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◤手取川 - Tedorigawa neo. 山廃 純米大吟醸 無濾過原酒 28BY ── dಠಠb「ある意味、ラベルの印象通りの酒」#Fruity/Women/田鍋梨々花
実は10年くらい前に (西荻窪に住んでいた頃に三ツ矢酒店で) 寝酒代わりによく買っていた「吉田蔵」でもお馴染み手取川 (てどりがわ) です。当時は「手軽に酔える」くらいのノリで一升瓶しか買ってなかったし、冷蔵保管も面倒だったので火入ればかりを買ってたけど、横文字ライクなテドリンはなかったはず。

とはイエイ、若い頃は形から入ることも大事だし──形からしか入れない人間の方が多いわけだし──、それ自体をどうのこうの言うつもりはないが、逆に都会人のオレには無駄なバイアスになることだってある──これと真逆なバイアスがたとえば「菊鷹」で、♡☺♡「ラベルが田舎臭いのに味はモダン!」なんて言葉も景気良く飛び出す事態になる (笑) 。
このオサレ──だと少なくとも本人たちが思ってるルックが逆説的に田舎者的コンプレックス (粋がり) の証左にならなきゃいいけど。五百万石50、金沢酵母、日本酒度:−3、酸度:2.3の山廃仕込み。見た目が双子並みにクリソツな速醸──「Tedorigawa」の下の曲線が黄色──もあるので注意が必要。


bottle size:720ml
SAKE GRADE:☆☆☆½
【469】手取川 -てどりがわ- Tedorigawa neo. 山廃 純米大吟醸 無濾過原酒 28BY <石川>
株式会社 吉田酒造店:http://www.tedorigawa.com
Moukan's tag:
立ち香──デドリン、微妙なカホリン。なんか無臭? 奥でオガクズのような、ピザ生地のような香ばしさが (笑) 。

まあまあかな。オレの言う「女子会向けの酒」で、ある意味、ラベルの印象通りの酒。なんか小ズルい酒ですね。何が小ズルいかと言うと、批判をかわすために敢えて自己主張を抑えてる感じが男らしくない。まあ、田舎者特有の洗練願望でしょうか。少なくとも都会人のオレがこの程度の酒に騙されることはない。まさに青山のカフェで流れる無難なジャズやボサノヴァやラテンハウスと似たような存在感。たしかに「外ケ濱 TREIZE 蔵人仕込み AY 27BY」よりはマシだけど、向いてる方向も足りてない要素も同じようなもん。☆3.5の模範のような酒。ライムスターの歌詞を借りれば、この酒からは若手蔵人同士が1つに溶け合って「描き出される線」をまるで感じないよ。
能書き豊かな割りには攻め気が足りない。嫌われない努力をする暇があるなら、99人に嫌われてでもたった1人を泣かせてみれば? 味や香りではなく、オレの味覚はさらなる根元へと分け入って行く。そしてあっと言う間に身ぐるみを剥がす。これは他人に打ちのめされた経験のない人間の造るナルシスティックな酒だ。「これくらいやっときゃ、ひとまず問題ないっしょ」と思うことが一番の問題。あと、田舎者に限らず現代人は「更なる進化を」とか「まだまだ進化の途中」などとすぐに言いたがるが、そもそも現生人類 (我々) は下等動物からの進化の証なのか? 逆に生物として退化した (粗悪になった) からこそイジメや殺人や精神疾患が横行するんじゃないのか? 頭が硬いな。退化 (後退) することで見えてくる未来もあるんだぜ? たとえばオレが明日から五行詩で酒記事を書くスタイルを始めたら、結果的にスゴい進化だと思わないか (笑) ?


自ら限界値を定めたような退屈極まりない酒──ただ、呑めはする。こうした根拠なきイデア (理想=正しい世界) を知識やセンスとして、自らの努力なしに生来的に兼ね備えてしまってるのが今の若者の不幸だな。だって、こういう味と香りの酒がキレイでオサレって、なんで創る前から知ってる? 学んだつもりのないことを生まれながらに知ってることって本当は恐ろしいし、盲目のイデアこそ創造にとっての最大の敵だということこそ、知識として覚えておくといいだろう。
── 2日目。

▲以下、 2018/6/11追記。さっきタマタマ自分で見つけた。この当時は彼女を誰かは認識してなかったけど、流石オレ、ちゃんと拾ってた。言っとくけど、別にオレは中高生が好きなワケじゃないぞ?──ナボコフの『ロリータ』は好きだけど、それは芸術作品としてだし、なによりオレが一番好きなのは1973年生まれのオバサンだからな (笑) 。単にブスや色黒が堂々と闊歩する今の芸能界を憂いているだけ。取り戻してほしいんだよ、女優の尊厳をさ!


