニの缶ビールをシェアしてガブ飲みしたことは2〜3度あったけれど。

 昨今の日本酒業界においては決して珍しくないパターンですが、いわゆる一つの、

 息子、故郷へ帰る──

から始まった銘柄です。実は鍋島や新政もそうだよね。最近じゃ、挙げたらキリがないくらい、このパターンは多い。25BYの時点で30石 (一升瓶換算で3000本) という少量生産体制のようだけど、都内での取り扱いも徐々に増えてるのかな。 (※26BYは50石弱まで増産している模様。by 日本酒感想日誌 )

 ドライでパワフルな酒質が売りのようだけど、今回は「日本酒度:−6、酸度:2.3」という、少し此君としては変り種タイプの純米大吟醸をチョイスしてみた。うん、この数字の感じ、好きなんだよなあ。ま、実際には数値で味が決まるわけじゃないけど。




shikun_jundai45_nama1.jpg

shikun_jundai45_nama2.jpg
 bottle size:720ml



【087】此君 -しくん- 純米大吟醸 玉栄45 無濾過生原酒 27BY <鳥取>

高田酒造 株式会社:http://www.shikun.co.jp


Moukan's tag:




 使用米は全量玉栄。七本槍なんかでも多用してる酒米。どうなの? 酸にキャラのある酒米なのかね。去年呑んだ七本槍のチャレンジタンクもエラい酸っぱかったな。酸の出る米と言えば美郷錦や亀の尾が個人的には印象深いけど、26BYは山本と三千櫻の美郷錦──特に山本が良かったかな。一白水成の美郷錦は人気のほどじゃなかった──27BYは飲んでないけど。

 立ち香はピーチ。少し硬い感じの酸っぱめのピーチ。でもフワっと優しいトロピカルでエキゾチックなニュアンスもある。マンゴーほどモッタリ甘くはないけど、磨き45なので、それなりに香るっちゃ香る。でもフローラルまではいかない。ほんのり甘やかな、やや恥じらいのあるフルーティーさ。

 含みまーチュ。

 あ、割にザラっと繊維質な舌触りのある、ライトな旨口ニュアンス。このへんもピーチである所以。ボディはあくまでスリム。ミネラリーな飲み口もあるが、そこまで人懐こくキャッチーに味が広がるわけでもない。うん、なかなかに玄人肌なバランス感覚だが、若手らしいモダニティ溢れる味わいもしっかりある。アフターにアタック感のある渋酸も残るが、少し遅れてエアリーな甘さがフワっと、これが実にいい流れ。


shikun_jundai45_nama3.jpg 普通、最後が渋いとそれで終わりなんだけど、これが高精白のなせる技なのか造り手のセンスなのか、渋酸の素早い口どけと共に優しい甘さが時間差で来るのがいい。まるで性格キツそうな近寄りがたいタイプのキレイなお姉さんがスレ違った時にふと感じさせた、性格とは真逆の爽やかなトワレ──そう、彼女は意外にも濃醇なパヒュームではなく爽やかなトワレを肌身にまとっていた!──みたいな (笑) 。

 温度が上がってくると、味わいが柔らかく、更に口どけが良くなった。このバランス感覚というか、旨すぎないこの感じは意外に大事。普段からオレがよく使う言葉に「旨すぎ問題」というものがあるのだけれど、その意味でこの酒は、この旨すぎない感じが魅力だとも言える。気軽にいつでもどこでもこういう酒が労せず飲めると嬉しい──そう思わせるタッチ。

 基本的にはピーチな感じで甘酸っぱい輪郭だが、造りそのものは割に職人気質で、ヤンチャで荒々しい風情は少ない。三千櫻の山田社長の頭に黒々とした髪の毛がボウボウと生えてきた感じと言えばいいのか、はたまた仙禽の薄井氏から生意気エキスを適度に抜き取った感じと言えばいいのか。

 常温に近いところまで温度が上がってくると甘渋のコントラストが少しキツくなるかな。どちらかと言うと酸が主張するタイプの酒質なので、割に冷たい温度帯の方がエレガントに味わえる。この感じ、ここまでのブログ内には似たようなタッチはないけど、あえて思い出せば、クラシック仙禽/山田錦26BYをクリーミイにした感じに近いかな。仙禽のようにクリアではなく、含んだ時のボディ感は此君の方が断然ある。

 やはり、温度が上がりはじめる手前が一番旨いかな。温度が上がり過ぎると酸が少しボヤけるから甘苦いニュアンスになるというか。燗酒の温度帯まで上げれば話は別かもしれないけど。

 うん。ま、4合瓶で2,484円 (税込) なので、それなりに素敵なお値段だけど、この安定感と引き換えなら、大人の晩酌酒としては別にいいっか。呑むタイミングや順番もあるかもだけど、最近の流れの中でのこの此君は印象いいぞ。オススメだ。

 たった今、最後に頭によぎる──これ火入れして熟成させるとプラムや干したクランベリーのような濃醇さも出てきそうなタッチだ。玉栄か。オマチスト (雄町好き) としては、27BYの残りは少し意識してトライしてみるかな




── 2日目。


 酸化したからなのか、立ち香に少しバナナも出てきた。セメダインは昨日も今日もない。全体には引きつづきピーチだけど、冷酒の温度帯だと昨日より少し渋いかなー。昨日言い忘れたけど、生酒特有の重さはない。一回火入れで生酒みたいな酒があるとすれば、言うならこれは、生酒なのに一回火入れみたいな酒。味の変化も普通の生酒ほど過激じゃない。

 温度が上がってくると、今日も口どけの良さは感じる。含んだ後の渋み/苦みにアタック感があるものの、最後に少量の甘みがフワっと重なってくる流れは今日も健在。酒質そのもののニュアンスは、洋か和で言ったら洋。露骨にWine-Orientedではないが、フレンチやイタリアンにも合わせやすいタッチと言えば分かりやすいか。甘さはそれほど前に出てこない。バランス的には酸に比重のある酒。

 好きだけど、2,484円 (税込) は少し高いか。細かいことをセコセコ言うなというお叱りを受けるかもしれないが、

 だったらマンションの価格に置き換えてみたら?

 1,600万 (税込) なら買うけど、2,484万 (税込) なら買わないという感覚は誰しもに備わってるんじゃない? そういう意味な、少し高いというのは。生産量の少ない銘柄だし、応援料という意味合いを考慮することはできるが、ごめん、やっぱ仙禽の麹米35/掛米50で1,600円(税抜)という価格設定が一段と安く感じちゃう。




── 追記 (2016/9/6)


 珍しく先行しましたが (笑) 、是非こちらの記事も合わせてお読みください。


 日本酒感想日誌
 【607】此君 純米大吟醸 玉栄 無濾過生原酒 27BY


moukan1972♂



此君 日本酒

Comment

Add your comment