もう肝臓の無駄使いはしたくない夫婦の日本酒備忘録

 低アル志向の「菊鷹」は一定の成果を上げているだけに、山本杜氏の移籍は痛い・・・。
〜 平日は日本酒、週末はシャン、毎日「本日の1曲♪」、合間にお菓子 (主に安煎餅) &女優評、超時々メガネ警察〜

◤Egly-Ouriet / エグリ・ウーリエ グラン・クリュ トラディション ブリュット NV 




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 土曜の昼間に飲んだスペインのヒシャアワ (非シャンパーニュの泡) が衝撃的な不味さで、今も何かの拍子にフラッシュバックして舌に鮮明な味覚が宿って困ってますが、こういうとき、バカ舌能力者というのは大変に羨ましく、moukan1973♀などは「体験」そのものの記憶──♡☺♡「あれヒドかったねえ」──だけが残り、味や香りそのものはすでに遠い過去に捨ててきたようで、少なくともオレと同様のフラッシュバックはない御様子。

 ちなみにオレは小規模のフラッシュバックはすでに7〜8回、決定的なフラッシュバックは3回もあり──スーパーの肉売り場の冷蔵ショーケースから漂う冷気の香りに触れた際、夕食のアテに食べたスナックに含まれる和風出汁パウダー (昆布や鰹節のフレイヴァー) から微かなアンモニア臭の幻影にコネクトしてしまった際、風呂上がりにタオルウォーマーで乾燥させていたタオルから蒸発した生乾き臭が流れて来た際──、しばらくは──下手すりゃ死ぬまで何度も苦しめられるのだろう。しかしながら子供の頃に外食嫌いの父親が唯一よく連れて行ってくれた今はなき小さなレストラン (@JR総武線「新検見川」) のお子様ランチのハンバーグとミートソースとチキンライスと手作りプリンの味もまた鮮明に覚えているので、味覚に関するしつこい記憶力が必ず何かの不幸や悲劇だけを運んで来るわけではない。





 ▲マスコミ嫌いで有名なフランシス・エグリは、オレとは異なり、決して余計な無駄口を叩かない寡黙な男らしいが、内に秘めた青白い情熱からはRM界の求道者然とした静かな才気が漲る。言葉巧みなレトリシアンであるマケイル・エドワーズをして「言葉ではなくワインで語ることを好むので、この自家栽培醸造家 (RM=レコルタン・マニピュラン) の最新の生き生きとした横顔を描くのは骨が折れる」と言わしめた。






 photo: シャンパーニュ専門店 マチュザレム


 というわけDE、旧クラスマン (現『Les Meilleurs Vins de France (レ・メイユール・ヴァン・ド・フランス) 』) という権威あるフランスのワインガイドブックで、2008年に最高ランクの三ツ星をRMとして初めて獲得したエグリ・ウーリエです。約5200社が存在するシャンパーニュの全生産者の中で、この栄誉ある三ツ星を与えられたのは僅か9社 (クリュッグ、ボランジェ、サロン、エグリ・ウーリエ、ジャック・セロス、ジャクソン、ルイ・ロデレール、ポル・ロジェ、アグラパール) で、エグリ・ウーリエはRMとしては初、全体の中でもRMの三ツ星生産者はエグリ・ウーリエとジャック・セロスとアグラパールだけ。

 エグリ・ウーリエと言えば「ブラン・ド・ノワール "レ・クレイエール" グラン・クリュ NV」が看板商品ではあるものの、最安値のフィッチでも税込14,850 円もするので、これはいずれ何かの機会にウメムラの社長セット5万コースでリクエストして平均単価を下げて購入するとしよう (笑) 。



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 ▲今回のロットは最新版だろうか。Dégorgementは2016年の7月。スレンレスやホーロータンクでの発酵の他に、毎年新樽 (目の細かい特注品を使用するので新品でも樽香は少ない) を追加しつつ6〜7年を使い回すスタイルでの樽発酵/樽熟も行い、瓶詰め後はカーヴで48ヶ月熟成。



 今回のNVはアンボネイ、ヴェルズネイ、ブジー (ALLグラン・クリュ) のピノ・ノワールとシャルドネをアッサンブラージュしたエントリークラスの混醸タイプで──楽天最安値6,469円!──、セパージュは75%PN、25%Cという、このエリアのピノ主導のスタンダード・キュヴェとしては、ある種の黄金比のようなバランス。完熟したブドウを使うので、毎回ドサージュは5g/1L以下で済むようだ。

 オレがいちいち説明するまでもない、日本酒で言えば「而今」のような存在のメゾンなので──「ジャック・セロス」を「十四代」に喩えるなら──、タブレット&スマホ閲覧者で更なる情報を得たい人は、どうぞこちらのPDFをご覧下さい。





◤Egly-Ouriet / エグリ・ウーリエ グラン・クリュ トラディション ブリュット NV

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 立ち香──濃い果実味。ピノらしいクリーミイさもありつつ、酸のトーンは明るい。「オレはここにいる!」という樽香のやかましい自己主張はなく、全体には静謐なタンニンを内に秘めた落ち着きがある。ピノ・ノワールの放つ芳香はチャーミングというよりは壮麗。

 とりあえずネコションは回避──のはず。

 ♡☺♡「旨い・・・。爽やかフルーティネス、キタ━━゚+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚━━ ッ !!!。あのう、結構アッサリ&スッキリしてる。美味しい



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 明瞭かつ濃い (笑) 。果実の皮の裏にへばりついた味の濃い部分の果肉を煮詰めたような力強い凝縮感。ただし液性そのものは決して重くはなく、むしろスマートにソリッドで、生々しくも素っ気ないスッピンな果実味のテクスチャーは、建造物で言うとコンクリート打ちっぱなし、生地で言うと少し目の細かいキャンバス地のようではあるが、押し寄せる複雑な余韻がそれらの単純さを打ち消す。

 決して安くはない値段をこのNVに支払う価値があるかはさておき、力強いテロワール、特別のブレンド魔術を通過しない素のままの畑の成果を知ることにおいては、どこまでも実際的で透明なキュヴェではあるのだろう──それでもこのNVはある種の「ベスト盤」であり、さらなる透明度を得るには、もう二段階ほど財布の紐を緩める必要がある。



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 25%のシャルドネがピノの剛速球を酸のミットで受け止める際に吹き荒れる余韻の中には、温度が上がると焙煎されたコーヒー豆のような苦みもあるが、あくまでも液性は透明のままだ。まあ、個人的には「アンリオ ブラン・ド・ブラン NV 」の方にコスパの良さと表現における引き締まったケレン味を感じてしまうのだが、当代きっての人気レコルタンのストレートな意気込みを感じるには、この6,469円という価格は、アンボネイ村への旅行代金としては決して高くはないだろう。

 ♡☺♡「ベリーが効いてて果実たっぷりで美味しい。マニアックさは感じる

 言うなら、押し付けがましさが一切ない静かな世界における壮大な信念に溢れた1本。これまでに飲んだRM系のピノ主導のNVの全てがあるとも言えるが、そういう意味ではもはや生産者 (表現者) としての存在もまた透明。つまり彼は「ワインの求道者」というよりは「テロワールへの奉仕者」である──自分を消してその身の全てをブドウに捧げことができるという意味で。そして「求道者」という言葉すら彼には俗っぽい何かとして聞こえているに違いない。だから自分をそう表現する相手に対しては喋らないし笑わない。相手が熱っぽく自分のワインを絶賛しているその空で、彼は静かに近日中に摘むべき葡萄の房について考えている。


moukan1972♂moukan1973






Egly_Ouriet

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