◤福祝 - 山田錦55 DON’T THINK.FEEL ! 28BY ── dಠಠb「つうか、そもそもぜんぜん甘くねえし (笑) 」#Dry 




fukuiwai_dont_think_feel28by3.jpg 千葉県君津市久留里の福祝 (ふくいわい) です。初呑みです。3才〜結婚するまで千葉県千葉市美浜区で育ったオレではありますが、京葉線ができてからは、住んでるエリアから南に大きく移動することはまずなかったので──チャリで千葉駅のDisk Unionにはよく行ったけど──、君津市なんか行ったこともないし、京葉線の果ての果て、くらいの認識──真の果ては館山や鴨川だけど (笑) 。富津岬は小学校か中学校の遠足で行ったかもしれないが、今も昔も地理と旅行に興味がないので、記憶はほとんどない。あれ? 行ったのは犬吠岬だったかな? 実は無駄にデカいんだよ、千葉県って。

 それでも「千葉の地酒」と聞けば心のどこかに親近感を覚えるのは事実で、この「福祝」に対しても25BYの頃から随分と横目で軽く挨拶しながら通り過ぎてきたわけだが、いよいよ飲む機会を得たのは先日のマチダヤ試飲会においてだ。ちょっと甘めに感じたけれど、カチっとした腰のある液性だったし、買ってみた。



2017マチダヤ10福祝
 ▲笑顔の絶えない外交力抜群の藤平三兄弟の三男坊・藤平淳三氏が常務取締役としてイベントや蔵の案内などを担当しているようだ。まさにこうした仕事に打ってつけの逸材で、10秒も話せば誰もが彼を気に入るという天性の人たらしだ (笑) 。



 毎年レシピを変えながら仕込む「DON’T THINK.FEEL !」は「チャレンジ酒」的な意味合いも強いと言う。去年は知らないが、28BYは全量山田錦の磨き55の熟成生原酒で、この時期の限定品。「山田錦55」以外のスペックは非公開なので、考えずに感じてくれということなのだが、オレのように感じてから考える人間にとっては〝その先〟が知りたいんだけどな。


 それにしても、どうして蔵元って「スペック非公開」という仕掛けに〝ある種の尊さ〟を見い出すのだろう。「先入観を排除したい」という言葉の意味は理解できるけど、もしも日本酒度+10の酒を飲んで内心では「甘みを感じる」と思っていても数値が+10だから「だけどこれは辛口なんだ、オレの味覚がオカシイんだ」とか味覚を数値に近づけるバカは放っておいていいと思うけどな。我々のようなマニアはむしろ逆だろ。数値や属性を知った上で、事前の予想を裏切られたり、自分の先入観や浅薄や無粋が木っ端微塵に打ち砕かれることに快感を覚えるというのに。

 どちらの蔵元さんも、あまりエンドユーザーを甘く見ない方がいいぜ? そういうのを余計な忖度って言うんだと思うよ。あと、我々は常に他との比較相対の中でしか貴方の酒を飲まないから、何をどう工夫しても、よほどの天才酒 (or 奇人酒) を造らない限り、最終的には他の何かの酒と関連付けられる宿命にある。ゆえに諸々を隠す意味はない──結局は個人の恣意 (思い込み・独善性) によって表面的には身包みを剥がされる。

「先入観」というのは、哲学的に言えば「決して逃れることのできない個人の宇宙観」のことを指すので、そもそもそれを飲んで「旨い・不味い」と言うことだって、それまでに各人が辿って来た味覚体験や人生経験に左右される──つまり、どこまで行っても「先入観」や「恣意」は消滅しないというわけだ。ゆえに諸々を隠す意味はない。どんなことでも最終的には何かに関連付けられ、意味を有するに至る。ただ一つ、飲んだそばから瞬間的に味の記憶を忘れていく極めて稀なケースを除いて──そうなるとまた〝感じる〟ことすらおぼつかなくなるわけだが。


 感情 (感覚) とは論理を得る前段階の原始的カオス (官能、驚き、恐怖、etc) であって、いずれは何かの客観へと次元転換される。矢沢永吉も長嶋茂雄も表面的には〝感性の人〟だが、彼らの中には彼らなりの厳密なロジックがある。だからこそ仕事上は、他人に対してあんなにもいちいち指示や指摘が細かい。ロジックがなければ相手のミスは指摘できない。オレに言わせれば、彼らは〝極めてロジカルな人たち〟である。

 だいたい二人とも、トークそのものは普通に理屈っぽいじゃん。本当に〝感性の人〟なら「いわゆる」なんて言葉、まず使わねえから (笑) 。矢沢永吉にしても、彼は必ず全てに理由を付ける──「だって、ヤザワ、天才だから」──まさに一点の曇りもない明快なロジック。




