◤車坂 - 山廃純米大吟醸 生原酒 28BY ── dಠಠb「モダン山廃の実現にとってこの香りは邪魔」 




kurumazaka_yamahai_jundai28by3.jpg 近所でチラホラ扱いありますが、初めて飲みます、買います、書きます、車坂 (くるまざか) です。「そういや和歌山の酒は初めてかなあ」なんて思ってたら「南方」と「紀土」もそうでした。

 実はもう2日ほど呑んでるんだけど、正直、初日は「ウっ」となった。抜栓時の瓶口からの香りはそうでもなかったんだけど──むしろヨサーゲな印象すら──、含むと余計な華やかさが邪魔で邪魔で邪魔で邪魔で二人で困っちゃった。幸い、2日目にはだいぶ邪魔な香りが抜けたので、まあ吐かずに呑めたけど、この程度の酒は外飲みの最初の一杯だけで十分ですね。

 こちらの蔵、聞いた話だと、内部で少しお家騒動があったらしく、それでそれまでの杜氏をクビにして、能登杜氏四天王の農口尚彦氏の下で10年働いていた藤田晶子氏 (東京農大醸造学科出身) を新杜氏として迎え入れたのが2013年で、25BYから新体制になったのかな──いろんな話を継ぎ接ぎして総合すると。

 DE、彼女の造る「山廃」は26BYに初登場で、今季で3シーズン目みたい。山田錦50の協会1401号 (金沢酵母) だけど、呑む前は使用酵母は把握してなかったので、それもあって少し面食らってしまった。やはり、もはや我々には二桁酵母は鬼門なのかなあ──28号酵母を除いて (笑) 。「豊盃」なんかは1501号を使うよな。ま、いいや。数値は「日本酒度:+2、酸度:1.7、アミノ酸度:0.9」で、27BYは「日本酒度:+5、酸度:1.8」だったみたい。




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 ▲ちょっとボーっしてたら、撮影前に720mlに移した後だった (笑) 。オリジナルは1800mlです。


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 bottle size:1800ml




SAKE GRADE:☆☆☆½

【466】車坂 -くるまざか- 山廃純米大吟醸 生原酒 28BY <和歌山>

株式会社 吉村秀雄商店:http://www.nihonsyu-nihonjyou.co.jp


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 立ち香──割りとイイ感じの、オレの好きなタイプの穀物由来の香ばしいミネラル香がカツっと。全体に香りの出力は控えめ。この段階で露骨な乳酸感もフルーツ感もないけど──さすがにフレッシュさもまたないが、イイ塩梅のキャンディー感はある。これは期待か。

kurumazaka_yamahai_jundai28by4.jpg あああ、ダメじゃん (笑) 。ツーカこれ、完全に香り系の酵母だよな? もしくは「金沢系酵母 (14号) 」とか。程度と表現に関する流儀の方向性は異なるものの、本質的には「松の司」なんかと同じ通奏低音を感じる。オレとしては、山廃の酒でこの香りは非常ぉ〜にチグハグなモノに感じる。

 正直、大いに期待ハズレ。そこそこ素人ウケは良さそうな酒だけど、少なくともオレを唸らせるような酒ではないし、そもそも造りとか仕込み以前に種麹や酵母の選択を間違えてる。しかしイマドキここまで速醸的な香り酒に媚びた山廃があったとは恐れ入る。DE、今調べたら、やはり酵母は「1401号酵母 (金沢系) 」だったよ。これは明らかなミスキャスト。都会の洗練を熟知しているオレにとっては極めて田舎臭い酵母ですね。少なくとも「山廃」でやるなよな。一説によると確か「黒澤」の直汲みブルーも14号系らしいが、ちょうどストックしてるわ。きっと「黒澤」ならドクターペッパー系の香りに仕上げてくれるとは思うが (笑) 。

