◤本日のREMIX講座♪【BALLAD HOUSE篇】Janet Jackson - Any Time, Any Place (D&D House Mix) 1993 

genre tag:VOCAL HOUSE, DEEP HOUSE, DOWN TEMPO/R&B HOUSE
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▪︎Janet Jacksonと言えば、残念ながらこの曲のこのヴァージョンでトドメを刺すことに疑いの余地は1%もない。このHouseリミックスでは、オレの知る限りでおそらく〝世界初〟の手法が取られていて、そこがわかると面白いわけだが、簡単に言うと──ここ大事!──、曲のテンポはAlbum Verisonの方が遅いのに、メロディーそのものの進む速度はHouse Versionの方が遅い。いわゆるBPM (beat per minutes=1分間に何回ビートを刻むか=テンポ) においてはAlbum Verison (BPM65前後) の方が遅く、House Version (BPM122前後) の方が速いのに──にもかかわらず!──、メロディーそのものの進む速度はHouseの方が遅いという逆転現象がここでは起きている。

▪︎どうしてこうなったかと言うと、単純に原曲のスピードをHouseのBPMに合わせると超早口になってしまい、曲として成立しなくなるから。そこで逆にメロディーのテンポは基本的には据え置きにして──厳密には少し遅くして──、Album Verisonで1小節分に相当するフレーズをHouse Versionでは2小節を割いて配置する──本来であれば、同じ1小節内にテンポを速めて同じフレーズを配置する。すると、曲のテンポそのものは凡そ倍になるのに (BPM65前後→BPM122前後) 、メロディーの進みはむしろSlowになるという逆転が起きる。1小節内に収まっていたフレーズを倍の2小節を割いて進めると、独特の浮遊感が生じる。そしてここに世にも珍しい〝バラード・ハウス〟が誕生したと、そういうわけだ。一般的にR&B系のBPMの曲をHouseにリミックスするとテンポと共にメロディー (歌い回し) も早口になるわけだが、ここでは逆に喋り (歌い回し) がSlowになっているというわけだ。

▪︎こうした技術を支えたのが1990年代的なレコーディング・システムで、1993年というのは、そこに大きな飛躍のあった年。1992年のコンピューター・スペックでは少し難しいし、当然、1990年だの1989年では発想として誰もそんなことをやろうとは思わなかった。この逆転かつ自由な発想と美しい音楽的意匠を散りばめた天才の名をDarryl James & David Anthonyという。「Spring - No Time (For Crying) 」という名曲をこの世に産み落としたJohn Robinson (ジュリアナのトキオ親父ではない) と並び、初期90sのNYクリエイターの中でオレが冷静ではいられない連中だ。

▪︎しかし残念ながら、彼らがこの大きな仕事を完璧に成し遂げた後、急速に大手レコード会社はHouse Musicへの投資を手控えるようになり、この方向性が推し進められることはなかったが、Darryl Jamesは、かの「Jocelyn Brown ‎– Somebody Else's Guy (1984) 」のプロデューサーとしても有名なFred McFarlaneと共に2002年にFall Out Recordsを立ち上げ、数々の良作と、幾つかの傑作を生み出した。明日からはこの流れで話を少し広げていく。












 ▶︎D&D House Mix──大手資本で完璧な仕事を成し遂げた。
 

 ▶︎Album Verison──メロディーの進みはこちらの方が速い。
 

 ▶︎Janet Jackson
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