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 ▲三幸製菓『ミニサラダ しお味』は☆4.5。前より旨くなった。「しっかり塩味」と、わざわざそこで〝しっかり〟と念を押すのが三幸マナー。それでも前より塩味が穏やかになったのは単なるロット誤差か。このサイズ感と軽さは罪。近所の薬局で100円。そこそこレア。


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 bottle size:720ml




SAKE GRADE:☆☆☆☆½

【457】福祝 -ふくいわい- DON’T THINK.FEEL ! 28BY <千葉>

藤平酒造 合資会社:http://www.fukuiwai.jp


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fukuiwai_dont_think_feel28by4.jpg  立ち香──ウホっ、これはハッキリ熟してますね (笑) 。ただしレベルとしては穏やか。果実換算だとブドウ系かね。先日の「日高見」よりも酸を全面に感じる。液面を動かすと少し赤い果実が現れ、途端に露骨な熟香もなぜか消える。これ、去年の「仙禽 赤とんぼ 生酛 亀ノ尾」でも似たような現象あったな。おそらくは7号系酵母だろうなあ──もしくはブレンドか。ここまでは良さげ。

 同日中に自然酒を経由してます──。

 問題なく旨い。つうか、そもそもぜんぜん甘くねえし (笑) 。ガスは優しいアクセント程度。完全に好き系ですね。結構クリスタルよ。味も香りも薄着な纏いで、鍛え上げられたシャープ&ソリッドな細マッチョの液性がシャキっと走り抜けるストーリー。ドライっちゃドライだけど、ハードボイルドでも単調でもなく、むしろセクシーかつダンディー。モダンで知的な米サイダー。酒における骨格と肉付きの関係はマグロの中落ちにおけるそれらとパラレル──わかる (笑) ?

 せっかくなので一緒に呑みますか──。


fukuiwai_dont_think_feel28by5.jpg そして、この並びですら「自然酒」は別に過度に甘くも重くもない。ただ、熟味はそこそこ感じるかな。表面的レベルだけど軽くショコラ。そしてやはり、生酛と速醸との明白な違いはある。信じられないだろうけど、同時に呑むと「自然酒」の方が旨みの立体感が軽やかで口どけがエアリー。「福祝」は味や香りこそドライな出力ながら、舌にドスンとのしかかる質量感はやや高圧的。

 そうね。「福祝」は「巖 authentic701」や「鏡野 純米 無濾過生原酒」に含まれる、我々にとって邪魔で余計で過剰な要素をすべて濾過して削ぎ落としたような酒ですね。逆に言えば「巖」や「鏡野」のようなケレン味に溢れた味の大見得に取り憑かれてる飲み手にとっては諸々が足りてないと感じられるかもしれない──だから逆に濃い口の飲み手が物足りないと感じる酒をオレに薦めればいいんだよ (笑) 。そしてこの「福祝」を通じて「巖」そのものへの理解をあろうことかオレ自身が更に深めるという皮肉もまた、実人生においては頻繁に起き得る予期せぬハイライトの一つ。「巖」は追わないが「福祝」は少し追ってもいいと思える。moukan1973♀も間違いなく好きだろうよ。

fukuiwai_dont_think_feel28by6.jpg そこそこ軋みのあるミネラルを感じるけど、それらの隙間から漏れ出る、程良く粘性を帯びた旨みの球体に寄り添う甘みの輝きはキュート──熟成由来の属性はここか。真実はどうであれ、極めて7号酵母的なテカリとヌメリとセメダイン上等の口上。☆4.5は付けたい。

 自然酒との組み合わせは楽しい。不思議なもんで「福祝」の後に「自然酒」を飲むと熟味を派手に感じつつも、硬水属性やミネラルはそこまで感じない。そして「福祝」に戻るとますますシャープな辛口に感じ、ドスンと力強いミネラルを感じる。





 1973チャレンジ!!!
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 ♡☺♡「んあ? なんか香りの感じは自然酒と似てない? パターンが。甘みも感じるけどドライ感もある」──「いいわ。ゆっていい? 自然酒より旨い。なんかに似てるな。もしかして昇龍蓬莱なんかに似てる? 合ってる? ねえ、合ってる!? 合ってるでしょ!! ちゃんと書いといて!! 旨い! ドライでいいね。結構このパターン好きなのよ。巖? ないない、こっちの方が遥かに旨いよ (笑) !

