◤日輪田 - 山廃 純米吟醸 山田錦55 無加圧直汲み 26BY ── dಠಠb「優等生&人気者になる前の攻めっ気のある萩野酒造」#Wine Oriented/Well-Cured 




hiwata_jungin_jikagumi26by3.jpg 萩野酒造 (萩の鶴) の非速醸ライン日輪田 (ひわた) の26BYです。順番が前後してしまいましたが、鍋島オレンジよりこっちを先に開けてます。

 日輪田と言えば、これまでは山廃オンリーだったけど、28BYでは遂に「生酛」 (←酒泉洞堀一の販売ページより) がリリースされたみたいね。今年はDATE 7のリーダー蔵として生酛にチャレンジしていたので、近々やるとは思っていたけど、なんのことはない、ちゃんと自分のとこで試運転をやってたのね、さすがお兄ちゃん。

 どうやら「生酛」はDATE 7同様に淡麗テイストみたいなので、買うかどうかはわからんけど、その前に過去の日輪田をおさらいしておきます。この山田錦55の「無加圧直汲み 一回火入れ」は初呑みです。毎年11月に蔵の最終便 (そのBYの最終商品) として入荷するので、28BYも近日中にドロップされるはず。

 とにかく28BYの日輪田は良くも悪くも味と香りが出過ぎで、イマドキ仕様のジューシイ至上主義な要素 (人懐こさ指数タカーメ) が前面に出ていたので──もはや「ジューシイ、囚われの身」とすら言える──、まずは26BYからエントリーです。27BYも手配したので、近いうちに開けます。たぶん28BYは甘チャーミングだとは思うけど、誰か飲んだらタレコミ下さい。

 ちなみにこの26BYの数値は「日本酒度:+2.5、酸度:2.1」になってます。酵母は不明。




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 ▼毎年新酒が出回りはじめる11月頃にドロップされる、萩野酒造の最終便的な位置づけの商品。
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 bottle size:720ml




SAKE GRADE:☆☆☆☆½

【459】日輪田 -ひわた- 山廃 純米吟醸 山田錦55 無加圧直汲み 26BY <宮城>

萩野酒造 株式会社:http://www.hagino-shuzou.co.jp


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hiwata_jungin_jikagumi26by4.jpg 立ち香──しっかり熟してる。でも爽やかにフルーティーだぞ。奥で硬めの米の琥珀があるものの、鋭い酸とのコンビネーションによって、穀物と果実の入り混じった濃密な香りの立体がある。

 酒米の当たり年、26BYの熟成具合は如何に──。

 超スリムジューシイ──味の出方がまるで魚の干物 (笑) 。まだちょっと冷たいな。これは常温付近かお燗だな。ガスは「あるような/ないような」のゴーストレベル。含むと意外に派手な熟味はない。少し木香っぽい渋みを感じるけど、煮詰めたブドウの皮のようでもある。結構ドライで、ちょっと思い出すのは「澤屋まつもと Shuhari 2014」あたり。あれをさらにカロリーオフかつミニマルにしたようなニュアンス。


hiwata_jungin_jikagumi26by5.jpg 少しレンジで温めてみたけど、キレ上がりがビシっとバシっと強まるだけで、特に味が開くということもないかな。それでもピーンと張り詰めたハイテンションな酸が凝縮された果実味を点で表現してるあたりは、なかなかに楽しい。26BYの「萩の鶴/日輪田」は未飲だけに、そう考えると27BYは飛躍の年で28BYは大衆化の年だったのかもしれないことがこの酒を通じて推察される。それくらい、ここには誰かに何かをわかりやすく伝えようとする優しさはない。だが、オレはこの攻めっ気のある荒くれた日輪田に一票を投じたい。☆4.5から始めよう。

 ワイングラス──。

hiwata_jungin_jikagumi26by6.jpg なんか「篠峯 純大 雄町 参年熟成」みたいだな (笑) 。この糸のように細い味幅の中に凝縮された果実の情報が血液のように循環してるニュアンスがなかなかに得難い。これはいいぞ。まさか「篠峯」よりも細くてシャープな酸を出すとは。温度が上がるとますます区別が・・・。

 奥に硬く固められたような米の旨みのブロック──含むとそれが甘みを発散しながらほどけて行く。基本的には少し気難しい酒ではあるが、たまにデレっとした蜜のような甘みの球体をチラ見せさせながら懐いてくるニュアンスもあり、なかなかに放っておけないチャームポイントがある。温度は常温付近がいいでしょう。冷たいと渋酸の風合いに少し木香っぽさが生じる。

 これは長くつき合うべき酒なので、ちょっと味見した程度じゃ時間も量も足りないですね。追加で1800mlと720mlを買いました。一応言っておくと、結構、酸っぱいっすよ。





