もう肝臓の無駄使いはしたくない夫婦の日本酒備忘録

 チャリは寒いけど (逆に汗が冷えてスースー) 、お燗用の1800mlを買って来た。これでしばらくは安心。その店、去年から〝あの銘柄〟を扱うようになったのでオレにとっては更に便利。他に気になったのは「諏訪泉 阿波山田錦 Vintage 2015」とか、もはや「生酒コーナー」なんか見向きもしなかったよ (笑) 。
〜 たぶん年ベースだと余裕で250本以上の酒瓶を空にし、記事の比重は徐々にワインが日本酒を侵食、週末には必ずシャン、なるべく毎日「本日の1曲♪」、合間にお菓子 (主に安煎餅) &女優評 (ほぼ「浜辺美波」関連) 、超時々メガネ警察、特に悪気はないが冗談は常にキツめ 〜

◤Bollinger (ボランジェ) AOC Champagne Brut「Special Cuvée」NV 




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 毎度アクセスありがとうございます。


2017_8_12Bollinger1417.jpg 連休中は土曜に1本、月曜に2本も開けてしまったシャンパーニュです。なにげにビッグメゾンのNVをブログで取り上げるのは初めてなので──6〜7年前にmoukan1973♀の部下からモエ・エ・シャンドンの白&ロゼとヴーヴ・クリコのNVを3年連続で1本ずつ貰って飲んだことはあるけど味も香りも覚えてない (今年はヴーヴ・フルニの2009!) ──、こうして改めてその〝神業的なブレンド術〟とやらを堪能できる機会が巡り巡って再来したことは、人生の複雑さの妙味同様、ちょっとした一興を我々にもたらしてくれるだろう。

 とはイエイ、なにも「ブログで取り上げる」と言ったところで、オレからすると、ようやく「備忘録」というブログ形態が役に立ち始めていることを実感している真っ最中で、実は「シャンパーニュ記事」の外に向けての発信性が「日本酒記事」ほど高くないことは説明するまでもない。せいぜい創作的な意義があるとすれば、オレがZEROの地平線から知識をどう積み上げていくかのドキュメンタリーとして何かの興味が沸くかもしれないくらいで、なにより少し以上に面倒なこうした前説は、全て1分後の自分のために書かれる。


ボランジェ1 2000年代に入って以降、本格的にRM (レコルタン・マニピュラン) と呼ばれる自家栽培醸造家 (自社畑で獲れたブドウだけを使ってシャンパーニュを造るメゾン) たちが、限られた一部の世界的ブランドたるビッグメゾン (ボランジェもここに属する) のみに支配されてきた〝シャンパーニュという名の王冠〟を、強引かつ横暴なやり方で奪取するわけではなく、自らのテロワールに対する強い信念を創造 (建築) の力に変えて新しい舞台を作り上げ、そこで一声に狼煙を上げて久しいわけだが、決してボランジェたちが強者であるのと正反対の意味で彼らレコルタン・マニピュランが弱者というわけではない。


 マイケル・エドワーズ著『シャンパン』の中で語られる見解に素直な耳を傾けるならば、その強弱は単なる〝規模の違い〟ということであり、数多くの区画に分散する様々なブドウから生まれた100や200を超えるワインの中から伝統を守るために必要な精緻なブレンド術を使ってその王冠が永遠に輝きつづけるためにできることを全てやりきるスタイルと、マイケル・エドワーズ氏の言葉を借りれば、せいぜい7カ所程度の自社畑と2〜3年のヴィンテージを合わせるブレンドの技の違いだけなのである。それは世界中から集められた最高の食材で作られる高級リストランテの創作料理と、地元の食材のみで作られるビストロの、精緻な優雅さよりも楽しさと心の温まりを優先した伝統料理との相関性に近いと言えるのかもしれない。そして、その田舎の小さなビストロの心温まる一皿の中に、リストランテの王冠を掠め取るほどの絶品料理が偶然とは無関係の現象の煙の中からあちこちで立ち現われ、恥知らずでスノッブな皮肉屋の放つ「確かに彼らは稀に良いワインを作る」という言葉が徐々に無効化している時代こそが〝今〟なのである。