 28BYの「昇龍蓬莱」は知らないが、杜氏が変わる以前のタッチは確かにある。ただし、この「福祝」は「酉与右衛門」「多賀治」「賀茂金秀」「昇龍蓬莱」に比べて、さらにスマートにソリッド。「辛口」というよりは「甘さ控えめ」という表現の方がしっくり来る。ALC.度数は17以上と高めだが、なぜかそこまで重くもない。





── 2日目。

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 自然酒 (4日目) ──ちょっと熟味が開いて来ちゃったかなあ。つうかオレ、たぶんだけど若干〝風邪気味〟なので、あまり参考にはならんかも (笑) 。

 福祝 (2日目) ──しかしこれ、どこが甘いんだ!? 試飲した時の印象と全然違うなあ (笑) 。一升瓶の残り少ない温度の高い状態だったんだろうね。それしか論理的に説明できない。あ、でも昨日よりは遙かに甘い。温度が上がってくると確かにしっかりと甘みを感じる。しかも蜜というよりはシュガーな甘さ。そして寒天ゼリーの表面にまぶされてるガリガリの砂糖みたいな苦みとコンビネーション。そこそこワイルドで暴力的なミネラリティ。結構ドスンと粉っぽい。それでも余計と過剰がないからスムースに呑める。



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 しかしオレとは異なる時空で呑んだmoukan1973♀の評判はすこぶるいい。♡☺♡「カジュアル酒。クイクイ飲める。なぜかあまり酔わない。女子受け抜群」──自分を基準に〝女子〟言うな (笑) 。

 ちょっと意表を突かれてしまったというか、何の気なしに開けてしまったので、これはこれだけでちゃんと飲みたいな。まだ売ってるんだろうか。720mlがあれば再購入してもいいな。☆4.5でフィニッシュしておきます。少なくとも今月呑んだ28BYの中で最もオレの嗜好にジャストフィットする。酸は足りてるどころか溢れてる。それでも「黒澤」ほどの天才性はない。あくまでも我が家における上質カジュアル酒という位置付け。


moukan1972♂






日本酒 福祝

Comment

Name - moukan1972♂  

Title - To 治五郎さん



毎度です。


──"鏡山"の「生酛無垢」は五味も有りつつ、立体感があって良かったです。冷やした状態でワイングラスで飲むと柑橘系の酸が程よく主張してくれました。

鏡山は26BYで「純米 雄町」と「純米 吟吹雪」の生酒を飲んで──両方とも速醸です──、やや人懐こいかなという印象でそれ以来買ってませんが、いろいろと趣向を凝らしたレシピで面白い酒も造ってるんですよね。確かに生酛は旨そうです。


──以前お伝えした克正 雄町の生酛ですが、あろう事か27BYではなく26BYでした。味の情報量と厚みがあるのにクリアで凄かったですが、温度が難しかったです。冷えすぎだと酸は素晴らしいのですが甘味が少し隠れてしまい、高すぎると熟感が(ほんの少しですが)現れる。

味の情報量と厚みがあるのにクリア」──これでしょうね、高垣マジックは。速醸なら27BYがまだ買えるんですよね。27BYの山廃雄町は最高でしたね。28BYも違った方向性 (若々しいモダニティ) で頑張ってると思いますが、いかんせん、飲み頃はまだ先です。しかし26BYだったとは凄いですね。


──記事と全く関係ない話をしてすみません!

まあ、ブログの筆者が率先して取り上げた酒とは全く関係のない話ばかりしてますからね (笑) 。気にしない下さい。記事は何かの契機に過ぎないですよ。


2017.10.26 Thu 00:03
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Name - 治五郎  

Title - 鏡"山"

いつも楽しませて頂いております。
最近何かと比較されがちな巖さんと鏡野ですが、この間、抱き合わせで購入した"鏡山"の「生酛無垢」は五味も有りつつ、立体感があって良かったです。冷やした状態でワイングラスで飲むと柑橘系の酸が程よく主張してくれました。
因みにその時メインで購入したのが、店の記載に「生酛」の文字があった上喜元の恋おまちだったのですが、甘味が重くて酸も足りない、何より(うまく言えませんが)二次元的にベタッとした感じがしたので、改めて調べてみるとしっかり速醸だったという。
最後に、以前お伝えした克正 雄町の生酛ですが、あろう事か27BYではなく26BYでした。
味の情報量と厚みがあるのにクリアで凄かったですが、温度が難しかったです。
冷えすぎだと酸は素晴らしいのですが甘味が少し隠れてしまい、高すぎると熟感が(ほんの少しですが)現れる。
常温近くが丁度バランスが良かったかな。呑み疲れしない良酒でした。
記事と全く関係ない話をしてすみません!
2017.10.25 Wed 21:00
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