── 2日目。



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 実はこの間に酒屋と少しメールのやり取りをしたんだけど、担当者曰く「26BYは入荷当時、酢酸イソアミル独特のセメダイン臭が強く荒っぽかったのですが、低温熟成され円みを感じる旨みに成長しました」ということらしい。ちなみにここの酒屋は0℃で管理していたそう。詳しくは訊かなかったけど、この26BYは今年に入ってから出したような記憶がある。てっきり蔵元からのオファー (「こんなのあるけど、いる?」的な) だと思ってたけど、ラベルのDATAを見るに、普通の26BY商品だから、飲み頃に育つまで店で囲ってたのかね。ちょっと遠いけど、今度店に行ってみようかな。店主もメールの担当者もすごくイイ感じの人たちだし。


hiwata_jungin_jikagumi26by8.jpg 立ち香──残りはもう1合ないけど、甘みが開いて来た今日は、確かに結構なバナセメ (バナナセメダイン) を感じる。「篠峯の麓」を離れて「澤屋まつもと茶屋」に辿り着いた。

 グイ呑みから──。

 旨いな。甘みがこぼれる・・。もはや完全なるバナナ・スイーツ。初日はブドウやピーチのニュアンスの方が強かったんだけどな。まだ冷たい。酸の出方はいくぶん暴力的 (過激に塩っぱい干物的) だが、28BYにおける媚びたジューシイ路線に比べれば、オレは断然こっちを推す。

hiwata_jungin_jikagumi26by9.jpg しかしこれ、ある意味ではまさに〝干物〟のような凝縮された硬質な旨みだな。冷酒はダメだ。15℃を超えてからがジューシネスMAX。いいですね。まだまだこの酒にはがある。1800mlを1本、720mlを2本買ったので、末永く付き合って行こう。

 この流れでオレンジ──。

 なんか明利系のニュアンスあるなあ。うん、洗練されたソツのないお米サイダー。かつてのケレン味はもうここにはないけど、これはこれでいいと思います。特筆すべき要素もない代わりに、ダメな要素にもまた出会わないという。なんとも淋しい限りだが、飯盛杜氏なりの納得はすごく感じるし──以前彼は「鍋島の酒は最初の一杯は美味しいけど、飲みつづけてると飽きるでしょ?」と言っていた──、少なくとも混沌期は脱したと思える。New Moon、買っちゃおうかな。





【補足】
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 先日「六十餘洲 純米吟醸 山田錦 ひやおろし 28BY」の記事の中で触れたけど、それでもオレは一回火入れ (生詰) の酒にとって低温による長期熟成が必ずしもベターな保管環境だとは思えない。冷たすぎると、この「日輪田」にも木香のような渋みがあり、moukan1973♀はまんまとこれに囚われてしまったようだ。同じような状態/熟成環境の酒に「篠峯 純米大吟醸 山田錦 生詰 26BY」があったが、実はこれにも似たような現象を確認しているし、オレが過去に自家熟成に失敗した「一白水成 酒未来」「蒼空 純米吟醸 山田錦」「相模灘 純米吟醸 雄町」もそれぞれ生詰の酒である。

 これらに共通するのは、ある種の〝酸の硬直化〟だ。少なくとも生酒の場合、こうした現象は確認していない。なぜか決まっていつも生詰の酒で何かが起こる。前にも書いたが、そもそも「ひやおろし」にとって冷蔵熟成という条件が課せられたのは、単なる近代的な家電革命の結果に過ぎず、そこに何かの必然はない。もともとは常温で夏を越していたのだ。

 日本酒の世界には「冷や (ひや) 」という言葉がある。よくこれを「冷酒」の意味で使う人がいるが、半分正しく、半分正しくない。厳密に言うと、「冷や (ひや) 」とは「そのままの温度」という意味になる。厄介なのは「そのまま」が「どのまま」なのか、元の状態によって異なるということだ。たとえば居酒屋のカウンターに一升瓶が室温のままドンと置いてある。我々が「オヤジ、それ冷やでくれ」と言えば、それは「常温」を意味するし、もしも冷蔵庫に入っていれば「冷酒」を意味する。

 日本酒はもともと温めて飲むのが通例だったから、それとの相対において「冷や」の本質的な意味は「温めずに」ということになるわけだ。しかしながら時代と共にデフォルトの温度帯は変わる。現在では日本酒は基本的に冷蔵管理されており、ゆえに「冷や」とは「冷蔵のまま=冷酒」となる。

 さて「ひやおろし」だ。春先に一回火入れしたものを「冷蔵庫」で管理することに本質的な意味はあるのだろうか。青臭いことを言えば、そこに「先人たちの知恵」の恩恵はあるのだろうか。中には常温で夏を越した酒を「ひやおろし」として出してる蔵元も多く、先日のマチダヤ試飲会でもそういうアプローチをしている人たちは異口同音に「これが本物のひやおろしです」と言っていた。

 多くの「ひやおろし」に共通する〝お世辞にも旨いとは思えない独特のニュアンス〟が実は低温管理にあるのではないかという仮説を29BYで実証したいと考えている。そういや「鍋島 Harvest Moon 25BY/26BY」にも〝酸の硬直化〟はあったな。ワインも8℃以下で長期保存すると酸のバランスが乱れ、赤ワインなどは明白に劣化すると言う。生酒と生詰の違いは「火入れの有無」だが、オレは「酸の性質」にあると思う。


※あくまでも私説です。「冷や」に関する説明も、独自に総括してますので、どこかに出典があるわけではありません。


moukan1972♂






日本酒 生酛 山廃 萩の鶴 日輪田

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