 ボランジェの記事の中で簡易に要約されたRM論を語ることに大した意味も理由も野心もない。単に我々が逆の順番でシャンパーニュに接して来たことによる、不自然な捩れがそうさせただけである。大手に対するRMのカウンターパンチをリングサイドで拳と大声を上げながら観戦する機会を永遠に失ってしまった残念があることは事実だが、逆に言えば、恐竜が小さな哺乳類の一撃を軽くかわして勝利の雄叫びを上げる瞬間を見守るスリリングは残されているのだ。



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 さて、ボランジェにおける〝割りとどうでもいいトリビア〟としては──アナタがアタック25タイムショックに出場しない限りは──、イギリスが生んだ世界的アイコン「ジェームス・ボンド (007) 」が劇中で飲んでいるシャンパーニュが必ずボランジェであることが有名ではあるが、クイズ番組に出場する予定のない人は、この事実の背後にある「イギリス人 vs フランス人」という対立構造 (仲の悪さ) からその意味を紐解くと記憶の定着に手間を焼くこともないだろう──つまり、美食王国フランスで生まれたシャンパーニュの (少なくともブリュット=辛口の) 魅力に世界でいち早く気づいたのが、粗食の国としてバカにされて来たオレたちイギリス人であるという英国流の皮肉のスパイスがここには込められているはずだ。007がボランジェのシャンパーニュの入ったグラスを優雅に転がすとき、それはイギリスがフランスを手玉に取ったという鮮烈なカウンターパンチのメタファーとなる。




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 使用されるブドウの85%以上がグラン・クリュ、プルミエ・クリュのもので、セパージュ (ブドウのブレンド比) はピノ・ノワール 60%、シャルドネ 25%、ピノ・ムニエ 15%。そしてボランジェと言えば「樽」ということで、オーク樽で一次発酵を行い、コルク栓をしたマグナムボトルで15年間熟成させたリザーヴ・ワイン (秘伝のタレ) が5~10%ほど加えられる。





◤Bollinger / ボランジェ スペシャル・キュヴェ ブリュット NV

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 立ち香──なんか思ってたより品良く清楚な香りのエネルギー。ある意味、非常に落ち着いている。勝手にもっとゴージャスな豊満さを想像していた。逆に言えばRMモノの方がヤンチャな暴れのある酒が多いことの証左ではあるのだろう──我々夫婦はこれまで少しエッジの効いたRMモノを優先して買って飲んできた。この酒に対して使われる「リッチ」という言葉は、そのまま人に当てはめて「金持ち」という意味すら併せ持つ。つまり、金持ち的な落ち着きと静けさと、そして優雅な微笑がある。

 赤い果実の大地感と、徐々に立ち込めるハチミツ&バター、そして仄かな甘み。鼻腔をくすぐるギザギザしたトースト香もありつつ、樽熟メロディーの響きはしなやか且つ優美で、果実よりも木の工作物が頭の中のビジュアル空間を埋め尽くさない点は非常に好ましい。これがヤンチャなRMモノだと、酒の味や香りよりも醸造スタイルや醸造メソッドの形跡を真っ先に想起させてしまうケースも多い──まるで料理そのものよりも調理哲学ばかりを語るシェフのように。

 ♡☺♡「ピノ種が強い気がするけど、全く問題なくおいしい。バランスいい。ある意味、誰にでも好かれる、無難っちゃ無難な味わい。RMモノも負けてないよ!



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 まるで小さくてキラキラしたスワロフスキーのガラスの置き物のようだ。いい意味で酒と向き合わずに済む。というのも、ここには沈黙以上の価値はないと思えるからだ。飛び出したファニーなチャームポイントは見当たらないものの、見惚れるわけでもなく、心奪われるわけでもなく美しい景色を眺め、ただ時間だけが流れていくようだ。そういう意味で五味のダイヤグラフの歪さやユニークさにおいて飲み手を立ち止まらせ、驚かせるような変わり身は一切見せない。

 まさに高級リストランテの5,400円 (税込) のお得なランチといった面持ちだ。そして非常に穏やかで優雅で静かなシャンパーニュ。ピノ種の豊満さも小さな球体エキスの中に軟禁されていて、それがリッチの世界に放たれると、なにか口の中で味覚の遠近感を見失いそうになるという〝美〟がある。ただし、こうした美が人の嗜好における永遠の普遍性を約束するものであるかは今のオレには疑わしい。



