◤長陽福娘 - 限定直汲み 純米吟醸 山田錦 無濾過生原酒 山口9E酵母 27BY 3本目!── dಠಠb「残念ながらアナタの知っている『長陽福娘』は何人かいる姉妹のうちの一人に過ぎない」#Sweet/Well-Cured 




 同じ酒が3本目なので、前説は省略します。木曜に客人が来たので、ここぞとばかりに開けたら信じられないくらい旨かったという話です。



【298】長陽福娘 限定直汲み 純米吟醸 無濾過生原酒 山口9E酵母 27BY 1本目 (約11ヶ月熟成)
 http://moukan1972.blog.fc2.com/blog-entry-713.html

【391】長陽福娘 限定直汲み 純米吟醸 無濾過生原酒 山口9E酵母 27BY 2本目 (約1年3ヶ月熟成)
 http://moukan1972.blog.fc2.com/blog-entry-1008.html





 そして今宵開栓、1年6ヶ月熟成!!!
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 bottle size:720ml




SAKE GRADE:☆☆☆☆☆☆

【440】長陽福娘 -ちょうようふくむすめ- 限定直汲み 純米吟醸 山田錦50 無濾過生原酒 山口9E酵母 27BY <山口>

岩崎酒造 株式会社:http://www.fukumusume.jp


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 ▲当日は客人を迎えて左の酒から順番に呑みました。moukan1973♀は22時半過ぎに合流。









 まずは我々の感覚が閉じたモノなのかを確認するために客人に「古伊万里 前 monochrome+」を毒味させる。「人工的な香りですね (笑) 」と客人。720mlでまさかの4日目なので──こんなもん旨ければ1日でなくなるので──、残り1合強のコンディションに高い理想は求めないものの、やはりこれはダメ。これ単体で呑むとそこそこノイジーなんだけど、一周して戻ると実は薄くてペラい酒。ただの香りの付いた水のよう。米の旨みはあるけど、全体としてそこを活かす設計には思えない。とにかく香りが安っぽくて人工的。




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篠峯」は概ね好評。とにかく滑らかで透明。たまたま「雄町50」という属性が被ったけど、全く似てる要素のない酒。唯一似てるのは値段だけ。ところが、この後に「monochrome+」を呑むと水みたいに感じるから不思議。そう意味では「篠峯」には透明な中にも堅牢な骨格はあるということなんだね。

菊鷹」は今日もイイ感じ。ただし、完全に「分かりやすく酸っぱい酒」です。それ相当に透明度の高い「篠峯」の後でも「山廃」らしいペターンとした旨みの立体構造は歴然とあって、なんだかんだで、今の状態はそこそこクリスタル。そして目の覚めるようなビビッドな果実感。



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 ▲この時すでにオヤジ約2名はそこそこ飲み散らかしてましたが。



 信じられないくらい旨い。「monochrome+」は完全に吹き飛ばされたので──無意味の井戸に落ちたので──、もうどうでもいい。全てを許す。熟成状態から言うと一番〝進んでるはず〟なんだけど、実は一番露骨に米の旨みに琥珀カラーがあったのは1本目。2本目はドライかつ力強い凝縮感の中から濃醇な甘酸のコアが溢れる流れ。そしてこの3本目が最もフェミニンなルック。甘く柔らかなイントローグから凝縮した先には極上の果実味があって、この3本目にして初めてブドウを感じた。

 ここで一つ仮説を──この3本は時期こそ違えど、すべて同じ店で買ってるので、それほど管理環境に差があったわけじゃない。それでも単純な時間軸に比した変化には思えない何かがある。そうかと言って「どれが一番熟成の進みが早いか/遅いか」で片付く話でもない。米の旨みのカラー (わかりやすい熟味) に関しては1本目が、タイトなまとまり具合なら2本目が、柔らかいフェミニンな甘やかさなら3本目が、それぞれ最年長的な属性を兼ね備えてると思える。つまり、それぞれがそれぞれの熟成ヒストリーを辿って、結果、単純な時間経過による関数だけでこの三様の姿を説明することはできないということだ。たとえ同じ店の同じ酒であっても、一つ一つの瓶の中に閉じ込められた酵母が全く同じ働きをするわけではないし、直汲みである以上、当然にして瓶単位の誤差は生じやすい。

 そして、この3本の中でオレが一番旨いと思うのが今回の3本目だ。これは少なくともオレの中では迷いなく間違いない。とにかく味わい深いくせにやたらと軽やかで最高の口どけ。ガスは僅かなアクセントとして残っていて、やや豊満に流れる甘みにシャキっとした輪郭を与えている。露骨な酸はなく、あくまでも美しい甘みに寄り添う上質かつ黒子的な酸。時間と共に得意のバニラ香と粉雪ライクなミネラル感が舞い、モカ・フレイヴァーに寄せて、ブドウからチョコバナナの表情に変化する。

 まさにワールドクラスの極上の1本☆6です。客人も合流したmoukan1973♀も大絶賛。本当に旨い酒は嗜好を超える。まさに問答無用の旨さ。手元にあるほとんどの酒がショボくなるので、迂闊に手を出すと後が怖いよ。