立ち香──香りそのものは「山本 純米吟醸 美郷錦 26BY」を想起させる青リンゴや洋梨系で、ここは好きなんだけどっていう。
含むとやや除光液ライクなエステル香がケバいんだよなあ──セメダインより輝きがキツイ。うーん、やっぱ上っ面なんだよなあ。それと山廃っぽさをあまり感じない。なんか加水した淡麗の速醸酒みたい。それでもこの流れで飲む「鍋島」は油絵だけどな (笑) 。テドリンは少し粉っぽいなあ。そして今日は完全にバナーナですね。もうちょい甘酸がハイコントラストならなあ。

結局、この手の酒は、所詮は田舎者によってねじ曲げられた架空のアーバニズムの中で偽装された盲目の洗練美なんだな。

この酒はそれなりの最大公約数に満ちた酒ではあるが、お世辞にも世界を股にかける酒でも作品でもない。もちろん、本人たちだって、さすがにそこまでの意識はないのかもしれない。だったら粛々と田舎ラベルで旨い酒を造ってりゃいいんだよ。企画やデザインを考える暇があるなら旨い酒を造るにはどうすればいいのかを考えてろよ。若手であれば、黙って人知れず中澤のじっちゃんとヤバイ酒を造る黒澤洋平をオレは買う。☆3.5!
moukan1972♂
Name - moukan1972♂
Title - To マイルドさん
毎度です。
──これを飲んでモヤモヤしていたことをモウカンさんが全部書いてくださったので心が晴れました(笑)
むしろこれ、アンチ・テロワール、アンチ・ドメーヌな方向性の味わいだと思うんですよね (笑) 。同じ石川なら「宗玄」の方がむしろ「うわっ、能登ぉ〜」という、飲んですぐわかる土地の個性があります──厳密には杜氏の流派由来ですが。
27BY以降の「仙禽」もそうなんですが、能書き言うわりには出て来る味が完全に「大衆化されたモノ」という自己矛盾、これを本人たちはどう思ってるんですかね。別にそれならそれでいいんですが──そういうポップでライトな味わいが好きな人だっているし──、そうであれば「故郷を捨てる」という、たとえば大学進学で東京に出てきてそのまま居座って東京人の顔して生きてる無数の田舎者たちと同じになるわけですが、なぜか若手の地酒組は完全にカブれてるくせにドメーヌ (地元) がるという不思議 (笑) 。結局「どうするのがカッコイイか」ということしか考えてないように僕には映りますね。そういうモチベーションに突き動かされるのは18歳までで卒業してくれよと。
この酒も、別にそこまで口うるさく文句を言うほど不味くはないですが、そのあまりの無個性ぶりと、そのくせ個性を主張する造り手のお寒い能書きとの温度差に少しイラっと来ます──ま、味そのものも別に大したことはないわけですが。
──こちら福島では「夢の香」がありますが、甘ったるくて、とって付けたような香りで仕上がるものが多くて苦手です。
地元米としてはそこそこ分かりやすい個性が出てる方じゃないですか? ネーミングしかり、僕ですら「夢の香」と聞くと色白のまんじゅう姫を連想しますし、その味わいもネクター寄りの白桃というか──実はネクターやトロピカーナは好きです (笑) 。
──しかしこの「neo」ホントに山廃なんですかね。。。山廃らしくないなあ。
山廃的な乳酸感を (あえてなのか) 抑えてるのと、そこそこ香りは出してるので、まあ速醸のキレイなフルーティー酒みたいではあります。僕はリアルな果実味ではない抽象的なフルーティネスこそ山廃の魅力だと思ってるんですけどね。
造り手も酒屋もみーんな「山廃らしくない=モダン」だと思ってるんですが、そもそも「らしい」と考えてる「かつての山廃」が、単なる技量不足の醸造ミスというか、造りの拙さから来るノイジーなニュアンスが勝手に (「それが山廃」と誤って) 属性化されたと疑う心はないものでしょうか。やってることは「理科」のくせに、みんな科学者目線がないんですよ。そればかりか特に若い連中は「文学」に走る。
こっちは「米鶴」や「黒澤」という最強カードを持ってるので、こういう媚びた「山廃」を飲むと、アンタら、まだそこ!?とは思いますね。
「鯵ヶ澤」はオモロイので近所で見かけたら是非。