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 ♡☺♡「甘い。ブラン・ド・ブランが恋しい・・・

 樽と言えばボランジェと言われる割には樽のメロディーの鳴りは全然おとなしいレベル。泡もだいぶ落ち着いており、たとえば「ドゥ・スーザ ブリュット・トラディション NV」なんかの方が良い悪いは別にして、樽の楽隊による甚だしいファンファーレが高らかに鳴り響く。このボランジェは日本酒で言ったら「品評会用の山田錦45の大吟醸」にようなシャンパーニュだが、何も考えずにスイスイ飲めるのは、嚥下を邪魔するノイズが皆無であるからだろう。

 さて、このNVをまた飲みたいと思うか。少し回りくどい言い方をするなら、それは今すぐにではないし、どちらかと言うと、少なくとも今のオレのような歪な買い方 (飲み方) をしている初心者であるなら、1年に1本は飲むべき酒だと言うことはできる。確かにこれ以上の完璧なバランスの混醸タイプを飲んだ記憶はない。そして、時間だけは美しく通り過ぎていく──それでも、別に心が躍ることもまたないわけだが。


moukan1972♂moukan1973






Bollinger

Comment

Name - moukan1972♂  

Title - To 小尾けのびさん



毎度です。


──私はまともにこれ以外のシャンパーニュを飲んだことが無いのでなんとも言えないのですが、なんかいい気分になれましたね。酸味は許容上限いっぱいって感じでしたが。

これがいわゆる〝リッチ〟タイプなんでしょうね。なんというか〝小さなフルコース〟ですよ。この値段で高級シャンパーニュの雰囲気を味わえるという意味では「有名レストレンのお得なランチ」という感じだと思います。夜は20,000円〜、昼は5,400円 (税込) みたいな (笑) 。

これで酸味が上限いっぱいならブラン・ド・ブランやRMモノには手を出さない方がいいですし──大手のBBは高いのでそもそも簡単に手は出ませんが──、むしろシャンパーニュじゃない安価な泡モノ (クレマン、ヴァンムスー、カヴァ、スプマンテ、その他スパークリング) の方が甘いですし、 (ある意味) 香りも豊か (我々には過剰) なので、もしかしたらそっちの方がカクテル気分で気軽に楽しめるかもしれませんね。泡も優しいですし。

あとは、数としては少ないですが、それでもシャンパーニュにこだわるのであれば、ブリュット (辛口) よりも甘い、ドサージュ多めのモノにすればいいんじゃないですか?

エクストラ・ドライ
残糖度12~17g/l

セック
残糖度17~32g/l

僕やサンジュリアンさんがここで話題にしているモノは「全てブリュット以上」なので、ドサージュは0〜10g/1Lくらいです。ブドウの完熟状態にもよりますが、 小尾けのびさんは「8g以下」のモノには手を出さない方がいいでしょうね。ピエール・カロのNVは10.8gですが、これでも僕らには十分に甘いですよ。味も濃いですし、正直、これなら6gで十分です。RMモノのブリュットは6g〜8gが多いですが、このへんは間違いなく過激に酸っぱく感じると思います。


──ガリガリ君が食べたい時期は日本酒は進みません。ハーゲンダッツの時期は飲みたくなります。

これは斬新かつ分かりやすい表現 (笑) !


ちなみにフィッチのピエール・カロはロゼ以外、全て売り切れ中です。他の店でも扱いありますが、値段がバカらしいほどに高いですよ。

現在の楽天の最安値は

代官山ワインサロン Le・Luxe
https://item.rakuten.co.jp/leluxe/pierrecallot_blancdeblancsnv/

の5,886 円 (税込) ですが、僕はフィッチで3,974 円 (税込) ですからね。1,800円あれば日本酒の純吟が1本買えますよ (笑) 。それこそガリガリ君なら一夏分買えますね。

2017.08.31 Thu 10:59
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Name - 小尾けのび  

Title - 

私はまともにこれ以外のシャンパーニュを飲んだことが無いのでなんとも言えないのですが、なんかいい気分になれましたね。
酸味は許容上限いっぱいって感じでしたが

月に2本しか飲まない私ですから、28BYは打ち止めです
年始に買った日本酒がまだチルド室でなん本か眠っていますし
ガリガリ君が食べたい時期は日本酒は進みません
ハーゲンダッツの時期は飲みたくなります

取り敢えず11月のニュームーンですね
カロとムーランサンジョルジュは買うと思いますけど
2017.08.31 Thu 09:33
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