 すでに残りは1合を切ってるが、嬉しい事に2日目もある





── 2日目。

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 ▲安室奈美恵に関する個人的な想ひ出がまるでない・・・。



 立ち香──ようやくバニラ&モカが本格上陸。フルーティーな「長陽福娘」しか知らないアナタを「不幸」とまでは言わないが、少なくとも「最大の幸福」に到達していないことだけは確か。まあ仕方ない。酒屋や居酒屋に入ったばかりの新入荷商品をマメに拾って早飲みするしかないという不幸に過ぎる家庭の事情もきっとあることだろう。「時間」とは現代人にとって常に「裕福」に関する高貴なメタファーなのだから。

fukumusume_9e27by3_6.jpg もはや「ふざけんなよ」というくらい旨い☆6ですね。一連の☆5の娘軍団とは別格の完成度。まるで液体プリン。エレガントなカラメル・フレイヴァーのコアには極小かつ濃密な果実味。これぞワールドクラス。昨日よりも明白に熟味を感じるローストされたカカオ・フレイヴァー。ただし穀物的な雑味がないから決して麦チョコにはならない。残念ながら「山田錦60」ではこの大役を務め上げることはできない。

 これは文句なしに旨い。アナタの知ってる「長陽福娘」は何人かいる姉妹のうちの一人に過ぎない。なんかこれ、異様に軽やかで滑らか。こんなん飲んだら誰だって他のほとんどの酒がクソになるわ。ウソじゃねえぜ? うちにはまだもう1本あるんだよ。これは下手に「而今」や「十四代」を冷蔵庫に保有してるより綾瀬はるかに誇らしいな (笑) 。


fukumusume_9e27by3_9.jpg ワイングラスの方がミネラルの芯を捕まえやすくなる。逆にグイ呑みの方がツルピカなくらい。酸の活躍はどうだろう。素人相手に親切に説明しておくと、いわゆるフルーティネスの発露としての酸はさほど重要じゃない──つまり、決して鷹揚に「甘酸っぱさ」を楽しむ酒ではない。どちらかと言えば「甘さ」を「控えめ」に感じさせる効能を持つ「酸」だ。プリンのカラメルソース、これの「甘さ控えめ」を想像するといい。

 素晴らしく優雅な余韻。めくるめく甘美な味物語。「甘い酒が大好き」というアナタもさすがにこうした甘さの感動は未だ知らないであろう。古酒としては若々しいが、直汲み生としては老齢ではある。ただし、この輝きとのアンビバレンツが古酒の領域への進入を寸前で拒んでいるようだ。どこまでも滑らかな甘みの球体。

 たった一日で一気に熟女に変貌したように熟味と熟香が折り重なるダイジェストな時間旅行。今この瞬間にこの27BYを客に差し出せる飲食店があるのなら、是非オレに教えてくれ。それこそ「而今」や「十四代」などのどうでもいい熟成酒をドヤ顔で用意してる素人臭い店なんかに興味はない。





【439】篠峯 純米大吟醸 雄町 一火原酒 26BY 2本目!<奈良>
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 立ち香──やっぱ酸、出てるなあ (笑) 。

 旨いですやん。こちらは目の覚めるような太めの輪郭線。火入れとはいえ、こっちの方が1年も長く熟成しているとは驚き。ラベルの印字を伏せれば、誰もがこちらを若い酒だと思うだろう。ただ、余韻の中でワンテンポ遅れてフワっと濃いめの琥珀カラーな米の旨みが広がるんだな。ここは明白に熟成酒としての風貌。

 味も香りもそこらの派手な純大に比べればしとやかに穏やかだけど、その存在感は唯一無二の風格に満ちあふれている。やはり退けにかけてのリキュールっぽい苦みに微かなノイズを感じるものの、☆6の「長陽福娘」を前にしてもたじろぐことは一切ない。ソリッド&エガントな大人のための味吟醸。「澤屋まつもと」は所詮ガキ。





【434】菊鷹 雌伏 山廃 純米 7号酵母 無濾過生酒 28BY <愛知>
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 立ち香──ぐんぐんフルーティー。カシス、アプリコット、ある種のジャム様の濃醇な甘み。

 残り1合を切ってるけど、ますますクリア。この3本の中では最も露骨に酸っぱい (笑) 。まあ、昨日もこの並びで感じたことだけど、イイ意味でヤンチャですね。ただ、この粗雑さはむしろこの酒にとっては魅力。27BYの熟成コンディションとはいよいよ別の酒になってきた。ハードな辛み、シャープな液性、沸き立つような力強いミネラル感、それらを包み込む荒い筆使いで描かれたフルーツの油絵。まだまだ若さのアラが目立つものの、偉大なる2本に放り込まれてもその存在感が漂白されることはない。

 残念ながら「萩の鶴」「日輪田」には辿り着けず。


moukan1972♂






日本酒 長陽福娘

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