 唯一の救いは山廃的なカロリーオフネスがそこそこある点で、ある種のストロングな淡麗感があり、そこは飲めるポイントではあるものの、もはやオレの中では「米鶴 生酛 純米 中取り生 仕込み22号 28BY」の出来損ないにしか感じないなあ。そもそも香りや華やかさから離れるためにモダン山廃を買ってる身としては実に邪魔な香り。


kurumazaka_yamahai_jundai28by5.jpg 酒としてはどうだろう。まず水の美しさはある。軟水ライクな輪郭ながらそこそこ力強いミネラルも感じる──GA!──Bodyが清冽なだけに跳ね返りの強さがノイジーになる面は否定できない。つまり、淡麗なら淡麗でそのままスルりと走り抜けてくれというという歯痒さがある。

 あとはこのムッチリ感がオレの求める理想的な山廃ラインとは相そぐわないことが最大の問題点。酸度も少し足りてないなあ。なんか速醸酒の〝なんちゃってダイエット版〟という感じで、わざわざ「山廃」というジャンルで表現するべき味と香りではないとオレは思うけどな。

 まあ、好きな人は好きだろうし、別に問題なく美味しく飲める人も全国には何人もいることでしょう。それでもオレが標榜する〝理想のモダン山廃〟ではないし、そもそも同じ組には入れない。せっかく薄着のコーディネイトにしたのにボディーメイクと香水が過剰なような気がする。液性も少しモタっとする──それでもこの酒にここまで文句を言う飲み手は日本でオレくらいだとは思うけど。もはや見えてる世界が世間とは違うんだよ。





 1973チャレンジ!!!
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 ♡☺♡「んんん!? 大丈夫か? なんかオイニイ (匂い) がお花畑のような気が・・・。ややトゥワ?」──彼女はオレの下書きを読んでないし、オレの感想も事前には伝えていない──「お花来てるねえ。やや牧場香あり。そして味も微妙。最後は苦い。山廃ならでの感じがない。唯一あるとすれば (クドめの) 味わいの割りに軽いことくらい
 dಠಠb「チグハグだろ? モダン山廃にこの香りは。余計な厚化粧というか

 ♡☺♡「チグハグというのはピッタリの表現。人工香料のように意図的に香りを添加してる感じがノイズ
 dಠಠb「ところで、日輪田の27BYが最後の最後で化けたで (笑)

 ♡☺♡「MJKか (マジか) 」──「旨い (笑) !
 dಠಠb「車坂は2日目以降に香りが抜けることを期待するしかない。このままじゃ呑めない





── 2日目。

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kurumazaka_yamahai_jundai28by8.jpg 立ち香──ちょろっと昼間に香りだけ嗅いだ時にはだいぶ酸が前に出てきたような気もしたが、ミルクキャラメルっぽいニュアンスもあるかな。香りのエネルギーそのものは控えめな方だとは思うけど。

 うーん、イヤ感じの華やか香気成分は抜けたけど、なんかザラついてんだよなあ。透明感はないなあ。オレもまた、青い鶴の囚われの身 (米鶴の山廃純米大吟醸の幻影を追い求める愚者) なのかなー。どうしても山廃の生酒を飲む場合、青い鳥を求めてしまうんだよな。「松の司」で感じたムチっと感、あれ酵母由来なのかなあ。なんか100円ショップのプラスチック容器みたいな匂いというか (笑) 。


kurumazaka_yamahai_jundai28by9.jpg 美酒たろうとして美酒ならずの残念系かねえ。なまじ微妙な美人より愛嬌のあるブスの方が好印象なのと同じで、どうにもこの酒には入り込めないな。まさに☆3.5の女王という感じの酒だ (笑) 。そしてやはり、酸が足りてない。液性にヌメっとしたモタツキがあって、これ山廃でやる意味あんの?みたいな。「九郎右衛門 生酛 特別純米 金紋錦 無濾過生原酒 28BY」よりは酸っぱいけど、この粉っぽい跳ね返りとか、同じ組の、あまり仲良くない者同士という感じ。



