◤Drappier / ドラピエ カルト・ブランシュ ブリュット NV 




10_18_Drappier4382.jpg




 毎度アクセスありがとうございます。


 サンジュリアンさん邸にお呼ばれした際にもご馳走になったドラピエです。シャンパーニュ地方の最南に位置するコート・デ・バル地区のウルヴィル村を拠点に1808年からシャンパーニュ造りを始めた家族経営の老舗メゾンで、所有する地下セラーは、かつてシルタシアン派の僧侶達によってぬわんと1152年に築かれたという世界最古のモノ。

 実は1930年にこの地に初めてピノ・ノワール植えたのがドラピエで、それゆえに〝パパ・ピノ (ピノ・ノワールの父) 〟とリスペクトされている。1989年からは一切の農薬を使用しない有機栽培を開始しており、自然派シャンパーニュとして語られることも多い。

 蔵の顔とも言えるべきスタンダードNVにはオレンジラベルの「カルト・ドール」とホワイトラベルの「カルト・ブランシュ」があって、実は後者のキュヴェは現在出回っているロットで終売。ピノ・ムニエの栽培を段階的に減らして来た経緯を受けて、ムニエのセパージュ比の高い「カルト・ブランシュ (75%PN、15%PM、10%C) 」に代わって、今後はピノ・ノワール主体の「カルト・ドール」に力を入れていくというのがその理由のようだ。もちろんピノ・ノワール100%の人気キュヴェ「ブリュット・ナチュール (ドサージュZERO) 」も今後は本数が増えて行くんでしょう。ちなみについ最近「カルト・ドール」の1979年が蔵出しされて周辺がザワついている──の、飲んでみたい・・・。




 photo: シャンパーニュ専門店 マチュザレム



▶︎当主ミッシェル・ドラピエ氏からのコメント。

 ドラピエの地、コート・デ・バル、特に「ウルヴィル村」は優れたピノ・ノワールの産地であり、ウルヴィル村の個性はピノ・ノワールで最大限表現できる地なのです。

 ピノ・ムニエは味わいにフレッシュさを与える為に少しだけ必要だと考えています。より「ドラピエ」の個性を際立たせる為、30年間、ピノ・ムニエからピノ・ノワールへ植え替えを進めてきました。植え替えも完了し、樹齢も高まったことからピノ・ムニエの比率が高い「カルト・ブランシュ」の生産を終了することにしました。

 フラッグシップである「カルト・ドール」の品質を更に高めていくことを決断したのです。年によって違いますが、「カルト・ブランシュ」は15~20%のピノ・ムニエが使われていました。よりフレッシュで軽やかなシャンパーニュでした。「カルト・ドール」ではピノ・ムニエは5%のみ。約90%がピノ・ノワール、残り5%がシャルドネです。

 ドラピエらしい旨みと心地よい余韻が両立されています。より強く「ウルヴィル村」の個性を感じてもらえると思います。

(出典:愛・酒・人 武蔵屋 SAKEDORI支店)




 というわけDE、楽天なんかだと3,000円台で買える店もあるので、美味しければ薦めたいところだけど、さてどうかな──今日は珍しく先に前説を書いてます。

 ちなみに「コート・デ・バル地区」にグラン・クリュ (買取価格100%) とプルミエ・クリュ (買取価格90-99%) などの格付け村は存在しないけど、ブドウの質が悪いとか、別にそういうわけではなく、マイケル・エドワーズも「コート・デ・バルの最上の葡萄畑が一律に最低限度に近い80%の評価しかなされていないのは偏見のなせるわざとしか考えられない」と著書『シャンパン』の中で吠えてます。





◤Drappier / ドラピエ カルト・ブランシュ ブリュット NV

Tag Link



10_18_Drappier4404.jpg
 ▲珍しくmoukan1973♀が平日に早く上がれたので、ヘイシャン (平日シャン) です。



 立ち香──ピノ主導の明るいフルーティネスにバターたっぷりのブリオッシュ。しかしながら果実味の輪郭は力強いので、愛らしさや可憐さのあるピノ表現ではない。特に問題はなさそうだ。

 彼女は前日から舞い上がり気味ではあった──。

 ♡☺♡「これいいわ。なかなか良い。重厚感もありつつ、イヤらしくない美味しさ。『穏やかな気持ちになる』って書いといて。ブラン・ド・ブランみたいに〝酸が全面に〟というのとも違うじゃん? これはこれでゆったり飲める。今日の酒は (日本酒もシャンも) 両方アタリ!



10_18_Drappier4406.jpg


 軽やかリッチ。名門メゾンらしいゴージャスさやブレンド魔術で魅せるのではなく、あくまでも「うちの畑のブドウ、うめえべ?」で押し切る潔さと清々しさ。ピノ主導の赤いカラーをしっかり感じながら、熟した果実の渋み、苦み、焦げた甘み、力強くもタイトでスリムなミネラル、これらの芳しい一体感。なんというか、まるで老舗和菓子屋の店先で売られている定番のドラヤキを食べてるような堅実な安心感に包まれる。冷たい温度ではダメだ。今のこの気温なら、開栓後にボトルを冷やす必要はない。10〜14℃くらいが飲み頃。

 ボランジェのような優雅で豊満リッチなストラクチャーではなく、カッチリした見晴らしいの良い男性的な骨格。果実そのものが発散する健康的なエネルギーに満ちた酸こそ自然派としての矜持か。

 ♡☺♡「これ気に入ったわ〜。もう買えないの? 淋しい

 まあでも、いかにも名門のNV然とした堅実さだけで押し切られる退屈さはある──前向きに捉えれば、酒そのものの主張を透明な存在に落とし込んで、美しい時間だけをそっと差し出すような静かなる威厳とでも言おうか。欠点のないところが欠点というか、ある種の歪さから漏れ出るアンバランスなチャーミングさ、ここにアクセスできないという淋しさはあるにはあるが、終売プライスでこの安心感は素晴らしい。荘厳かつ壮麗な歴史的建造物のようなボランジェやルイ・ロデレール式のNVアプローチではなく、アンリオやフィリポナなんかと同様、どちらかと言えばテロワールを意識させるRM系の味わいはオレ好みの組ではある。



10_18_Drappier4419.jpg



 さて、どうだろう。やはりオレはこれを最初のシャンパーニュ体験にとって最適な一番バッターだとは考えない。これはこれで素晴らしいキュヴェだとは思うけれど、逆にイマドキのRMアプローチのどこが尖っているかを知るための指針として有意義なワインであって、今この瞬間にここから始めるモチベーションは特にないように思われる。

 それでもどこかのタイミングで王道のピノ表現を確認する意味でも、定期的にテイスティングすることにやぶさかではない。やはりモダンなピノ表現を体験するならベレッシュであり、さらにマニアックな方向だとピエール・ジェルベだ。ただし、何度も言うが、初心者の誰もが飲んで美味しいと思えるのはベルナール・ブレモンではあるだろう。そしてオレは老舗のNVならフィリポナがやはり好きなのであった。


moukan1972♂moukan1973






Drappier コート・デ・バール シャンパン シャンパーニュ Champagne

Comment

Add your comment