◤Bruno Paillard / ブルーノ・パイヤール エクストラ・ブリュット プルミエール・キュヴェ NV 




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 毎度アクセスありがとうございます。


 写真写りの良いフォトジェニックな造り手──イケメンだったり、キャラ立ちの良い変わり者だったり──というのは日本酒の世界にもワインの世界にもそこそこに存在するわけだが、このブルーノ・パイヤール氏の場合は、どちらかと言うと〝テキストジェニック (ストーリージェニック) 〟なヴィニュロン (ワイン醸造家) と言えるだろう。

2017_8_26Bruno Paillard2049 モンターニュ・ド・ランス地区のブージーとヴェルズネイを拠点に1704年から続くブドウの仲買と栽培を営む一家に生まれたブルーノ氏は、1975年に家業を継ぐと、徐々に抑えきれない強い意志に突き動かされ、ついには1981年、彼が27歳の時、自身のメゾンを立ち上げるのに必要な5万フラン (15,000ユーロ=約200万円) を工面するために、コレクターズ・アイテムになっていた愛車の古いジャガーを売ったという。ランスには世界に名だたる名門ハウスたち (ヴーヴ・クリコ、クリュッグ、ルイ・ロデレール、テタンジェ、アンリオ、ランソン) が軒を連ね、それまで1世紀近く、この格式ある保守的なエリアでは新しいメゾンが1つも設立されていないことから、周囲からは「バカげている!」と言われたそうだ。

 とまあ、販売ページに書いてある代表的なイントロダクションを少しまとめただけでも、それこそ「映画」になりそうな興味深いエピソードが次々と読み手に襲いかかるわけだが、誠に残念ながらワインは〝読むもの〟でははく〝飲むもの〟である以上、ここから得られる幾ばくかの感情の揺らめきが何かの極上スパイスとして味に伝わることは、少なくともオレに限って言えば、特にないのである。



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 ▲Dégorgementは「2016.8」で、言うならこれがこのシャンパーニュの──少なくとも完成品としての最初の誕生日になる。



「何よりもキュヴェ (出来上がったワイン) そのもので伝説を作るべきである」という少し意地悪な正論を振りかざす者が100人いたとしても、おそらくそうした皮肉屋──オレも含む──の全員が、彼の以下の功績だけは手放しで讃えるはずである。

 ブルーノ・パイヤールは、すべてのボトルに消費者のためデゴルジュマンの日付を記載したシャンパーニュで最初の造り手であり、それは1983年から続けられている。







 セパージュ (ブドウ比) は「ピノ・ノワ-ル:45%、シャルドネ:33%、ピノ・ムニエ:22%」で、規定 (15ヶ月) より長い36ヶ月による瓶熟成、ドサージュ (糖類添加) は極力抑えた6g/1Lで、樽熟成させたブレンド用のリザーヴ・ワイン (秘伝のタレ) も20%ほど加えらえる。使用しているブドウの産地は明かされていないが、コート・デ・ブラン (メニル、オジェ) にも畑を持つので、使用されるシャルドネの中にはこれも含まれるはずだが、さて、その酸の歌声は如何に。
 




◤Bruno Paillard / ブルーノ・パイヤール エクストラ・ブリュット プルミエール・キュヴェ NV




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 立ち香──赤い果実もありつつ、極めて繊細に芳しくフローラル。ピノ由来のクリーミイな膨らみもありつつ、シャルドネ・パートがそれらをいさめる流れ。酸は細いが伸びやか。

 ♡☺♡「酸が割りと効いてて悪くない。でもちょっと薄いかな。なんか28BYのシノちゃんみたい (笑)

 まあ、優雅で高貴なシャパーニュだけど、さほど心は躍らないかな。「薄い」というか「軽い」な。まあ、ここではオレ自身がリピートするかどうかだけが重要なので、そこに達しないワインについては文字を重ねる労を惜しむわけだが──他人に旨い酒を薦めるという標準的なブロガー的テーマも最近のオレにとっては比較的どうでもいいわけで──、少なくとも今のこの熟成状態で何かを熱く語れるほどのキュヴェではない。



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 色はブラン・ド・ブランのようなパステルの黄金で、実際に、この瑞々しく透明感のある酸は他の幾つかのメニル産のシャルドネを想起させる。どうにもオレの嗜好にとってはメニルのシャルドネというのが一つの鬼門で、少なくとも5,000円以下で買えるNVモノの中にこのグラン・クリュの虜になるようなキュヴェはなかった。

 とはイエイ、温度が上がっても堅牢な骨格が崩れることもなく、静かだが意志の強いミネラルに丸みのあるBodyで寄り添うハチミツ的な甘み (ある意味、アグラパール的) がほどけた後にも酸がその余韻をいつまでも追いかける味わいのメロディーは優雅で気品に満ちたものだ──行き過ぎたアヴィーズ産シャルドネのようなミネラルの暴走や砂塵はない。樽のニュアンスも、決して目の前に積み上げられた樽の山に頭の中を覆い尽くされるほどではなく、あくまでもふと横を見ると小さくてキレイな樽が1つだけポツンと転がっている程度の存在感で、これがあるからどうの、ないからどうのということもないが、あったらあったで幾ばくかの高貴さが担保されるくらいにはその存在感を示してはいる。



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 それぞれの数値の張り出しは異なるものの、我が家でこれまでに飲んできた数少ないNVモノの中では、ライトで軽やかで控えめで透明な「ドゥ・スーザ ブリュット・トラディション NV」という印象かな。コート・デ・ブランのグラン・クリュ100%のブラン・ド・ブランNVを飲んでみたい気もするが、ちょっと他のRMモノに比べると高いんだよなあ (フィッチで7,965 円!) 。別に他にも旨いヤツあるし、今すぐにオレがブルーノ・パイヤールをリピートすることはなさそう。それでも「フランソワ・ビリオン “マリー・カトリーヌ” エキストラ・ブリュット NV」よりはマシというか、味気なくはない。


moukan1972♂moukan1973






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