 サウジアラビア文化に詳しい鷹鳥屋明氏
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 ▲まさかのサウジヲタ??? これはある意味アタラシイ。ブレイクの予感。



 ただ、余計な香りはだいぶ抜けました。それでもオレとの相性の良い酒ではない。食中は何も気にせず軽やかな辛みとジリジリする渋みとヌタっとした甘みがグルンと旨みのバランスボールで一回転するから、思考停止気味にダラダラ飲めるけど、だったら缶チューハイでいいわけで。


kurumazaka_yamahai_jundai28by11.jpg日輪田 27BY」は残り一合を切ってますますいいな (笑) 。あのうるさい苦みは何処へ。こりゃイイ塩梅の熟成具合だ。滑らかな入りから目の覚めるような柑橘の青空、ふと地平線を見ると黄金色に実った稲穂の群れ、雨上がりなのか、足場は少しモイスト気味にズシりと地面が一歩一歩に対して沈み込む。甘さのニュアンスはシュガーレスの甘味料テイストで、優しい苦みを残しながら液のコアに向かって落ちるように溶けてゆく。この段階では☆4.5は揺るぎない。今日が一番ジューシイ。26BYの一升瓶も楽しみだな。

 一方「車坂」は、まさに坂を転がり落ちるように弛緩した液性をブチャブチャとヌメヌメと──まるで溶けゆくキャラメルサンデーを早回しのVTRで眺めているようにダラしなく口の中を満たす。そして余韻には逆に甘さの抜けたカスのようなカラメル感。一言で済ませれば旨くないし、一つ言わせてもらえば、これは完全に酵母の選択を間違えてる。まあ、3月出荷の酒なので、もっと早い段階で開けるべきではあったかな──ややミネラルの剥離も感じるし。いずれにせよ、我らが「篠峯」とは違い、ポテンシャルも強さもない酒であることだけは確かだ。

 意外や意外「日輪田」は最後の一杯に近づくにつれてグングン良くなった。28BYはどうかなー。 





── 3日目 (Now) 。


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 軽さと透明感はある──最初の1秒だけは。ただし、最終的には薄いセロハンをクシャクシャにしたみたいな渋みや雑味が舌を締め上げる。☆3.5ですね。そして「松の司」との通奏低音はある。

 なんだろうな。山廃由来の乳酸パートを脳内で濾過すれば、少しアロエっぽい青臭さも感じるかな。あとは食用オブラート的な無味無臭のムチっとしたテクスチャー。ここに香味成分が乗ると割りといつまでも残るし、意識せずともその余計な香りを追い掛けさせられてしまう。少し割り水すると、今我が家で密かに流行ってるミネラルの解放 by アンセルム・セロス状態になって、多少液性が滑らかになるが、まあ、オレとしては好きな味でも香りでもないです。今すぐには想ひ出せないけど、こういう酒、過去の700本の中にもあったなあ。

 そして少し粉っぽいし、それらの雑味が酸によって強化され、舌にノイジーな軋みをもたらす。美酒の輪郭はあるんだけど、逆にねっていう。噂では14号系を使用してるらしい我が家の黒澤青太郎に期待しておこうかな。そして今、突然想ひ出したのは、26BYの「仙禽 ドルチェ・ブーケ (ワイン酵母) 」だな。もちろん、味も香りも違うが、なんというか、この「車坂」を (ダサいお父さんを) ファッション改造するようにオレ好みにコーディネートするとドルチェ・ブーケになるみたいな。さすがに整形で別人にはできないので、あくまでもファッション改造レベルだけど。

 ちなみに2日目に関するmoukan1973♀の感想──♡☺♡「今日は意外に呑めるな! でも旨くはない (笑) 」。


moukan1972♂






日本酒 生酛 山廃 車坂

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